第三話 第七部 まず一人目。
さて、いよいよ試合開始だ。私たちは後攻、初めからこの投球を試すことができそうだ。もし真菜姉が見ていたら…いや、見ていて欲しい。
雨宮「どうしたんだ、椎葉。」
真菜「いや、妹がどんな投球するかをね。テレビからでも見れるからね。」
雨宮「やっぱり気になるのか?」
真菜「…少しね。」
礼をして、私はピッチング練習をしていた。ここでも思い切りは投げずにいたが、フォームチェックをしていた。まだ違和感というか、いつもの投げ方ではないという感覚はあるけれど全然投げれないわけではない。むしろ今日は絶好調かもしれない。この投げ方でやってみせる!
審判「プレイボール!」
審判が腕を上げて試合が開始した。一番バッターがバッターボックスに入った。相手はほぼ戦ったことの無い未知の世界。それでも押さえるのが私の役目だ!
シュバァアアアアアア バシューーーン!!!
ボールワン!
堀近「惜しいよ! ナイスボールだ、ボールは走ってる!」
佐々岡「(はえー。)」
ボールだった。さすがは大学野球、そして地区代表。しっかりとボールが見えている。手を抜く気は全くないけれど、気が一瞬でも抜けたらアウト。しっかりあのミットに向かって投げる!
シュバーーー ブン! バシューン!
ストライクワン!
佐々岡「(ノビすごっ…。)」
よし、空振ってくれた。今の空振りで少しわかった。ノビにはついていけてないみたいだ。よし、ここは変化球を入れて…。
グググググッ キン!
ファールボール!
スライダーを流すようにカットした。相手も簡単には空振ってくれなさそう。それなら…全力で空振りを取らせるだけ!
シュゴオオオオオオ
佐々岡「ぐっ。」
ブン! ズバァアアアアアン!!
ストライクバッターアウト!
佐奈「ふぅ。」
まず無難に一人三振に切り取った。