第四話 第十部 雨宮のバッティング
シューーーー バシーン!
ボールワン!
雨宮「(こいつがストレートか…。たしかに速いし勢いもすごい。威圧感もある。)」
じっくり見てきた。でも…そうかんたんに打てるような球ではないはず。それに…ストレートだけが私の武器ではない。
堀近「(ここは変化球で…。)」
サインは…アレだ。真菜姉から教わった変化球で!
シュッ!
雨宮「!」
グググッ ブン! バシーーン!
ストライクツー!!
雨宮「(フォーク! 鋭さなら真菜姉よりも良いかも?)」
真菜「前よりあのフォークようなったわね。」
岸「切れだったら…。」
真菜「確実に私のフォークより良いね。」
よし、フォークも切れ味が増している。このフォークは大きな武器になれる。そしてサインは…ストレート。ここは力で押していきたい!
雨宮「(フォークは無理だ…ストレートで勝負だ!)」
大きく腕をあげ、体を捻る。そして…。
佐奈「ふっ!」
シュゴオオオオオ
ギィイン!!
雨宮「ちっ、あげすぎた。」
堀近「センター!」
思いっきり投げたストレートはセンターまで運ばれた。思いっきり投げたストレートだったのに…。
バシン アウト!!
私は打ち取ったけれども悔しかった。あの渾身のストレートが簡単にセンターまで運ばれたことが…。それでも、まだまけているわけでもない。点をとられているわけでもない。さらに言えばあの大学ナンバーワンとも呼ばれたバッターを抑えたのだから誇りに思うのが一番だろう。
堀近「大丈夫! ここからもっと気合いれていけば抑えられるよ!」
佐奈「わかった!!!」
私はもう一度気合を入れなおして、バッターのほうを向いた。