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3,ちいさめのだいえんかい

「へぇ、面白ぇ女だな!そいつ!」


タンクトップを乱雑に着た赤髪の女が、

耳を塞ぎたくなるほど大きな声でそう言う。


「うるせぇ。少し静かに飲めや陽暮ひぐれ。」

「いやー、悪ぃ悪ぃ!

けどよ…深夜にお前追っかけて、

コンビニ飯たかったり、雑談したり、

膝枕してくれる女子高生だァ!?」

「……だから話したくなかったんだが。」

「だってよォ、完全にマンガの世界じゃねぇか!」

「…俺だって、あれが現実だって信じてねぇよ。」


ビール缶のフチに口を付ける。


「幼馴染のオレが言うのも何だけどよォ、

……お前最近色々とあり過ぎて、

精神イっちまったんじゃねぇのォ?」

「………俺もそう思い始めてる。」


ひゃははは、と一升瓶を片手に、女は大笑いする。


「一体どこのガッコのJKなんだろうな?」

「…多分、駅前のあのデカいとこ。

この前会った時に着てた制服がそこのだった。」

「へぇ、あそこか! 名門らしいなァ。

…そーいや、あそこは妹も行ってんだよなぁ。」


陽暮は瓶に口を付け、中の日本酒を飲んだ。


「クーっ!お前の作ったツマミで呑む酒は、

世界でいっちばん美味ぇなぁー!」

「……美味そうに飲むよな。お前。」


今日作ったツマミは、

大切りのネギと味噌ホルモンの黒胡椒炒めに、

自家製のタレを使ったネギマ串。

それとイカの代わりに竹輪を使った箱舟。


「………お前の妹、ね。」

「ん? あぁ、会ったこと無かったけか。」

「何だかんだ会ったこと無いな。」

「まぁ、そろそろ帰ってくるだろ。9時だし。」


玄関口の方を指差して、そう言った。


「……バイトか? 妹さん。」

「あぁ。サ店で働いてんだよ。」

「……………へーぇ。」


どこかで聞いた話を小耳に挟みながら、

輪切りにした竹輪を口に放り込む。


タレは面倒だからめんつゆを使っているが、

すりおろした生姜を多めに入れている。

マヨネーズにもタレと味噌を少し入れてある。

タレと竹輪、切ったピーマンを耐熱皿に入れて、

マヨソースをかけてオーブントースターで焼く。


……簡単な上に安いが、これが美味い。

タレの甘さと塩っぱさを、マヨネーズが丸くする。

酒の肴には、まぁそこそこいいだろう。


「かぁーっ!ツマミ作るの上手いよなぁ、お前!」

「ま、俺も大概酒呑みだからな。」


陽暮と一緒に、駄弁りながらツマミと酒を煽る。

……こんないつもの事をするのも久しぶりだ。


「ただいまー!」


………頭の中にこびり付いた声が、

何故か玄関の方から聞こえてくる。


「おっ!妹帰ってきた!合わせてやるよ!」


陽暮が玄関の方に走っていった。


「ただいま姉貴……って、酒臭っ!

どんだけ飲んでるんだよ〜!」

「いいだろぉ〜、別にぃ〜?

それより来いよ。オレの親友(マブ)に合わせてやる。」


そんなやり取りが、廊下の方から聞こえてくる。


「おらおら、こっちこっち!」

「わっ、姉貴ぃあんまり押さないでって……。」


部屋の入口の方に視線を配る。


「………フッ。」


どうしようもなくなって、視線を落とす。


「……あれ!? お兄さんっ!?」

「んあ? おにいさん?」

「朔夜。妙な縁があるな。お前とは。」


その日、俺の夜は月に出会した。




「おいおい、朔夜ぉ。

こいつの何処が朝真(あすま)兄ぃ何だよぉ。

お前酔ってんじゃねぇ〜のぉ〜?」

「酔ってんのは姉貴だろ〜?

