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アイテム編

 とにかく私は猫並みの強さだという事が判明した。にゃーん。次にログインするときはフルアーマーで来てやろうか……。


 いいもんいいもん、猫は大好きだからいいんだもん。早く人間になりた、じゃないや、早くエルフになりたーい!


「次はアイテム関連のチュートリアルに入ります。ステータスと同じ要領で、『インベントリ』か『アイテム欄』のどちらかの言葉で表示させる事ができます。チュートリアル開始と同時にいくつかのアイテムを自動で入手している筈ですので、まずはそれを確認してみましょう。どうぞ」


 猫だってアイテムとスキルを上手く使えばきっと! イリオモテヤマネコくらいには!! アイテム欄が見たいです!


「いんべんとり!」


「キリッ」


 もう突っ込まないぞ。



 表示されたのは、四角い升目が大量に並んでいるウインドウ、これもまさにアイテム欄っていう見た目で安心だ。ふふふ、またもや経験が生きたな。


「出せたよー。これもシアさんにも見えてるの?」


「はい、問題なく。言語、サイズの変更は勿論の事、上部のタブでシート変更も可能です。今は消耗品だけが表示されていると思います。切り替えは直接触れるか、念じる事でも操作する事ができますね」


 ほほう、それは親切設計。シアさんは心折設計。


 タブの各項目の確認をしよう。

 まずは『全て』、これは持ち物を全部表示する。他のタブは、『消耗品』、『装備品』、『生産素材』、『貴重品』、『イベント』の五つ。消耗品タブの中でも『回復』や『補助』といった風に、さらに細かく表示分けをする事ができるみたいだ。痒い所に手が届くいい仕様だね。


「今入ってるのは、赤い小瓶と青い小瓶だね。どっちも×10って書いてあるよ」


 消耗品タブの中には、細長いガラスの瓶らしき物が二つ表示されている。中身の液体は赤と青の二種類で、コルクか木の様な材質の栓がされている。数字からするとどちらも十個ずつ貰えているらしい。


「どちらも回復用のポーションですね。赤が『体力』用、主にHPやLPと呼ばれる物で、青が『魔法力』用ですね。こちらはMPやSPなどと呼ばれる事が多いでしょうか? 他にも『持久力』、スタミナを回復する黄色いポーションも存在しています。ポーション類だけでかなりの種類があるので、一目で区別できるよう色分けがなされています」


 『魔法力』? 魔力はMAG、魔法の効果に影響する能力の事で、『魔法力』は魔法を使うと消費する謎パワーの事かな。ふむふむ、把握した。

 リアルでは謎パワーの方を魔力って呼んでるからごっちゃになっちゃいそうだね。これは慣れるまで大変そうだ。


「アイテムアイコンに触れて、効果はなんだろなー、と念じてみると、そのアイテムの説明が表示されます。ご確認ください」


 軽いな……。まあ、そういうニュアンスで念じれば何でもいいっていう事だね。

 どれどれ……。とりあえず赤いポーションのアイコンを指で触ってみて、と。おお、ちゃんと何かに触れた感触がある! これは凄いわ。よし、効果はなんだろなー?


 触れていたアイコンの枠が大きく広がり、そこにアイテムの効果説明が表示された。



[初心者用体力回復ポーション]

品質★☆☆☆☆ 消耗品:回復 取引不可


説明:

飲むと体力を僅かに回復させる事ができる。

初心者は危ないと思う前に使おう。

お子様も安心のイチゴ味。



 いいいイチゴ味ですって!?


「飲む飲む!! どうやって取り出すの!?」


「落ち着いてください姫様、可愛らしすぎます。取り出す場合はですね、アイコンに指を触れたまま個数を念じる事で複数纏めて取り出す事ができますよ」


 十個取り出します!


 そう念じた瞬間、目の前にアイコンの絵と同じポーションの小瓶が十個出現する。大きさは幼児用飲料サイズかな? 100mlくらいだろう。床に落ちる事もなくフヨフヨと浮かんでいる。


「凄い! 凄いねシアさん!」


「姫様の能力を見慣れている私からすると、これの何が凄いのか今ひとつ理解が及びませんが……」


 確かにそうだね、あはは。でもこうやってアイテムが浮かんでるのは純粋に凄いと思うよ。


「どーれにしようかなー?」


「ふふふ、可愛らしいですね。……ああ、姫様?」


「うん? なあに?」


「アイテムの落下防止の効果時間は、インベントリから取り出して十秒で切れてしまいますよ」


「……えっ」


 今なんて? とシアさんの顔を見ると、超ニヤニヤしていた。本当に全部取り出してしまったのか?(ニヤリ)とでも言いたげな表情だ。


 ハッとなってポーション瓶に目を戻したその時!


 全ての動きがゆっくりに見える。まるで私の意識や感覚が暴走しているかの様だ。この状態で殴られたら鋭い痛みがゆっくりとやってくる、じゃなくて!


