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悪いのは誰?  作者: 茶樺ん
第一章 バルとラーラ
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乱流

いいわけ回です。

後書きに粗筋を書きます。

 翌日から、ラーラを罵ったミッチ・コウバと四人の女生徒と、彼女達の兄姉達が揃って学院を休んだ。

 学院には五人の家から連名で、ラーラの通学を許している事への非難と、ラーラを退学させる事の要求と、ラーラを退学させるまで生徒達は休学させるとの連絡が届いた。

 それは賛同者を見込んだ行動であり、学院外では五家によるラーラ退学に向けての活動が開始される。


 そのラーラはバルとパノと共に普通に登校していた。

 ただしラーラの教室にはラーラの護衛のシールだけではなく、バルの護衛の筈のガロンと、パノの護衛の筈のサーレも、三人でラーラの後に立った。


 またラーラ以外にも、コードナ侯爵家とコーハナル侯爵家に(くみ)する家の令嬢達には、今日から護衛が付けられていた。

 護衛登録の申請だけはラーラ達と一緒のタイミングで行っていたが、他の生徒達はしばらくは様子見をする予定だった。それはソロン王子に護衛が付いていない事と、これまで王女以外には学院内で護衛を付ける事がなかった為、王家に対しての遠慮があったからだ。

 しかし前日のミッチ・コウバ達の言動を聞いて不安を感じた女子生徒の保護者達は、護衛を付ける決断をした。

 その話を受けて、護衛登録の申請をしていなかった家でも、護衛を付ける事を検討し始める事になる。そして男子の中にも、学院への護衛登録を申請して貰える様に、家に頼む生徒が現れた。



 コードナ侯爵家はコウバ公爵家ほか四家への抗議を国に訴えた。それと同時に、コードナ侯爵家とコーハナル侯爵家が送った抗議状と五家からコードナ侯爵家に送られた抗議状の文面を公開し、ラーラとミッチ・コウバ達との会話も全て公表された。


 抗議状での両家の主張は当然の様に食い違っていたが、ミッチ・コウバ達の言葉がその通りに発言されていた事は、ラーラのクラスの生徒からその家に報告された。

 コウバ公爵家はミッチ・コウバの言葉とされたものを即座に否定した。そしてラーラ・ソウサが王家に対して不敬な発言をしていたと発表する。ラーラがなんと言っていたかに付いてはその三日後に、コウバ公爵邸で口頭にて発表された。



 それらの騒動の陰で、貴族子女達の婚約に付いての許可申請が国に多数届け出られた。

 そしてコーハナル侯爵家が中心になって申請を(とお)す様にとの圧力を掛け、申請を邪魔させない為の監視も行われる。監視は申請を審議する部署に実際に人を派遣しても行われた。派遣された人が職員に対し、早く事務処理を進める様にも圧力を掛け続ける。

 こうして必要最低限の日数で、全ての婚約申請の許可が()りた。


 その事を知って、子供達の縁談を進める貴族家も増え、実際に婚約許可を申請する家も次々に出て来た。

 まだソロン王子の婚約は発表されていなかったが、それを待たずにだ。

 それと言うのもこの国の侯爵家七家のうち、コーカデス侯爵家を覗く六家の子息令嬢の婚約が調ったからだ。

 学院に通っていない幼い子供を別にすれば、六家の中で婚約者がいないのは、集団婚約申請を仕切っていたコーハナル侯爵家のパノ・コーハナルただ一人。

 ソロン王子のお相手はパノに決まったとの噂が当然流れた。


 コーハナル侯爵家の人に向けて、パノの相手はソロン王子かとの質問が出ると、パノは婚約申請を取り下げたばかりなので訊いてくれるな、と返される。

 その答からはパノがまだ失意の中にあるとも取れるが、ソロン王子と婚約させる為に申請を取り下げられたのだと言う、新たな尾ヒレも生えた。



 ソロン王子の妃を自家から出すと信じていたコウバ家からは、王家に対してソロン王子の婚約に付いて、激しく問い合わせがなされた。

 そしてソロン王子とニッキ・コウバを婚約させろとの要求の勢いは、もちろんそれを上回っている。


 一方コウゾ公爵家は、自家のハッカ・コウゾとソロン王子の縁談を正式に要請した。コウゾ公爵家を生家とする王妃も口を添える。

 コウゾ公爵家は表立ってはもちろん言わないが、ミッチ・コウバをソロン王子の義妹にするには品格が疑われる、との噂も流していた。その噂では他の女生徒がラーラに向けて言った言葉も、ミッチ・コウバが言ったものとされていた。


