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悪いのは誰?  作者: 茶樺ん
第二章 ミリとレント
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何ですかそれは

「・・・ちなみにですけれど、コーカデス卿は石材をどの様に運ぶ事をイメージしていましたか?」


 ミリはレントとの話しの取っ掛かりを掴もうと、少し考えて話題を少しずらす。

 レントは一瞬眉根を寄せるが、直ぐに表情を戻した。


「石切り場を視察した時点ではわたくしも、以前は人が担いで下りて馬車に積んでいたと聞いておりましたので、それを考えていました」

「・・・視察した時点と言う事は、今は別の考えなのですか?」


 ミリの探りに、レントの眉間がまた一瞬狭まる。


「・・・いいえ」

「・・・何か考えがあるのではありませんか?」

「いいえ。単なる思い付きですので」

「と言う事はやはりあるのではありませんか。どの様なアイデアですか?」

「・・・あの、ミリ様?」


 レントは眉間を狭めたままミリに尋ねた。今度はミリも眉根を寄せる。


「はい」

「わたくしの思い付きを述べる事に、どれ程の意味がありますか?」

「・・・え?」


 レントの言葉をミリは直ぐに理解出来なかった。


「ミリ様はお忙しいのですから、ミリ様のお話に移って頂いて構いません」

「何ですかそれは?」

「え?え~と、わたくしが報告したソロン王太子殿下との謁見の内容に、ミリ様は疑義をお持ちなのですよね?」

「いえ、そうではなく、どうしてコーカデス卿の意見を聞く事に、意味がない様な事を言うのですか?」

「・・・申し訳ございません」

「・・・何で?」


 頭を下げるレントにミリは驚く。


「どうしたのですか?コーカデス卿?」

「・・・あの、どうしたとは?」

「え?・・・あの、何故、いま何を謝ったのですか?」

「え?・・・それは、わたくしがミリ様のお考えを読み取れず、余計な事を言ってしまった為ですが、あの、何故とは?」


 二人の間で意思の疎通が出来ていない事は、二人とも良く分かった。


「コーカデス卿」

「はい、ミリ様」

「今のわたくし達の状況は、危険なのではありませんか?」

「・・・はい」


 レントも危険とは思う。けれど、ミリとは違う事を考えてしまっているかも知れないと考えて、返しが一拍遅れた。


「わたくしはコーカデス卿と話し合いがしたいのです」

「・・・はい」

「え?大丈夫ですか?話し合いですよ?話し合い?」

「はい」

「コーカデス卿は、わたくしと話し合いする姿勢が出来ていますか?」

「・・・申し訳ございません」

「え?・・・それは、コーカデス卿はわたくしと話し合う気持ちがないと言う事ですか?」

「あの・・・」

「・・・あの?」

「・・・何を話し合うのでしょうか?」

「え?コーカデス領の開発に付いてに決まっているではありませんか?どうしたのですか?コーカデス卿?」

「しかしそれは、ミリ商会の事業方針になりませんか?」

「・・・え?」

「わたくしの様な決定権を持たない者が、口を出すべきではないのではないでしょうか?」

「コーカデス領の事なのに、コーカデス卿は口を出さない積もりなのですか?」

「ミリ商会の決定には、わたくしは口を挟めないではありませんか。まだ、ミリ商会への出資の話も纏まってはおりませんし」

「え?それではコーカデス領からの出資前でしたら、ミリ商会はコーカデス領でやりたい放題と言う事ですか?」

「え?・・・やりたい放題としていただく訳には参りませんので、そこは領主として、ミリ商会の開発の諾否を出させて頂きますけれど、それはよろしいのですよね?」

「それはもちろんですが、そこで棄却されない様にわたくしは、事前にコーカデス卿と話し合いをさせて頂く想定なのですけれど?」

「事前にミリ様から伺っていたとしても、文書として申請された内容を見ずに許可は出せませんので、申し訳ございませんが、中には認識が違って差し戻させて頂く事もあるかも知れません」

「それは当然です」

「それに話し合いと言うよりは、ミリ商会の事業方針に付いての報告を聞く場になるのではありませんか?」

「・・・コーカデス卿はただ聞くだけだと?」

「質問させて頂く事もあるかとは思いますが、ミリ商会の事業方針を決定するのはミリ様ですよね?」

「コーカデス卿は案を出さないと言うのですか?」

「羊の酪農や水路の改修レベルの案は出させて頂く事もあるかと思いますし、わたくしがコーカデス領の予算で進めるのでしたらミリ様には相談に乗って頂きたいとは思いますけれど、ミリ商会の資金で進めて頂くのでしたら、わたくしが口を出すのはお門違いではありませんか?」

「・・・ミリ商会とコーカデス領の運営は、明確に分けろと言う事ですね?」

「いいえ。ミリ様にはコーカデス領の全権を渡すと申しましたし、その積もりです。ただしミリ様に全権を渡した責任はわたくしが取らなければなりません。その為に、ミリ商会として行う事業にはわたくしも諾否を付けさせて頂きます。そこに無駄な遣り取りを発生させない為に、予めミリ様に事業に付いて御説明頂ける認識です」

「つまりミリ商会が行う事業に付いて、コーカデス卿が素晴らしい案を持っていても、ミリ商会には提供して頂けないと言う事ですか」

「わたくしが思い付く事など、ミリ様が思い付かないわけはありません。ですのでわたくしが思い付いた事など、ミリ様に説明させて頂くのは、ミリ様の時間の無駄だと言う事です」

「何ですかそれは」


 何故レントがその様に考えるのかミリには分からない。その考え方は、ミリが知っているレントのものではない様にミリには感じられた。

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