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後日談:黄金の午後と、動き出す歯車

建国祭の喧騒から一ヶ月。王都の混乱は収まり、ルミナス王国には穏やかな春が訪れていた。

 アッシュランド領主邸のバルコニー。

 アルスは、リィナが淹れた特製のアールグレイを楽しみながら、一通の手紙を広げていた。

「アルス様! フィリア様からお返事が来ましたよ。……あ、でもこれ、半分くらい古代語で書かれてて私にはまだ読めないかも……」

 ミーナが、少し背の伸びた姿で駆け寄ってくる。彼女の瞳には、鑑定の光を宿さずとも、知的な鋭さが備わりつつあった。

「ふふ、フィリア殿下も意地悪だね。ミーナへの『宿題』のつもりかな」

 アルスは微笑み、手紙を修復デコードした。

 そこには、王宮の図書室で見つかった「どの国の歴史にも載っていない島」の記述について記されていた。

「閣下。……準備が整いました。エドワード殿も、王宮騎士団の再編を終え、同行を希望されています」

 影から現れたサバス。そして、その横にはソル・レイスを背負い、より精悍さを増したロイが控えている。

「……ありがとう、みんな。この国は直せた。でも、この世界にはまだ、僕の手が必要な『欠けた頁』がたくさんあるみたいだ」

 アルスは立ち上がり、遠く水平線の向こう、まだ見ぬ未知の大陸を指差した。

「行こう。……次は、世界の歴史を綴じ直す番だ」


【第一章・完】

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