第四話 第九部 心理
佐奈「しかたないですよ、堀近さん。」
堀近「…次は打てそうだな。」
佐奈「えっ?」
堀近「いや、心理的なものさ。さてと、いこう椎葉!」
佐奈「はい!」
雨宮「どうしたんだ椎葉、嬉しそうな顔しないのはいつものことだが、険しい顔して。」
真菜「あの人、相当特訓したらしいね。私もそれに答えないとね。」
岸「あいつフォーク振ったよな。よく逃げ腰にならずに向かっていったよな。」
雨宮「あれか…。たしかにアレは俺も怖い。とにかく、あの捕手の気合は俺からでもわかった。ビリビリと伝わる風格。ありゃプロいっても間違いなく良い選手になっているだろうな。」
真菜「それならなおさらね。」
雨宮「おいおい、そんな怖い顔しないでくれよ。」
真菜「安心して…。私は楽しんでいるから。」
岸「そのために雨宮、一本打ってこい。」
雨宮「あいよ。」
二回の表が始まる。バッターは四番の雨宮さん。偵察にきていたあの人だ。…他のバッターとは明らかに違う。大学ナンバーワンバッターとも呼ばれるだけあるかもしれない。間違いなく今まで戦った中でかなりの強敵かもしれない。
堀近「(初球はスライダーで…。)」
私は変化球でもフォームを意識して、放つ瞬間思いっきり!
シュッ!
雨宮「(あせったか?)」
グンッ! ブン! バシーーン!!
ストライクワン!
雨宮「(あせっていたのは俺のほうか。)ふぅ…。」
スライダーを空振りした。けれども余裕の表情をしている。何がなんでも気をつけていかないと…。