 ソロン王子の妃としてハッカ・コウゾを推していたコウグ公爵家は、王子の婚約の件に付いては静観に移った。

 跡取りのタラン・コウグがニッキ・コウバとの婚約を望んでいて、コウグ公爵家としてもそれでも良いとしていたのだが、ミッチ・コウバをタランの義妹とする事にやはり懸念を持ったのだ。

 タラン・コウグはニッキ・コウバを諦めてはいないが、コウグ公爵家としては状況を見極められるまで、静観する事を決める。



 国王も王太子もソロン王子も、連日の縁談話責めに苦しんでいた。

 特に国王と王太子は現在宰相が不在なので、ただでさえ仕事が増えていた。

 それなのでコーハナル侯爵家を含む数家からの、婚約申請を承認して貰えれば他の申請等は後回しで構わないとの提案を直ぐさま受け入れた。だから各家は速やかに婚約を調えられたのだ。

 また同様にコードナ侯爵家からの、コーカデス侯爵家の収支調査を優先するなら他は後回しで良いとの話も受け入れられた。



 宰相は片目の視力を失うかも知れないと診断されていたが、それより何より高熱が下がらなかった。

 ガット・コーカデス侯爵の杖の石突きから、菌が傷口を通して体に入ったと考えられていた。


 宰相はコウグ公爵の弟で、王太子妃の叔父に当たる。

 これまでの慣例に則るなら、ソロン王子の妃の生家から次期宰相を出す。

 ソロン王子の妃は自家からと信じていたコウバ公爵家からは、一族の者から宰相補佐を出しているが、まだ宰相の代理を一人で(こな)せる程ではない。

 コウゾ公爵家の一族からも最近宰相補佐が出されたが、こちらはまだ却って業務の足を引っ張る存在だった。



 ガットの杖が国王の被る王冠を打ち落とした件に付いての処分は、まだ決まっていなかった。


 宰相の生家のコウグ公爵家は、不敬罪としてコーカデス一族を処刑し、コーカデス侯爵家を取り潰す事を求めた。宰相の怪我に付いても高額な慰謝料を請求する。

 そしてラーラにも罪があるとして、嫁ぎ先のコードナ侯爵家と、養家のコーハナル侯爵家と、生家のソウサ家に高額な慰謝料を請求し、ソウサ商会の経営権も譲る事を求めた。

 更に、王冠の修理費も四家に請求する事を提案する。


 王冠は国王の頭から落とされた後、国王が踏み付けた為に歪んでしまっている。

 今は儀式用の王冠を被ってはいるが、日常用に比べて重みがある為、国王の肩こりを酷くしていた。



 ラーラは事の発端は自分にあると思っている。そして何も出来ずにただ学院に通う毎日をもどかしく感じていた。

 それなので、ラーラはお茶会を開く事にした。お茶会を通して少しでも理解者を増やし、侯爵達の味方に付いて貰えないかと考えたのだ。

 嫁ぎ先の義祖母デドラ・コードナと義母リルデ・コードナと、養家の養母ピナ・コーハナルと、そして他にも義姉やら義姪やら、その人達の友人知人やら、大勢の貴族女性の指導や援助を受けて、ラーラはお茶会を主催した。

 ミッチ・コウバ達は学院を休みます。

 ラーラ達は学院に毎日登校します。

 ソロン王子への縁談要請と宰相が死の淵を彷徨っている所為で国王と王太子は忙しく、国の業務は滞ります。

 コウバ公爵家だけではなく、宰相の生家コウグ公爵家もラーラ達と敵対します。

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