第二十四話:ミーナの鑑定――世界を映す瞳
場の空気を和ませるように、アルスは後ろに控えていたミーナを前に出しました。王宮の豪華な装飾に目を白黒させている彼女に、アルスは優しく語りかけます。
「ミーナ、怖くないよ。君がいつも僕を助けてくれているその力が、本当は何なのか、ちょっとだけ見てみよう」
「は、はい……! アルス様がおっしゃるなら、私、頑張ります!」
アルスはスキルの極致である『深層修復鑑定』を発動させました。かつて「ゴミ」を鑑定していたその力は、今や人の魂に眠る情報の原典すら読み解くことができます。
柔らかな金色の光がミーナを包み込みました。
鑑定盤に浮かび上がった文字を見た瞬間、その場にいた全員が息を呑みました。
【名前】ミーナ
【スキル】真理の編纂者(真実の書庫)
【効果】あらゆる事物の『真実の姿』を視認し、それを記録・再生する。
「……これ、は……」
アルスですら、その数値の高さに驚愕しました。
「ミーナ。君が僕の資料を整理する時、一度見ただけで内容を完璧に覚えていたのは、この力のおかげだったんだね。君の瞳は、嘘を一切通さない。世界そのものを書き留める『生きた魔導書』なんだ」
「えへへ……なんだか凄そうですね。でも、アルス様のお役に立てるなら、私、とっても嬉しいです!」
ミーナの無邪気な笑顔が、緊張感に包まれていた部屋を明るく照らしました。
しかし、国王と辺境伯は顔を見合わせました。このスキルがあれば、ガストン侯爵が主張している「偽りの血脈」の矛盾を、一瞬で見破ることができる。
「アルスよ、この娘は……まさに王国の至宝だ」
「ええ。サバスとリィナに領地を任せてきた甲斐がありました。彼女こそが、貴族派を根底から崩す『最後の一撃』になります」
ミーナは何も知らず、ロイがこっそり手渡した王宮の高級菓子を「美味しい!」と頬張っています。
平和な光景の裏で、反撃の布陣は完璧に整いました。




