魔王と勇者の前日譚
これはこの物語の前日譚です
我輩は魔王である
魔王ではあるが別に人間が嫌いなわけではないし争おうとも思っていない
むしろなんで人間は見た目が違って人間より魔力量が多いってだけで何がなんでも倒しに来るんだ…
我輩は人間界で育ったというのに…
「あなた…この子に額に…」
「あぁ…なんてことだ……」
「この子は魔族だ…」
「こんな子育てるなんて無理よ!!」
「無理することはない…解決方法ならある」
「……ああそうねそれが一番だわ」
それが最初で最後の両親の声を聞いた時だった
それからというもの我輩は森に捨てられていたらしいが、そこを通りかかった自称魔女を名乗る女が我輩を拾って育てた
「お前…なんでまだ赤ん坊なのに喋れるんだ?」
「知らん」
「魔力量が多いと知能も比例するのかしら」
「勝手にして」
「にしても私の言葉を覚えるせいで口が悪いわね…」
「お前のせいか」
「知らないわよ覚えるのはお前なんだから」
「分からない」
「何が?」
「私はなんで捨てられた?」
「角が生えてるからでしょうねぇ」
「なんで角が生えてると捨てる?」
「見た目が同じじゃないからでしょうね」
「なんで見た目が違うと捨てる?」
「人間はそういう生き物なのよ」
「人間は変、お前も変」
「ちょ!こらこのバカ!」
「バカ人間」
「私は魔女!」
「お前は人間」
「…もういいわよ」
この自称魔女に育てられて我輩はあっという間に育った…がしかしミスを犯した
「あれだけ外に出るなって言ったでしょ!」
「果物を食べたかった」
「はぁ…とにかくお前は逃げろ」
「お前は?」
「ここに残るわ」
「なんで一緒に逃げない?」
「そしたらもっと怪しまれるからよ」
「…分かった」
「ほら、さっさと逃げんな」
「…本当にすまない」
そうして第二の母親を置いて逃げた
…が証拠不十分として殺されなかったことを風の噂に聞いた
その後魔物達を仲間にして力を蓄えたが
魔物たちが増えすぎたため大きな建造物が必要になったため城を築いた…が勘違いした人間が魔王復活として攻めてくるようになった
「よく来たな勇者よ、倒せるものなら倒して見みろ」
「聞きたいことがあるんだけどいい?」
「…なんだこれから戦うってところで」
「あなたって無害よね?」
「まぁ…そうだな……」
「なんで城に攻めてこないの?」
「攻める理由あるか?別に恨みなんて持ってないし…」
全然恨みはあるが自称魔女がいるため攻めてないだけである
「魔王ってそんなキャラなんだねw」
「黙れ小娘が」
「まぁいいや…じゃあさ貴方のこと討伐しなくてもいいんだよね?」
「まぁ我輩を討伐したら魔物は統率を失ってそこかしらに散って暴れてるだろうな
得するのは領土を増やせるところだけじゃないか?」
「むしろ倒さない方がいいじゃん」
「そうかもしれんな」
「優しい魔王様なんだね!」
「魔王は恐ろしいというきまりでもあるのか?」
「たしかに!ないね!アハハハ!」
「変な勇者だな…」
「でも家族のために倒させてもらうよ
貴方の人柄?魔族柄は好きだけどね!人だったら結婚しちゃってもいいくらい!」
「ほんとにお前はなんなんだ…」
「ねぇ人間になれる魔法とかないの?」
「あったとしても我輩がいなくなって危なくなるだろ」
「それもそうだねアハハハ!」
「貴様ほんとにおかしいな…まぁいい戦うぞ」
「力だけ…は本物なの…だな……」
「残念だよもうお別れしちゃうなんて」
「……最後にお前を苦しめる呪いでもかけてやろう…」
「え!?そんなのやめてよ!」
「も…うかけ…たぞ」
「え!なんの呪い?やだな〜…」
「我…輩が復活し…たとき…お前も転生…して力を…授ける呪い…だ!」
「どう…だ…嫌…だろう!!」
「…またお話出来るんだね……!」
「ありがとう魔王様…そういえば魔王様ってなんて名前なの?」
「今…更か」
「我輩の…名…前は……」
「魔王様?…ねぇ聞こえないよ」
「魔王様…肝じんなと………ぅ……ね!………ょ………ま!」
我輩は死んだ…だがいずれ復活するだろう
その時を私は心待ちにしながら待つとしようではないか