第三話 第四部 フォーム改造の始まり
堀近「フォーム改造!? 今から間に合うわけないだろ。」
堀近さんは血相をかえて私に近づいてきた。たしかにものすごくリスクのかかることでもある。でも…。
佐奈「私、どうしても姉に勝ちたいのです。それに…このままでは神宮大会は勝ちぬけられないと思っています。なので力を貸してください。お願いします!」
私は深々と頭を下げた。どうしても勝ちたい。その気持ちの一心でのお願いだった。無言になりながらも堀近さんは考えてくれていた。そして口をあける。
堀近「残り一週間ちょっとしかないぞ。はやく形をつかめよ。」
佐奈「は、はい!」
堀近さんがゆっくりとキャッチャーポジションに移動して座った。認めてくれた。私のお願いを聞いてくれた。本当にありがたいことだ。それに私も答えなければ。
佐奈「それでは…試してみますね!」
堀近「おう、いつでもこい!」
とりあえず姉の真似事でもいい。あのフォームと同じように体をひねって…なるべく体の回転を早くしすぎず…。ためてためて。そこからバネの原理と同じように体を一気に回転させて…! あのミットめがけて!
シュッ!
堀近「なっ!?」
シュバァアアアアアア バシューーーン!!!!!
佐奈「あっ!」
ボールはバッターの頭の高さと同じところに放られた。だ、ダメだ。コントロールがとんでもないことになっている。このままでは試合で使い物に…。
堀近「椎葉!」
佐奈「えっ?」
パシン!
堀近「早くその球を完成させるんだ。さあ、投げろ!」
堀近さんの目が変わっている。一体何を感じたのだろうか…。