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第三話 第十三部 戦いを終えて。
佐奈「っしぁ!」
堀近「おっしゃああ!」
私たちは勝利した瞬間、手をあげて喜んだ。そして球場内の応援席から大きな拍手が送られた。国立大学が春の大学野球神宮大会で勝ったからだ。
国見「まけた…か。」
バッターはゆっくりとバットを下してヘルメットを外した。その顔はすがすがしく、野球を楽しんだ人の顔だった。
主審「礼!」
したぁああ!!
国見「椎葉!」
佐奈「は、はい。」
国見「ナイスピッチング。姉に負けるなよ。」
そういって国見さんは言い残してベンチに戻って行った。
佐奈「ありがとうございました!」
私は帽子を取ってお辞儀した。こんなすごい人と対戦できたんだ。誇りに思わないと。
堀近「良い選手と戦えてよかったな。」
佐奈「はい…。強敵でした。」
堀近「だがもっと強力な相手と戦いたいんだろ。そしたら今日の反省をしないとな…。」
佐奈「そうですね…。けっこう体つかれちゃいましたし。」
堀近「ダウンするか。」
そして私はダウンを始めた。体が重かった。かなり負担をかけた投げ方なのだろう。でもどうして真菜姉はずっと同じ勢いで投げられるのだろうか。…わからない。