第三話 第十部 先取点を取り、良い流れかと思いきや…。
私の投球は完璧に近かった。三回ワンアウトにファーボールで一人を塁に出してしまうものの、後続は二者連続奪三振で切り抜けた。その勢いで私たちの大学は四回堀近さんの二点タイムリーを含む三点を先取した。そのおかげで投球がかなり楽になった。
そして迎えた七回。ここで先頭バッターは国見が入った。国見にはヒット一本を打たれてるが、その後の四番バッターからゲッツーをとっている。このバッターが一番怖い。でも今の私には失うものはない。フォーム改造の特訓だってした。できる、きっと私ならできる!
堀近「(この勢いはかなり嬉しい。つぎの試合は椎葉を先発できないが…。準決勝に向けての調整は十分だ。おそらく二回戦もこちらの得意なマシンガンローテで押さえられる…。となるとこの試合は総力戦へ向けての大事な調整になるな。)」
国見「(ここまで一点も取れてないか…ちっ、俺が何とかしなければ!)」
シュバアアアアア バシューーーン!
ストライクワン!
国見「(ん? こころなしか球の勢いが…速さは変わってないが…強振でいける!)」
堀近「(攻め立てるなら…今しかない。インローにストレートだ。)」
佐奈「(はい。)」
私は大きく足をあげて体をひねった。そして堀近さんのミットめがけて思いっきり…投げる!
シュッ
真菜「あ、これ打たれた。」
雨宮「何が?」
国見「よし、きた!」
キィイイイイイン!
う、打たれた!? 渾身のストレートが綺麗に打たれた。でもこの投球フォームなら。
堀近「ライト! 下がれ!」
ライトにグングンと打球が伸びていく。なんで? なんでこんなに打球が伸びていくの…!?
ポーーーン
国見「っし!」
は…入ってしまった…。