第四話 第十三部 あの投球フォームには
バシーーン!!!
ストライクバッターアウト!!
佐奈「しゃあ!」
雨宮「ちっ。」
やった、雨宮さんから三振を奪った。私はまだ一本もヒットを許していない。このままおさえていけば絶対に勝てる! 私が打たれなければ堀近さんが打ってくれる!
雨宮「すまねぇ。」
真菜「今は仕方ないわね。」
雨宮「今はって、おいおい。この調子でずっと進んで行ったらどうするんだよ。勝ったら決勝戦だろ? 明日も投げるって言ってたよな。」
岸「早いところ決着つけないとまずいぞ。」
真菜「大丈夫よ、いずれ打てる。」
岸「いずれってお前なぁ。」
雨宮「延長なんてさせられねぇよ。負担かかるだけだし。」
真菜「なら三打席目、確実に打っていきなさい。」
雨宮「え?」
真菜「確かにあの打ちにくい球、そしてソレを編み出したフォームは自分自身でまずまねしてみたのが始まり。その後私が教えたというのもあるわね。」
雨宮「それじゃあわざと相手に楽させてるものじゃないか!」
真菜「いえ。あの投げ方はかなり負担がかかる。私でさえも最初は苦労した。佐奈だって同じはずよ。佐奈は体力の消耗を知っていてあのフォームを使っている。私にどうすればよいかを聞いた。だから私は威力のある球を教えた。けれども…。ペース配分に関しては教えてない。」
岸「なるほどな…。」
真菜「こちらも相手も休憩時間が短いのはしかたがない。私だってこのようなペース配分は始めてよ。」
雨宮「心なしか汗かいてるよな。」
真菜「でも佐奈は私より体力がない。それは毎日のランニングをやっていてわかっていることよ。」
バシーーン!!!
ストライクバッターアウトチェンジ!
真菜「さて、いきますか。」
岸「よいしょ。」
雨宮「しっかり抑えていきますか。」