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公園

平原を二つに割るかのようにまっすぐに伸びる一本の道。

その道の上を一組の男女が歩いていた。

少年はジーンズに黒いTシャツ。少女は膝丈までまくり上げたカーゴパンツに白いポロシャツ。

そんな二人は今日も山を目指して歩いていた。


「ん? なんだあれ?」


先に気がついたのは、少年だった。


「えっと…公園?」


少女も少年の視線の先のソレを見つけて目を凝らす。

まっすぐに伸びている道の右手側に、簡単に整備された敷地と、その敷地内にブランコや滑り台といった遊具が置かれているスペースが現れた。

その入口と思しき場所までやってきた二人は、並んで立ってそこの遊具達をざっと見わたす。


「うん。やっぱり公園だ」

「これを公園と呼ばすして何と呼ぶか」


二人は、集落内にあった公園を思い出していた。

小さい時こそよく遊んでいたが、大きくなるにつれ立ち寄らずに、眺めることが多くなった公園を思い出していた。


「ねぇ」

「多分同じこと思ってると思う」

「良かった。じゃあ行こっか」

「もちろん」


そう言って二人は遊具に向かって走り出した。

少年はブランコに乗って少し窮屈に座りながらも全力で勢いをつけて漕ぎ、少女は滑り台に登っては滑ってを楽しそうに繰り返していた。

その後も、バネのついた乗り物にまたがって前後左右に揺れたり、ジャングルジムの中に入って頭をぶつけたり、砂場で山くずしを楽しんだりと、昔に戻って遊びに遊んだ。

そして一通り遊んだところで、ベンチに並んで座って一息ついた。


「ふー。なんか懐かしいな」

「うんっ。楽しかったー」

「超はしゃいでたもんな」

「そっちこそ。ブランコ一回転するんじゃないかってくらい漕いでたじゃん」

「滑り台で一人で笑って上り下りしてたやつに言われたくないっての」

「……」

「……」

「楽しかったな」

「だね」


お互いに前を向いて、昔を思い出しながらふと目を閉じた。


少し余韻に浸った後、再び山を目指して公園を出た。


「行きますか」

「レッツゴー!」


少年の声に、右手を高々と上げて応える少女。

再び歩き出した二人。


「それにしてもなんであんなところに公園なんて作ったんだろうね?」

「さぁ? 心のオアシス?」

「製作者の意図がわかりません」

「そんなの俺たちが山を目指してるのとおんなじような理由だろ」

「つまり?」

「『なんとなく』だ。それか『公園を作りたかったから』だ」

「おー。変に納得できた」


そして二人で、後ろを振り返って公園に別れを告げようとした。

しかしさっきまで公園があった場所には何もなく、ただ今まで歩いてきた道が長く長く続いているだけだった。

二人は前を向くと、止めていた足を動かしながら首をかしげた。


「なかったね」

「俺たち遊んだよな?」

「遊んだ。疲れてるのかなぁ?」

「かもしれないな」

「製作者の意図がわかりません」

「まぁ夢だったのかもしれない。もう意図なんてわからなくてもいいだろ」

「それもそうだね。楽しい夢だったね」

「楽しかった」


特に気にすることもなく、二人は笑顔で山を目指すのであった。



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