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7/45 見積ーカネヅル

「やっぱ、神野はいいな、最適解も問題点もすぐに出てくるから気持ちいい

 サクサク感がたまらないっす」


「俺はポテチかw」


この段階では二人の思惑は微妙にずれていた


(神野はきっと乗ってくると思った)


(乗ってやってもいいが、そんなに甘くねーぞ)


AIハナちゃんのアプリの説明をひと通り聞いてみると、選挙だけでなくニュース制御に使えそうなので、神野はアプリの販促を引き受けた


ネットニュースは信ぴょう性が低いのに、煽り文句に乗せられてフェイクが拡散しやすく、若年層ほど騙されやすい


『嘘に乗せられるのはダサい』というコンセンサスを作っていく、というのがハナちゃん開発者の隠された意図だと倉田は言う


(なんだかピュアなおハナシだな

 もしかして騙されたことがある人たちなのかもしれない)


「今度、開発者を紹介するよ

 遠くに住んでるから俺もビデオ会議でしか会ってないけど」


「AI人材は貴重だから、ぜひ会いたいな」


AIの技術はさすがに神野のところではまかなえない

それだけに倉田の話は興味深かった


「ただ、俺個人がその話に乗っかるのはいいが、会社として人員は割けないぞ

 経験値自体がゼロだからな」


「個人で営業掛けるのか?」


「法人でなきゃ話も聞いてもらえんよ

 名刺は使うが他のスタッフはタダじゃ出せない

 人手がいるときは人件費として上乗せする」


「それはもちろん」


あまりに簡単に言うので神野は不思議そうに訊き返した


「人件費、舐めてねえか?

 というか、俺らの経費はほぼほぼ人件費だし」


神野はスマホの画面を計算機に変えて見せた


「補填するって言うが、これが企業向けだったらウチみたいな零細でも見積もり出せば500はいく

 月50で10ヵ月、さらに成功報酬でプラス100は欲しい」


「ほお、お安いと思いますが」


「市長選の予算なんて知れてる

 恐らく相当ねぎられるから、報酬は形だけだろう」


「それくらい出すって、投資と考えれば安いもんだよ」


「本当だな?」


倉田は神野が笑ったのを見て(あれ?)っと思った


(うわー、神野が悪い顔してる、なんかしくったか?)


「俺は選挙は素人だが

 俺のやり方でやっていいんだよな」


「そうだけど」


「じゃ、俺が必要だと思ったものは全部用意させてもらうぞ

 ウチの会社で出来ないものは外注になるから、相当高くなる

 それでもいいんだな?」


「俺が言い出したんだから借金したって払うよ」


倉田がやけくそのように言うと、神野は声を出して笑った


「よく言った

 これでモチベが上がってきた」


(まさか8ケタはいかないよな…)


神野が笑うのを見ながら、倉田はこっそり心配していた


「安心しろ、代理店通してないから相場より3割は安いはずだ」


(ちょろ〜

 こんなもん、相場なんてあってないようなもんだがなw

 稟議が通るくらいの金額にはしてやるよ)



【余計なお世話書き】

おカネのことになると神野くんはシビアです。

自分で起業したのだから当然で、友達だからって手加減しません。

お兄ちゃんに会社をもらってきた倉田くんとは覚悟が違うので仕方ないですわ。

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