キャラメイク編
本編の二十歳以上編終了時までのキャラと、さらにネタバレが含まれている、かもしれません。未読の方には申し訳無い仕様になっています。
特にゲーム設定などは煮詰めず、その場のノリと勢いで楽しく書いていけたらいいなと思っています。なので頭をからっぽにして読んで頂けると大変助かります。
ツッコミ所満載な内容、かもしれないので感想でのツッコミも大歓迎です。
唐突な話だけれど、女神様がどこかの世界から調達してきたらしい最新の体感型オンラインゲームを遊ぶ事になった。
勿論私だけではなく、私の家族やお友達、その他色々な人達にも配布されている。一人でオンラインゲームを遊ぶなんて何の意味もないし楽しめないからね。
しかし、どこの世界か知らないけど随分と技術が進んでる世界もあるものなんだねー。まあ、細かい事は気にしなくてもいいか、どうせ行く事もないだろうし。前世でやっていた、マウスをポチポチとクリックして遊ぶのとは全く勝手が違いそうだから新鮮で楽しみ、とにかく楽しみだ。
アレをコレしてここをこうしてああなって、早速ゲーム開始だ!
とりあえず始めてみたものの、目に入ってきたのは一面真っ白な何も無い世界。これがあの有名な精神と時の部屋か……。
――KGPの世界へようこそようこ!!
「うわぅ! ……ようこ?」
おおう、驚いた、誰もいないのに声だけ聞こえてきたよ。しかし、気のせいかどこかで聞いた事のある様な声だね。
――驚かせてしまったみたいですね、申し訳ありません。姿を見せず失礼かとは思うのですが、ゲームの仕様ですのでご容赦ください。
「あ、はーい。シラユキ・リーフエンドです、はじめましてー」
仕様ならしようがない。とりあえず今向いている方向に向かってペコリとお辞儀。
――これはご丁寧に。シラユキ・リーフエンド様……、登録完了です。改めまして初めまして、私はスタートガイドです。特に名前はありませんのでお気軽にガイドとでもお呼びください。ゾイドでもバイドでもメイドでも構いませんが。
「バイドは色んな意味で危ない! メイ……、ガイドさんって呼ぼうかな」
――はい。それでは早速……、こほん。この空間はキャラメイクの場となっております。ガイドに従って質問にお答えくださいね。これでキャラの大体の方向性が決まりますが、ゲーム内の行動によって成長は様々、多岐に渡ります、深くお考えになられずとも結構ですよ。
「質問に答えてキャラの初期スキルを決める系かな? はーい、分かりましたー!」
なんか凄そうだね。こっちの言葉に普通に返してくるし、さすが異世界の最新ゲームだ、侮れない。
――はい、可愛らしいお返事ありがとうございます。では……、唐突ではありますが『あなたはモンスターと戦う事になってしまいました。〔剣〕と〔魔法〕、どちらを用いて戦いを挑みますか?』。
いきなり来たね……! これは戦士系か魔法使い系かを決める質問と見た!! ふふ、経験が生きたな。
私はリアルではモンクタイプではなく、どちらかと言うと大反対の魔法使い系だからここは戦士系を選んでみようかな。折角ゲームの世界なんだから、普段とは変わった事に挑戦しないとね。
「剣で!」
――剣ですね。しかし刃物の扱いは大変難しく、危険が伴う物です。ここは魔法としておきましょう。魔法少女リリカルシラユキ様のはじまりはじまりです。
「あれ!?」
質問に答えた意味は!? いやいや、私の体格を見て武器を振るうのは無理無理、魔法の方がいいだろうと判断してオススメしてくれたんだよね、きっと。魔法少女シラユキ☆マギカにならなかっただけよしとしよう。
――あなたは魔法を巧みに操りモンスターを華麗に可愛らしく撃破しました。『一息つくとすぐ近くに人が一人倒れている事に気付きました、皮装備一式の初心者冒険者のようですね。さらによく見てみると、先程のモンスターに襲われたのか深い傷を負っています。その時あなたがその方に対して取った行動は以下のどれだったでしょうか? 〔魔法で傷を癒した〕〔回復薬を渡した〕〔見て見ぬ振りをした〕』。
変わった質問だね。前二つは多分回復系か攻撃系かの事だと思うけど、最後のはなんだろう? ひどいな。
「えっと、魔法で傷を癒した、で!」
まあ、深く考えないでって言われたし、私と言えば癒しの魔法だからね、これ一択だよ。最近は便利なアイテムボックスと化してる気もするけど……。
――おお、なんとお優しい。傷の癒えたその方は、「やっぱり回復魔法が使えないとダメかー。すごいなー、憧れちゃうなー」と大絶賛してその場を去って行きました。きっと帰宅後に【死にそうになってたら可愛い魔法少女に助けられたけど何か質問ある?】というスレを立てている事でしょう。ちなみに私個人的には、止めを刺してから持ち物を漁る、が正解ですね。
「IDの数だけ腹筋させられるんですね分かります。ってガイドさん怖い!!」
そもそもそんな答えは選択肢に入ってな……、はっ!? それだけ自由度が高いゲームっていう事なのか……。これはちょっと不安になってきちゃうね。
――自然界はそれだけ厳しいものなのです。場面は変わります。『モンスターのドロップ素材を拾い集め、無事に町へと帰ってくる事ができました。あなたはまずどこへ向かいますか? 〔素材を店に売りに行く〕〔手に入れた素材で新たなアイテムを生産しに工房へ向かう〕〔自宅で【皮装備の貧弱一般冒険者を助けてきたけど何か質問ある?】というスレを立てる〕』。
「スレ立てはしません!」
――それは残念です。
このガイドさんはまとめサイトとか大好きそうだね……。
質問の方は分かりやすい。生産系スキルを取るか取らないか、っていう意味だろう。
「工房に向かいます!」
やっぱり生産系も何かやってみたい。スキルが貰えるならこう答えておこう。
――[竜殺しの大剣+1]が出来上がりました。おめでとうございます、+1のHQ品ですよ。
「さっきのモンスターってドラゴンだったの!? ドラゴンに皮装備で挑んださっきの人は何を考えてたの!?」
――さあ? 私もそこまでは分かりかねますね。ひ、シラユキ様、実際にあった出来事ではなくただの質問なので、そこまで深く悩まれずともよいのですよ?
