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第二十二話:王家派vs貴族派――血脈の否定

その頃、王都の権力構造は、かつてないほどに歪んでいた。

 王家派(ラインハルト辺境伯・エレナ等)が守るのは、代々受け継がれてきた現王室の正統性。だが、それを真っ向から否定し、実権を握ろうとしているのが貴族派の頂点、ガストン侯爵宰相である。

「現王室など、建国の混乱に乗じて玉座を掠め取った偽物に過ぎぬ」

 侯爵は、自身の執務室で独りごちる。

 彼は、自らこそが建国の祖である「英雄王」の正当な血脈を継いでいると固く信じていた。彼ら貴族派にとって、不遇なスキルを持つ第二王女フィリアや、幼い皇太子レオは、排除すべき「偽りの象徴」でしかない。

「レトヴィス伯。例の『古文書修復』の噂はどうなった」

 招き入れられたレトヴィス伯爵に、侯爵が問う。

「……私の捨てた三男に、王家が接触したという噂がございましたが、エドワードの報告により否定されました。あれはただのデマにございます」

「そうか。ならば良し。王家が『建国の真実』を記した原典を修復しようとしているという情報がある。もしそんなものが出回れば、我らの主張が揺らぎかねん。今のうちに、図書室の掃除(暗殺)を済ませておく必要があるな」

 カイルは、侯爵の言葉に深く頷く。

「御意に。フィリア王女の周囲に、既に私の息のかかった者を潜ませております。いつでも『事故』は起こせます」

 その光景を、エドワードは影から見つめていた。

 かつて自分が「正義」だと信じていた家は、今や王国の根幹を腐らせる毒となって揺らめいている。

(……アルス。お前が修復しているのは、単なる本じゃない。この国の、ねじ曲げられた『真実』そのものなんだな)

 エドワードは密かに、アルスから渡されていた「通信用魔導具」を握りしめた。

 王家派と貴族派、その激突の火蓋は、今まさに切られようとしていた。


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