プロローグ
私には二つ上の姉がいる。
野球がすごく上手で、スカウトやプロのコーチ、監督までもが声をかけに来ている。
そんな姉がかっこよかった。
妹の私にもいろいろと指導してくれた。
そのおかげで私のところにもスカウトが来るようになった。
真菜の妹という名で有名になった。
最初は複雑な気持ちだったけれども、姉は本当にすごく有名になっていった。
すごく誇らしげに思うこともありながら、
いつしか姉を超えてみようと思えるときがあった。
そして真菜の妹ではなく、佐奈という一人の選手として見られるように…
私はそのために姉と違う学校にいった。
初めて姉の学校との練習試合。先発して完投したけど負けた。
悔しかった。
私はどうすればあんな球が投げれるのか姉にきいた。
でも姉はそれ以来冷たい口調でしか話さなくなっていた。
アドバイスは教えてくれない、自分で探して掴み取ってみろ。
もう大学生なのだから、それぐらいやってみろ。
と。
私は一生懸命努力した。
姉に負けないほどの実力をつけることもできた。
そして大学二年生。真菜姉と大学で公式な勝負ができるのは春と秋の二回だけ。
私は…姉を追い越してみせる。
そして…昔のように…。