 咄嗟に手を伸ばす間さえなくポーション瓶は床に落下、盛大な音を立てて十個全てが割れてしまった。

 床は赤い液体で水浸し、ガラスの欠片も散乱していてとても危険そうだ。シアさんの膝の上に乗っていて本当によかった。


 ギルド員のお姉さんごめんなさい、後で(シアさんが)片付けますから。……さて。


「……ログアウ」


「お待ちください! まったく、一度に全部取り出そうなどとしてしまうからですよ? しかし、これでお泣きにならないとは……、姫様の成長を嬉しく思います。少し寂しい気もしますが、ね。ふふふ」


 そう言うとシアさんは、流れる様な動作で自分のインベントリから赤いポーションを一つ取り出し、栓を外してから私の目の前に差し出してきた。


「ありがとシアさん……。先に注意してくれればいいのに。いじわるぅ」


「痛くなければ覚えませぬ。今度は落とさない様に気をつけてくださいね」


 失敗は今後の糧としよう、失敗は成功の母ってやつだね。まったくもう。



 シアさんからポーションを受け取り、一口飲んでみる。


 !!?


「すすすすすすっぱい!!!」


「姫様!?」


 なにこれなにこれ甘酸っぱい! リンゴ味だこれ!! 美味しいけど苺味だと思って油断してたあああああ!!!!


「シアさん!? 私も怒るときは怒るんだからね!!」


 私の怒りが……、有頂天になった!! この怒りは暫くおさまる事を知らない。

 苺関係で私を騙すとは、いくら大好きなシアさんといえども許されざる行為だ! 有罪ギルティ!! バチィの刑!!


「も、申し訳ありません、決してそんなつもりでは……。これは一体……」


 むむむ? わざとじゃないの?


 どうやら今のはシアさんにも予想外の展開だったらしく、慌ててインベントリを開いて調べ始める。


「なるほど……。改めて申し訳ありませんでした、姫様。どうかこちらをご確認ください。インベントリに収納せずとも実物に触れてさえいれば詳細の確認は可能です」


 シアさんからもう一つ、さっきと同じポーションを手渡された。


 ふむ、効果はなんだろなー?



[初級体力回復ポーション]

品質★☆☆☆☆ 消耗品:回復 取引可


説明:

飲むか体にかける事で体力を少し回復させる事ができる。

後者の使用方法を選んだ場合、状態異常『濡れ』にかかる。

酸味の強いリンゴ味で、気付け効果もある。



 み、見た目は全く同じなのに別アイテムだったのか……。なんという罠。


「初心者用の方は取引が不可能のようですね。入手方法もチュートリアルのみらしいので、残念ですが本物のイチゴジュースが手に入るまではお預けという事に……」


 がーん!!


「これはこれで美味しかったからいいよ。さっきはビックリしただけだから気にしないでねシアさん」


「はい、ありがとうございます」


 お礼を言いながら深く頭を下げるシアさん。


 シアさんだって初めて遊ぶゲームなんだから、こういう事が起こるのも無理もないか。はあ、仕方ないね。






「インベントリ、面白いなー。早く色んなアイテムを手に入れたいねー」


「ふふふ、そうですね。食品系のアイテムも沢山用意されている筈ですよ。楽しみですね」


「後はカッコいい武器とか? ふふふ。初心者用装備は何が貰えてるかなー?」



[竜殺しの大剣+1]

品質★★★★★★★☆☆☆ 装備品:武器:大剣 取引可

製作者:シラユキ・リーフエンド


性能:

ATK+134

ドラゴン系モンスターに追加ダメージが発生

ドラゴン系モンスターから受けるダメージを軽減する


説明:

ドラゴンの素材を用い、ドラゴンを狩るためだけに作られた大剣。

通常武器としての性能も高く、特にドラゴン系のモンスターにに対して絶大な威力を誇る。

この大剣と対峙したドラゴンは怯え竦む事だろう。



「まさかの[竜殺しの大剣+1]が実在した!!」


「品質は★七つですか。さすがは姫様の製作された剣、ガトーですら一撃なのも頷けます」


「ショコラさんはホントに居たの!?」




「丁度いいので装備品関係のチュートリアルに入りたいと思います。よろしいですか?」


 ショコラさんの安否が気に掛かるが、伊達に最強の冒険者と呼ばれている訳じゃない、恐らくどこかで食べ物のアイテムを探し歩いている事だろう。いくらゲームの中とは言え、いきなり切り付けるなんて事はシアさんもしないと思う……。思う。


「うん。武器と防具とアクセサリとかかな? 防具は部位ごとに分かれてそうだね」


 また気持ちを切り替えていこう。RPGで一番重要と言ってもいい装備品のお話、また沸々とテンションが上がってきてしまうというものだ!