……っと、お久しぶりっす!お兄さん。」

「………黒兎の時から、早2週間か?」


見慣れてしまった黒髪が、俺の左隣に座り込む。


「あん? お前らダチなの?」

「ま、知ってる仲だな。」


手に持った缶の中身を喉に流し込む。


「あれ? おつまみ、お兄さんが作ったんすか?」

「分かんねぇぞ〜? オレかもしれねぇぞ〜?」

「いや、姉貴は絶望的に料理下手じゃんか。」


似てない姉妹のやり取りを見ながら、

のんびりとビールを味わった。


「…食うか?」

「いいんすか! それじゃあ早速!」


朔夜は箸箱から箸を取り出し、両手を合わせる。


「……いただきますっ!」


少女はまず、竹輪に手を伸ばした。


「………! っまぁーい!」

「だろ!?だろ!? 料理上手いよな、コイツ!」


……こう見ると、反応は姉妹そっくりだな。


「どーやって作ってるんすか? これ。」

「今度があれば教えてやる。今は呑ませてくれ。」

「うす! 約束っすからね!」


予定外の参加者を一人迎え、宴は更けて行く。






「にーしてーもよぉ〜?

いもーとに会ったことあるんなら、

オレに言ってくれたっていーじゃねーかよぉ〜。」

「だから、お前の妹だって知らなかったんだよ。」


一升瓶を開けて完全に出来上がった陽暮に、

何回目か分からない質問をされる。


「焼き鳥美味いっすね、これ!」

「そうか。口に合ったなら良かった。」


醤油、砂糖、酒にみりん。それとおろし玉ねぎ。

シンプルなタレだが、これで十分美味い。

香ばしく焼けた鶏肉に絡み付き、旨味を重ねる。

間に挟んだネギとの相性も抜群だ。


「…つまみ作るのは上手いかもな。俺。」

「そうっすよ! 姉貴とは大違いっす。」

「にゃんだとぅ〜。」


焼き鳥を肴に飲み干した缶を、袋の中に入れる。

かろんからん、と愉快な音が鳴る。


「……もう4缶か。」

「えっ、早くないすか?」

「…瓶2本目に手ぇ付けてる姉貴にも言ってやれ。」

「なぁッ!? 姉貴!飲み過ぎだって!」

「んだとぉ〜? まだまだいけるってぇ〜。」

「だわっ!相変わらず力強ぇ!」


制止しようとした妹は軽く振り払われ、

ポンッといい音を立てて蓋が空く。

……次は甕の酒か。

両手に収まるくらいのサイズではあるが、

それでもかなり量があることは疑いようがない。


「これなぁ、ウチのおやかたが

地元の地酒だ〜ってくれたいい酒でさぁ〜。

お前がきたら、あけよぉとおもってたんだよぉ。

ほらぁ、グラスだせグラスをぉ。」

「はいはい。わかったわかった。」


…こいつはこいつなりに、こいつのやり方で、

俺の事気遣ってくれてるんだな。


台所の方に向かい、戸棚からグラスを取り出し、

製氷機から大粒の氷を4つ入れる。


「よし。グラス準備したぞ。」

「おうっ!」


俺の持つグラスに、澄んだ酒が並々と注がれる。


「っと、もういいぞ。」

「おーう。」


横向きだった甕が垂直に立ち上がり、

清い酒の流れもゆっくり止まる。


「んじゃっ! かんぱーい!」

「フフっ。乾杯。」


甕の側面とグラスを軽くぶつける。


まずは、グラスを口元まで持ってくる。


「……良い香りだな。純米酒か。」

「ぶはァーっ! 美味ぇ〜! いい酒は違ぇなぁ!」


陽暮は甕を両手で持ち上げて、

ふちに直接口を付けて酒を飲んだ。


「………いい酒ならもう少し味わって飲めよ。」

「お兄さんもよく知ってるでしょうけど、

うちの姉貴は直接でしか酒飲まない奇人なんで…。」


陽暮に軽く払い除けられた朔夜が、

いつの間にか俺の左隣にまた戻ってくる。


「ほらぁ、お前ものめよォ!

