第四話 第十一部 初ヒットは…。
バシーーン!! ストライクバッターアウト!
佐奈「っし。」
バシューーーン!! ストライクバッターアウト!!
真菜「ふん。」
すぐに攻撃が終わってはすぐに守備が終わる。かなりのハイペースで試合が進められていた。それもこれも私と真菜姉が最高のピッチングが出来ていることが良いことだ。私も四回表の攻撃をきっちりと抑えてすぐにベンチにもどった。今日の真菜姉からは簡単には打てない。というか打てるのかどうかすら心配になってきた。それぐらい調子が良く、休む時間なんてほとんどない。
バシーーン!!
バッターアウト!!
この回もすぐにツーアウトになってしまった。全く誰も手が出せない状況だ。だけれども次は堀近さん。きっとあの心理戦の続きになるのだろうか。ヒットを打ってくれると本当に嬉しいけれども…。
堀近「(狙うべきは…ストレート! 一か八かで思いっきり振れば!)」
岸「(フォークはまずいな…狙われている。ここはストレートだ。)」
真菜姉はうなづくと大きく振りかぶり、捻って投げる。
シュゴオオオオオ
堀近「(いけっ!)」
ギィイイイン!
佐奈「やった!!」
岸「なっ!?」
真菜「…!」
真菜姉のストレートを思い切りはじき返した。そして打球は左中間にグングンとんでいく。
ポーン
堀近「しゃあ!!」
堀近さんは右手を大きくあげて叫んだ。そして二塁に向かって走っていく。
ズザザザザ
そうしてもう一度堀近さんはガッツポーズをとった。顔には笑顔がこぼれている。さすが堀近さん、チャンスを作ってくれた。そして四番にまわった。これならきっと一点は取れるはず! よし、真菜姉が動揺している今がチャンスだ!
岸「(まさかヒット打たれるとは…。椎葉、ここは落ち着いて。)」
真菜「……。」
真菜姉は全く表情を変えてなかった。さすがに多くの修羅場を越えてきただけある。いたって冷静、そしてすぐにバッターの方へ集中する。
野本「よし、俺が決めてやる!」
坂本「頼むぜ野本!」
ここはもう打てのサインしかない。ここで打たなければ後チャンスがいくつあるのか…いや、もうないかもしれない。だからここで決めたい!
岸「(ここは落ち着いて初球フォークで…って!?)」
すぐに真菜姉が腕を上げる。ワインドアップ? なんで?
堀近「!?」
堀近さんは戸惑いながらもすかさず三塁に盗塁した。真菜姉は全くその様子をきにしていない。
岸「(おいおい。俺のサインの途中で腕あげるなよ。しかもワインドアップじゃねえか。サインはどうしたサインは。)」
そうして捻ったからだを思いっきり回した。
シュッ
真菜「っらあ!!」
シュバアアバシューーーン!!!
ストライクワン!!