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6/45. 情報-新しいお仕事

神野はカフェの天井を仰いだ

見慣れた吹き抜けに揺れる日差しを目で追いながら考える


(こんな話を俺にするってことは、本気で考えてるんだろうけどなぁ)


倉田の恋愛脳は神野には理解しがたく、『お花畑野郎』としか言いようがない


そして本来ならこの話は断るべき、とは思う

恐らく倉田は実務を神野に丸投げする気だ

会社が順調で忙しい中、時間を食われて他の仕事に支障があっては困る


だがそれでも

神野は倉田と仕事がしたいと思っていた


小学生の時もすぐに友達になった

ごく短い間だったのに、誰よりも倉田と遊んだことを覚えている


(しょうがないよな、コイツといると楽しいんだから)


神野は天井から賑わう店内に視線を移した

青山通りが近いので学生や若いビジネスマンが多い


(この半分が選挙に行かない

 そいつらを踊らせられれば)


ナツの母親や倉田の恋人が言っていた『選挙のありがたみ』に大半の日本人は気付いていない


ならば伸びしろはあると神野は思った


「わかったよ、おまえの本気度が気になっただけだ

 でも、選挙の専門会社だってあるだろ?」


「それはなんか違う気がする

 あれは煽って乗せて、バカが増えてく感じがムカつくんだ」


(おいおい、どの口が言う)

倉田はインフルエンサーだった頃、そちら側の人間だったということを忘れているようだ


「俺の商売も似たようなもんだが

 そういった選挙専門のコンサルがあるくらいだから、新しい儲け口としては有望だと思う

 参入できるかどうか試してみる価値はあるな

 今回はおまえがカネ出してくれるんだろ」


「そうだよ

 こんだけいい条件出してんだから、断る手はないんじゃねぇか」


「それでもう一つの条件

『実証実験』って具体的には何をしたいんだ?」


倉田はスマホを取り出すとアプリを立ち上げ、画面を神野に見せた


「これは『AIハナちゃんニュース』のアプリβ版だ」


「ニュースアプリか、目新しさはないが」


「これにはユニークスキルがあってね

 例えば」


倉田がアプリを操作すると、ずらずらと投稿の見出しが出て来た

それらのいくつかにはバッテンが付いていて、中にはいきなり弾かれるものもある


「このバッテンはなんだ?」


「それはフェイク判定を可視化したもの

 フェイク度75%でバッテン、95%で弾かれる」


「フェイク判定は難しいって聞いたが」


「それをかなりの高速でできるのがAIハナちゃんなんだ

 botや同一IP連投なんて瞬時に見破るよ

 さすがにディープフェイクは時間がかかるけど」


「ネットのニュースなんて言ったもん勝ちで、真偽は自己責任って感じだと思ってた」


「だから嘘ばっかりはびこるし、自分が見たいニュースしか見なくなる」


「確かに日本はネットリテラシーが低めだ」


「この他にも開発中のアプリはいくつかあってね

 製品化の前にできるだけ生のデータが欲しいって開発から頼まれてる

 それも情報が洩れないように信頼できる方法で

 だから、俺は神野に頼みたいんだ」


「情報を制するツールはなんぼあってもいいねぇ

 データ収集なら十分、貢献できると思う」



【余計なお世話書き】

こういうAIあるといいなと思ってました。

フェイクを短時間で見破れたりとか、詐欺広告を摘発できたりとか、そのうちできそうな気がしてます。

もちろん、ここで出てくるのはフィクションです。


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