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第一話 第十部 突きつけられるもの。
私はその言葉を聴いて手を離した。本当にそうなのだろうか、私にはそう見えない。もしかして姉はそういうところもしっかり見てくれているのだろうか。私は無言で何も言わず席に座った。
真菜「あなたにはそう見えなかったの? もうすこし回りを見る必要があるみたいね。」
私は何も返せなかった。その通りなのかもしれない。私がそう見えないだけで姉がわかることなのかもしれない。私はうつむいてしまった。
真菜「…ご飯冷めるから食べなさい。」
佐奈「いただきます。」
私は重く感じる箸をもってご飯を食べ始めた。あまりご飯が進まない。何かしょっぱい、これは涙の味が入っているのだろうか。私は苛立ちと戸惑い、悲しさを胸に抱えながら食べていった。やがて、私は一つの思いが確信へと変わっていった。
ガタッ
私は急にたちあがってあねの方に指を指して言った。
佐奈「私、絶対に真菜姉の学校に野球で勝ってみせる!」
真菜「…楽しみにしておくわね。」
私はその言葉を残すと自分の部屋に戻っていった。