「は、はーい……」
もういいや、まともに取り合っても疲れさせられるだけだろうから適当に答えちゃおっと……。こういう人との会話に慣れている私に隙はなかった。
――出来上がった[竜殺しの大剣+1]はどうしますか?
「私は魔法使いだから使えないだろうし、露店に出してみるとか?」
――そんな勿体無い、ひm、シラユキ様のお手製の品を……。あ、丁度よく美味しそうな名前の竜人が歩み寄って来ましたので、その方で試し切りをさせてもらいましょう。
「美味しそうな……? ショコラさん逃げて!!」
――ガトーショコラを倒した! レベルが上がった! 可愛らしさが上がった!
「なんで可愛らしさが!? しかもそれだけ!? ってやっぱりショコラさんだった!!」
――ガトーショコラと言えば、お好きな食べ物は何ですか?
「方向性が一気に変わった!? い、苺!」
――では嫌いな食べ物、もしくは殺したい程に憎い人物を挙げてください。
「いないよ! うーんと、辛かったり匂いがきつかったりするのは苦手かな」
――反対に好きな方はいらっしゃいますか?
「好きな人? 一番に出て来たのは母様かなあ……」
――あ、いえ、ご家族の方以外でお願いします。
「えー? うーん……?」
――ではもう少し絞りましょうか。す、好きなメイドさんは、では如何でしょう?
「メイドさんで? メイドさんはみんな大好きだよー」
――か、可愛らしい!! はっ!? そ、そうではなくてですね、誰か一人挙げるのならどなたになるのでしょうか? あ、胸の好みで選んではいけませんよ? あくまでメイドとしての……
……よし。
「ガイドさんガイドさん?」
――はい姫さ、シラユキ様。何か御用でしょうか?
「もしかしてガイドさん、私の知ってる人じゃないですか?」
――いいえ? 私はどこにでもいるただのスタートガイドでございます。
「そうですかありがとう。元Sランク冒険者の私のお付のメイドさん凄いですね」
――それほどでもありません。
やはりシアさんだった!!
しかも元Sランクなのに謙虚にそれほどでもないと言った!
「もう! なんだったの!? キャラメイクは!?」
「ありませんよ? 自由度がウリのゲームにキャラメイクなど必要ないでしょう。何をするにもご自分でお決めになられてよいのですよ。ちなみに今の空間はメイドスキルで創っておりました」
「しれっと出て来ちゃってシアさんはホントにもう! シアさんも一緒に遊ぶんだよね? 職業はメイドさんとか変わったのもあるの?」
「いえ、今回私は姫様のサポートに専念したいと思います。よくあるヘルプ機能にキャラ絵が付いている感じのアレです。あのイルカ的な」
「お前を消す方法、とか聞かれちゃうイルカの事だね……。シアさんを消す方法は?」
「ありません」
「やはり無かった! サポートは純粋にありがたいから消せても消さないけどねー。ふふふ」
「嬉しい事です。しかしこの姿では何かと邪魔になってしまうかもしれませんね。プレイヤーと誤解されてしまう事もありそうです。ふむ……、こんな感じで如何でしょう?」
「シアさんが妖精さんサイズ(20cm)になって目の前でフワフワ浮かんでる! 可愛い!!」
「わざとらしい説明セリフありがとうございます。この様にメイドスキルで宙に浮かぶ事もできますが、失礼してお肩を借りさせて頂きますね。それでは、始まりの町へと参りましょうか」
「うん! しゅっぱーつ!!」
「ああ……、姫様の香りを全身で感じ取る事ができるなんて……。クンカクンカでございます」
「やめて!! そういえばKGPって何の略なの?」
「K(こいつはくせえッー!)G(ゲロ以下のにおいが)P(プンプンするぜッーーーーッ!!)の略です」
「製作者チームの人達は一体何を考えてるの!?」
「勿論冗談です。正式なタイトルは私にも分からないのですよね……。申し訳ありません」
「そうなんだ? まあでも、別にいいかな。それじゃ気を取り直してしゅっぱーつ!!」
「はい。しゅっぱーつ、でございます。ふふふ」
HQ品は、ハイクオリティ品の略(ですよね?)で、通常品よりも少しいい性能だよ、という意味です。
この単語ってなんぞ? という質問もお気軽にどうぞ。