表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/47

プロローグ

挿絵(By みてみん)

早春の薄雲を透かして降り注ぐ光が淡い午後


春疾風(はるはやて)が吹き抜ける駅前の小さな広場で、彼は叫んでいた


拡声器を使っても風で声は拡散してしまうが、構わず真っすぐ前を見て、届くと信じて彼は叫んでいた


傍らに置いた自転車に括りつけられたのぼり旗が、強い風に煽られはためいている


旗は鮮やかなエメラルドグリーンで染められていた

初当選以来ずっと使っているイメージカラーで、いま彼が着ているのも同じ色のジャンパーだ


彼の名は『大塚たつや』


この小さな町で4回の当選を果たしている市議会議員

ただし、いつも当落ラインギリギリの無所属議員だ


議会以外のルーティンとして、週に一度は路上演説会や市民交流会を開いているので、その熱心さは評価されているということか


今日の聴衆は5人ほど


大きく腰の曲がった女性

難しい顔をしている50がらみの男性

にこやかに頷く白髪頭の男性

とくにリアクションもなく聞いている若い男性

買い物に行く途中に寄ったママチャリの女性


ここまではいつものメンバーだ


ただその日は、少し離れたバスのロータリーに、こちらを伺う男の姿があった


最初はただバスを待つ客だと思っていたが、バスが来ても乗る様子はなく、彼の話に聴き入っている


黒いスーツを着た長身細身のその男は、春の光の中でひどく場違いなものに見えた


大塚はその男にも届くよう、さらに大きな声で叫ぶ


いつの頃からか、この町の、この国の行く末に対する、漠とした不安が彼を突き動かしていた


黒い染みのように佇む男が、大塚の言葉にできない不安を具現化しているように思えたのだ


やがて彼の話は終わり、聴衆はパラパラと拍手をし、何人かが「がんばってね」と声をかけて去っていった


ひとりひとりに丁寧に頭を下げ、握手を返す大塚に、黒いスーツの男が近づいてきた


「ありがとうございます」


大塚はその男にも深く頭を下げた


男は30歳ほどだろうか、鋭い目つきを隠そうとするかのように笑顔を浮かべている


「お疲れ様です

 すみません、私はこの町の有権者ではないんです」


「それなのに、わざわざ聞いてくださったんですか?」


「はい、私、こういうものです」


男は名刺を差し出してきた


「株式会社Linxの代表、神野さん

 プロモーション会社の方、ですか?」


(若き起業家ってやつか)


偏見かもしれないが、大塚はこういう横文字職業の起業家は、ギラギラとブランド物で着飾っているものだと思っていた


だが、神野と名乗ったこの男のジャケットの中は白いTシャツで、アクセサリーどころか時計もしていない

革製の薄いブリーフケースを持っているだけだ


「そういったこともやっていますが、WEBプロデュースを得意としています」


神野は大塚が差し出す名刺を受け取りながら言った


「はぁ、なるほど

 えっと、私にどのような」


もちろん大塚はこの手のアプローチに慣れていない

泡沫候補の自分にプロデュースなど縁のないものと決め込んでいた


だが、この男が次に発した言葉は、さらに意外なものだった


「大塚さん、次回の市長選、出馬しますよね?」



【余計なお世話書き】

あまり考えずに取り急ぎ書いたので確認のため後書きしています。

邪魔くさければ飛ばしてください。


純文学っぽくカッコよく書こうとして痛々しくなっておりますw。

この調子はここだけです。

ここでのやりとりは後々、出てきますのでちょっと覚えておいていただけたらと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