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第二十七話:家族の肖像と、村長の涙

街の中央広場では、秋の収穫を祝う祭りの準備が進んでいました。

 そこには、ミーナの両親の姿もありました。かつて灰を噛むような生活に絶望し、娘に泥水を飲ませるしかなかった二人ですが、今はアルスが設計した「共同醸造所」の責任者を任されています。

「アルス様! 見てください、今年の『灰金麦』で仕込んだエールです。最高にキレがありますよ!」

 ミーナの父が、誇らしげにジョッキを掲げます。

「ミーナをあんなに立派な『助手』にしてくださって……。あの子、毎日アルス様のお役に立てるのが嬉しいって、家でもずっと閣下のお話ばかりなんですよ」

 母も、涙ぐみながらアルスの手を握りしめました。

 そんな光景を、街の長老となった村長が、完成したばかりの時計塔の上から見下ろしていました。

「……信じられん。バラバラに死を待つだけだった者たちが、これほどまでに笑い、競い合い、一つの『国』のようにまとまるとは。アルス様、貴方は歴史を修復するだけでなく、私たちの『命』そのものを修復してくださった」

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