表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪いのは誰?  作者: 茶樺ん
第二章 ミリとレント
690/754

前回と今回の差異の有無

 早朝のコードナ邸での訓練が始まる前に、レントはソウサ商会の護衛から、ミリが本日の訓練は休むと告げられた。その事でレントは、ミリが王都に戻って来ている事を知る。

 今もう王都に戻っているのであれば、レントの計算では、ミリはコーカデス領に着く前に王都に引き返して来た事になる。どの様な理由でミリが引き返して来たのか、レントは訓練中もずっと気になっていた。


 訓練後のバルとラーラと摂る朝食の席で、ミリがコーカデス領から船で戻って来た事をレントは教えられる。

 戻って来た理由はバルもラーラも知らなかったけれど、ミリがコーカデス領には行った事を聞いて、レントは少しは安心をした。ただしレントが送った手紙をミリは受け取っていない可能性が高い。

 レントはコードナ侯爵邸に戻ると、自分がまだ王都にいる事と、王家主導の王都の社交の再開時期が後ろ倒しになった事と、香辛料に付いてソロン王太子に話した事を知らせる手紙をミリ宛に、コーハナル侯爵邸と念の為にソウサ邸にも送った。


 ミリは王都の港町に着いてから、ラーラの次兄ワールにソウサ邸に運ばれて、昨夜はそのままソウサ邸に泊まっていた。コーハナル侯爵邸に戻ってディリオを愛でたかったのだけれど、体調不良がもしかしたら船酔いではなく何らかの病気の場合も考えて、ディリオにうつす可能性をミリは恐れたのだった。

 ソウサ邸に着いて直ぐにミリは、石材の規格決定に携わった建築家達に、今のところ大きなサイズの石材は在庫の目処が立たない事を知らせる手紙を書いて出した。

 そしてそれでもう力が尽きて、ミリはその日はその後はベッドで過ごした。


 ミリがレントからの手紙を受け取ったのもベッドの上だった。

 レントがコーカデス領に向かわずに、まだ王都にいる事にミリは驚く。そして王都の社交再開が延期される事にも驚いた。香辛料に付いてレントがソロン王太子に話す事は想定していたけれど、自生地が見付かるまでは店では使わない様に命じられたとの話は、ミリはもっと詳しく聞きたかった。

 取り敢えず、もし自分が病気ならレントにもうつす訳にはいかない。ミリは一番大きいサイズの石材は運べない事とそれを建築家達に手紙で伝えた事、そして今はレントと会えない事を書いた手紙をレントに送った。


 ミリからの手紙を受け取って、大きい石材が運べないとの話にレントはショックを受ける。ミリが王都に帰って来た理由はその件だろう。レントは王都に来る前に石切り場を見て来ていた。それなので石材の規格を決める時に、一番大きなサイズでは運べないと気付けていた筈だ。そう出来ていたら今回、急遽ミリが王都に戻る必要もなかった。

 そしてミリが今は会えないと言う事にも、レントはショックを受けていた。ミリは体調が悪い事は記していなかった。それはレントに心配を掛けない為だったのだけれど、その事でレントに不安を与えていた。

 取り敢えず、ミリの手紙がソウサ邸からだったのと、朝食の席でバルもラーラも何も言っていなかった事から、ミリが無事ではあるとレントは判断する。けれどそれなら自分に会えない理由は何なのか、レントは出せない答えを探して悩む事になった。



 翌早朝。

 レントが訓練の為にコードナ邸を訪れると、そこにミリの姿があった。


「え?ミリ様?」

「おはようございます、コーカデス卿」

「あの、おはようございます」

「それでは訓練を始めましょう」

「あの、はい」


 最後に会った時と変わらないミリの態度に、レントは安堵をする。ここのところの弱っていたメンタル面の所為で、大きな石材が運べない事に自分が気付けていなかったから、ミリが腹を立てて会えないと言ったのではないか、などとレントは考えてしまっていたが、そうではなさそうだとレントは受け取った。しかしミリが腹を立てているだろうとの想像は、レントの心の中から消えてはいない。

 ミリ主監トレーニングを行いながらミリと護衛達の訓練を見つつそんな事を考えていたら、今日はミリと鬼ごっこをしなかった事にレントは気付く。

 トレーニングを行いながら、レントの気分は更に少しずつ落ち込んでいった。



 バルとラーラとの朝食の席で、ミリはコーカデス領から王都まで船で来る事で、かなりの時間が短縮出来る事を話題に出した。

 しかしバルとラーラとレントが心配しない様にと、ミリが船に酔った事には言及しない。その事はワール達にも口止めをしていた。

 その為、船上での様子などの船旅自体に付いては、ミリは詳しい説明をしなかった。その事はバルもラーラもレントも気が付いて不思議に思ったけれど、船に関しての何かを隠す必要があるのかと考えて、三人ともその事には触れない様にしている。

 そして三人とも、ミリが何かを隠す相手はレントだと感じていた。


 朝食が終わりコードナ邸を辞去する際に、玄関ホールでミリからレントに声を掛けた。


「コーカデス卿」

「はい、ミリ様」


 どうやってミリに話し掛けようかと悩んでいたレントは、ミリから声を掛けられて驚いてしまう。レントは無意識に自分の胸を手で押さえた。


「この後は何か御予定がありますか?」

「コードナ侯爵邸に戻りますが」


 そう答えてからレントは、ミリと話をするべきだと気付く。


「ミリ様の御予定は?」

「わたくしはコーハナル侯爵邸に参ります」


 体調が戻り食欲も出て、病気ではなく自分はやはり船酔いだったと判断したミリは、ディリオを愛でに行く積もりだ。

 レントにはコーハナル侯爵邸は敷居が高い。パノの両親であるラーダ・コーハナル侯爵とナンテ・コーハナル侯爵夫人とは面識があるけれど、用もないのに訪ねて行ける相手ではない。それなので、コーハナル侯爵邸に行くミリに付いて行く訳にはいかず、今日はミリと話をする時間はないとレントは判断してしまった。

 そのレントの様子にミリの眉根が僅かに寄る。今朝からのレントの様子がどこかおかしいと、ミリは感じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