「このゲームはリアル趣向なのか、装備品に職業制限などは一切ございません。例を挙げるとするなら、先程の大剣、姫様の様な非力な方でも装備する事だけは可能です」


 あ、どうしよう。シアさん説明する気満々だけどもう全部分かっちゃった。一応聞くだけ聞いておこうかな。


「しかし装備できたとしても振るえなければ何の意味もありませんよね? いえ、意味がないどころか重さで身動きが取れなくなってしまいます。百害あって一利もなしとはよく言ったものです」


 手に持てるものなら何でも持てるし、着れる物なら何でも着れるっていう事だね。まさにリアル趣向。

 極端な話、ポーションの空き瓶でもその辺りに落ちている小石でも装備できるんだろう。それをどう使うかはプレイヤー次第、という事だ。


「装備品関連のチュートリアルを開始した事によって、また新たにアイテムが追加されている筈です。装備品タブをご確認ください」


 どれどれ、いんべんとりーっと!


「キャラクターのステータスに合わせた装備品が自動で選出され、追加される仕様になっているのですが……、何が入っていました?」


 装備品タブをぽちっと……。

 [竜殺しの大剣+1]がまだある……。いいのかな? これ。取引可になってるし、これはキャロルさんに会えたらあげちゃおう。あ、確かにもう一つ武器が増えてるね。


 赤く物々しい大剣のアイコンの隣には、木の棒らしき絵が書かれたアイコンが追加されていた。


「これは……、杖? 確定的明らかに魔法職向けのステータスだし、当然かな」


「おお、杖ですか。それではアイテムの詳細を見てみるとしましょう」


 杖らしき物のアイコンをタッチ。効果は、じゃなくてえーと、どんな性能かなー?



[木の棒]

品質★☆☆☆☆ 装備品:その他 取引可


性能:

ATK+1


説明:

木材を加工しただけのただの木の棒。

地面に絵を書いたりして遊ぼう。

何かの素材に使えない事もなさそうだ。



「……ぷっ」


「ログアウトー!!」


「お、お待ちくだふっ、ふふっ」


 笑った!? 笑ったねシアさん!! これは許されざる……事もないね。


 シアさんが笑いを堪えられないとか珍しいものが見れたので、この木の棒は当たりだったと言わざるを得ない。




 とりあえずこの木の棒は、忘れた頃にシアさんに見せて思い出し笑いを誘うために取っておこう。何かの素材になるかもしれないし、インベントリや倉庫に余裕が無くなるまでは保管しておいても損は無い筈だ。


「ふう……、申し訳ありませんでした。恐らく姫様の年齢のせいではないかと思われます。子供に武器を持たせる訳にはいかない、と運営の方々が気を利かせてくれたのでしょう」


「なんという余計なお世話……、でもないかな。ふふふ。シアさんはこういう不意打ち的な笑いに弱いよね」


「むう……。しかし、初期武器が手に入らないとは思わぬ誤算です。まあ、魔法を主に使われるのでしたらそこまで必要性に駆られる事もありませんね」


「うんうん。一応言っておくけど、武器が無いからってこの剣みたいにチート的な事して作っちゃ駄目だからね。装備品を頑張って手に入れるのもゲームの楽しみの一つなんだから。分かった?」


「は、はい! 姫様、ご立派です……!! ああ、感動で涙が……。ハンカチを生成しましょう」


「駄目だって言ってるのにー!!」


「ふふふ。勿論冗談です」



 まあ、シアさんはサポートキャラだし、私のデータをいじられなければある程度までは許容しよう。

 とりあえずはこの[竜殺しの大剣+1]はキャロルさんにあげようかなとも思ったけど、やっぱりシアさんに返しておこう。キャロルさんだってそれを望む筈だ。


 タッチして取り出し、と。


 出現したのは、真っ赤なギザギザの両刃の、幅広で肉厚な2m超サイズの大剣。お肉を上手に焼く狩りゲームでありそうなデザインだ。あのゲームには装備品の重さなんていうシステムは無かったが、ここはとことんリアル趣向のゲーム、実際かなりの重量に……、うん?


 今は落下防止が働いて浮いてるからいいけど……、これって床に落ちたら大変な事になるんじゃ……?


「さて、私は受付の方に謝罪を入れて参りますね」


「露骨過ぎる!! 早く受け取って受け取ってー!!」







チュートリアルはもう少し続きます。

……もう少しで済むんでしょうか?(震え声)



インベントリ、打つのが面倒くさいですね。

アイテム欄にしようかなとも思いましたけど大差無さそうで……

ポーチか鞄辺りがいいかもですね。


ここでKGP運営チームからのお知らせです。

ステータス画面、インベントリ、アイテム説明等のレイアウトは予告無く変更される場合があります。(改訂話)


まあ、この先設定に凝り始めてしまったら、表示しておかないといけない情報が増えるかもしれない? 程度の話です。

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