第二話 第一部 試合前の思い出し
シュバーーーー バシューーーン!
堀近「よっしゃ! 調子はよさそうだな。」
今日は春季六大学リーグ大会の法栄大学と試合。前大会では二位に入っていた強豪大学だ。私は先発をまかされていた。ブルペン投球を終えて私はゆっくりとベンチに戻っていった。
堀近「よし、皆気合入れていくぞ!」
皆「しゃああ!」
皆が気合十分の状態だ。なんだよ、姉の言ってたことなんて嘘じゃない。私はスポーツドリンクの入ったペットボトルを持って口に飲み物を含んだ。
坂本「なあ、椎葉が着てから本当に守備が楽になったよな。」
私の耳元に何か不思議な会話が聞こえてきた。私はその言葉に耳を傾けた。
橘田「ああ、そのおかげで打撃に思いっきり集中することができるからな。」
野本「たまに飛んでくるけど比較的とりやすいのばかりだからな。今日も勝てるんじゃないかな。」
私はこの言葉を聴いてこの前、姉が言っていたあの言葉を思い出した。『佐奈と堀近がいくら頑張っていようとも、他の選手たちに覇気が見えなかったわ。』私はこの言葉が脳裏に焼きついていた。そして今この現実を知ったとき、私の心に不安が生まれた。もう一度当たりを見渡してみる。試合に勝つために気合を入れている人たちもいる。だけれどもこれは皆統一しているというわけではない。チームワークがバラバラになっている。これは苦戦を強いられそうだ。私は堀近さんに打ち明けようとした。
堀近「試合だ! 整列!」
しかしタイミング悪く整列。そして私たちは後攻だ。この回はしっかりと自分のリズムを作っていかなければ…。
礼!
お願いします!!!
私は走ってマウンドに向かった。六大学リーグの二年生春、初先発のマウンドは不安がやや募っていた。