第三話 第十一部 疲れ笑いの佐奈と、楽しみ笑いの真菜。
ホームラン、ホームランを打たれるなんて。フォームを改造してから…いや、一年生の後半戦からホームランなんて打たれたことないのに…。フォームを変えた後に…打たれた!?
堀近「(球の勢いが…なくなってきていたのか。いやなとこが出てしまったな…。椎葉の体力は問題ないけど…体格のことを考えてなかった。妹は姉と違ってまだ体が細い。姉も細い部類に入るけど、妹ほどではない。ここまであのフォームで投げてきてかなり体に負担をかけていたんだ。それも付け焼刃のような安定していないフォーム。姉ののような安定したフォームなら問題は減少されるのだろうが、あいつは…。)」
私はただ、打たれた方向に突っ立ってみているだけしか出来なかった。まだ私の球は軽いのだろうか…これじゃあ姉とも…。
堀近「椎葉!」
佐奈「えっ?」
バシン
堀近さんから力強いボールが返ってきた。
堀近「まだまけてるわけじゃない。リードしてるぞ!」
そ、そうだ。まだ勝っている。一点取られただけでまだ二点のリードがある。後続を抑えていけば大丈夫。私がここであきらめてどうするのよ! ここで崩れてたまるものですか!
真菜「…まあ、打たれて始めてわかっただろう。」
雨宮「球が軽いってことか?」
真菜「そっ。…でもこれで一つ壁を越えたみたいね。」
雨宮「それってまずくないか?」
真菜「そう簡単に強くなるとでも?」
雨宮「まあ、そりゃあねぇよな。」
真菜「……フフッ、対戦が楽しみ。」
雨宮「…珍しいな、椎葉が笑うなんて。」
真菜「…そうね。」