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悪いのは誰?  作者: 茶樺ん
第二章 ミリとレント
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ラーラの見解

 ミリは、ラーラがバルと甘い雰囲気を醸し出している間、微笑みを浮かべてその様子を見ながら、この後の展開を考えていた。



「お母様?」


 ミリの呼び掛けに、ラーラは再び警戒する。

 硬い声でラーラはミリに返した。


「ええ。何かしら?」

「今度はお母様のご意見を伺わせて下さい」


 ミリの微笑みにラーラはますます警戒をする。


「お父様はお母様を汚れていないと思っていらっしゃいますけれど、お母様はご自分が汚れていると仰るのですね?」

「・・・ええ」

「それは、誘拐事件に関した事をお母様は仰っていますか?」

「・・・ええ、そうよ」


 ラーラは警戒しながら、一言一言を口にした。


「誘拐事件がなければ、お母様の汚れはなかったのですよね?」

「ええ、そうね」


 ラーラの返事にミリは肯いた。


「お母様に()れても、ガロンさんやマイさんやパノ姉様は汚れないのですよね?」

「そうだけれど、でも・・・」

「でも?」

「・・・そうだけれど・・・」

「でもと言うのはお母様、ガロンさんとマイさんとパノ姉様は汚れないけれど、でも、お父様は汚れると仰りたいのですね?」

「違うわ。でも、お父様に()れて頂く訳にはいかないのよ」

「お母様がお父様に()れて頂く訳にはいかないと言うのは、汚れと関係がありますか?それとも汚れとは関係のない、他の理由ですか?」

「他の理由なんて、ないけれど」

「お母様?お母様はお父様が特別な男性なのですよね?」

「それは、ええ。そうよ」

「お母様はお父様に()れて頂く訳にはいかないと仰いましたけれど、一般の男性に()れられるのも嫌なのですよね?」

「嫌だし、考えるのも怖いわ」

「それでは、お父様に()れられるのは嫌だけれど、怖くはありませんか?」

「ええ。え?あ!いいえ!嫌じゃない!嫌じゃないわよ?」


 ミリは頭の中のリストにチェックを付ける。

 取り敢えず、お父様に()られるのは嫌じゃない、まで来た。


「お父様に()れられるのは、嫌じゃないし怖くない。それはお父様が特別だからですか?」

「そう・・・じゃないわ。いいえ。特別だからではなく、お父様だからよ。お父様だから()れられるのは嫌じゃないし、怖くないけれど、それは特別だからではなくてお父様だからなの」

「一般の男性は嫌だし怖い。お父様は嫌じゃないし怖くない。そうすると、嫌じゃないし怖くないから、お父様は特別なのですか?」

「え?ちょっと待って?ええと・・・」


 ミリは、「特別」が手掛かりになるかな?と思う。


「お父様は嫌じゃないわ。お父様は怖くないし。でもそれとは別に、お父様は私に取って特別なのよ」

「お母様はガロンさんも嫌じゃないし怖くありませんよね?」

「え?・・・それは、そうではあるけれども」

「ガロンさんも特別ですか?」

「特別は特別だけれど、ガロンは血は繋がっていないけれど、私の育ての父なのよ?」

「なるほど。知っています」

「ミリにもお父様は特別でしょう?」

「はい。私に取って、血が繋がっていなくても、お父様は特別です」

「それと一緒なのよ、ガロンは、私に取って」

「つまりガロンさんはお母様の家族だと言う事ですね?お母様に取って家族だから、ガロンさんは特別だと?」

「そう。そうなのよ」

「お父様はどうですか?お父様はお母様に取って家族ですか?」

「え?当たり前じゃない」

「つまり、お父様もお母様に取って、家族だから特別なのですね?」

「え?・・・いいえ違うわ。お父様はお父様だから、私に取って特別なの」

「もしかして、家族になる前から特別だったのですか?」

「そうね。確かに、お父様と結婚する前から、お父様は特別だったわ」


 お母様は結婚イコール家族なのかも?とミリは心のメモに注意書きする。


「お母様に取って男性はお父様だけだと仰っていましたけれど、お父様が唯一の男性だから特別なのですか?それともお父様が特別だからお父様は唯一の男性なのですか?それともこの二つは無関係なのですか?」

「色々違うわ。お父様は私に取って特別なの。それは揺るがないの。そしてそれとは別にお父様は家族だし、また別でお父様は怖くないし、また別にお父様は私に取って唯一の男性なの」

「多面的と言う事ですね?」

「え?ええ。そうね」


 ラーラの返しにミリは肯いた。

 取り敢えず、お父様は特別だから特別なのね、とミリは心に()める。



「お母様はさっき、お父様と別れると言っていましたね?」

「え?そんな事、言わないわよ」

「私が異母弟妹を欲しがった時です」

「ああ、あれはたとえでしょう?でもお父様が私以外の女性を選ぶなら、そうするしかないわ」

「ラーラ」

「もちろん、そんな事はないってバルを信じているわよ?」

「ああ。そんな事はあり得ないよ」

「本当にそうでしょうか?」


 その言葉にラーラとバルが、目を見開いてミリを見る。

 その二人の顔がそっくりで、ミリは笑いそうになったけれど、真面目な表情を取り繕った。

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