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第七話:灰の下に眠る「水」と、情報の建築学

クローバーの芽吹きは、あくまで序章に過ぎない。

 領主として、そして「情報の修復師」として俺が次に着手したのは、この村のライフラインの根本的な刷新だった。

「アルス様、今日はあっちの大きな穴を掘るんですか?」

 私の後ろをトコトコとついてくるのは、あの日水をくれた少女・ミーナだ。彼女は最近、リィナに教わって読み書きを覚え始め、今では私の「記録係」を自称して、小さな羊皮紙の束を抱えて歩いている。

「ああ、ミーナ。ここがこの村の『心臓』になる場所だよ」

 俺は一冊の分厚い本を広げた。市場の隅で「濡れて腐った紙の塊」として捨てられていた、『古代王国の都市計画図:北方編』。

 スキルで復元したその図面には、灰の下に隠された地下水脈の正確な位置が示されていた。

「ロイ、ここだ。三メートルほど掘れば、岩盤の隙間から水が湧き出すはずだ」

「承知いたしました。……皆さん、この位置です!」

 俺の指示で、ロイが率いる領民たちが一斉に地面を穿つ。かつては絶望していた彼らの目には、今や「この領主様についていけば間違いない」という強い信頼が宿っていた。

 数時間後。底から澄んだ水が噴き出したとき、村中に歓喜の叫びが響いた。

「出た……! 本当に水が出たぞ!!」

 だが、俺の計画はそこで終わらない。俺は前世の知識――「砂と炭による濾過装置」の図面を広げ、修復したエルフの「浄化術式」を組み合わせた。

 これにより、降り注ぐ火山灰の影響を受けない、清浄な水が村中に供給される仕組みを作った。

「すごい……お水が、キラキラしてる……」

 ミーナがその水に触れ、瞳を輝かせる。

「これでもう、喉を痛めることもなくなるよ。次は『家』だ」

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