オレの酒がのめねぇってぇーのかぁ!」

「……完全にクダ巻いたオヤジだな。」


酒飲んで陽気になった親父を、少しだけ思い出す。

……最も、こんなにタチ悪くはないが。


グラスに口をつけて、少し舐めてみた。


……めちゃくちゃ美味い。

米自身の甘みが素晴らしく引き立っている。

そしてそこにガツンとくるアルコール。


……だが。


「………これは残る酒だな。一杯で辞めとくわ。」

「賢明っす。お兄さん。」

「ん〜?いっぱいでいいのかぁ〜?

じゃあ、のこりはぜぇーんぶオレがのむぞぉ?」

「……急性アル中で死なないようにな。」

「だぁーいじょぶ、だぁーいじょぶ!」


味噌ホルモンを皿から口に運ぶ。


先にホルモンに火を通してからネギを炒めたので、

ホルモンはカリッとしているが、

ネギはシャッキリとした歯応えが残っている。

具材にしっかり絡みついた味噌ダレが、

二者の相性を更に、遥かに高めていく。


ビールにも合うが、この酒のつまみとしても、

まぁ及第点くらいはあげていいだろう。


「姉貴ぃ。お兄さんに料理教わったら?

いっつもボクがおつまみ作ってるじゃんよ。」

「いいんらよォ、オレは。

ひとりでくらすきぃ、ねーからよぉ…。」


そう言って、また甕に口をつけて上を向く。


「…お前が酒飲んで暴れないタイプでよかったよ。」

「へへっ。かんしゃーしろぉ〜?

……たのしくねー酒なんて呑んでられっかよォ。」


テーブルに半分突っ伏しながら、陽暮はそう呟いた。




「……すかーっ…。」

「………やっぱり寝やがったなコイツ。」

「…っすね。」


甕を開けてから2時間ほど経ったであろうか。

……陽暮はやっぱり、いつも通り寝た。


「ったく。まるで予定調和だな。」


陽暮を背中に背負い込む。


「陽暮、部屋まで運んでくる。」

「あっ! ボクも手伝うっす!」


部屋を出て、左を曲がったところの階段を上る。

その前を朔夜がこちらをチラチラ振り向きつつ、

とてとてっ、と段差を駆け上がっていく。


「真っ直ぐ突き当たりの部屋だよな。」

「そうっすそうっす。ドア開けてくるっす。」


朔夜がとてとてっと階段を駆け上がり、

1番奥の部屋のドアを開けた。


俺もその後ろを着いていき、部屋の中に入る。


「…朔夜。電気付けてくれ。」

「うす。」


朔夜が電気のスイッチをぱちんっと入れる。


「……相変わらずとっちらかってんな。」

「…お恥ずかしい限りっす。」


床には仕事で使うであろう大工道具や、

脱ぎっぱなしの服などが散乱している。


……いつも通りだ。


「あ、お兄さん。ちょっと待ってて欲しいっす。

今、僕が布団敷いちゃいますんで。」

「頼む。」


押し入れをすっと開け、

中から敷布団を引っ張り出した後、

手早くぱぱっと整える様子をぼやーっと見つめる。


俺も、酔ってきたのだろうか。


「……うっし。シーツまで敷いちゃったんで、

姉貴転がしちゃってください。」

「おう。」


背負っていた陽暮を敷布団の上に寝かせてから、

掛け布団を首元までしっかりかける。


「……ん………すぅ。」

「…寝てりゃ静かで助かるんだがな。」


陽暮の幸せそうな寝顔を少しだけ眺める。


「……お前らって、あんまり似てないよな。」

「………そうっすか?」


朔夜の顔を少し見る。


「陽暮はなんか…男勝りですって感じだけど、

お前はそうじゃないだろ?」

「まぁ、確かに……。」


顎に手を当てて、少し考えてみる。

陽暮は強い目力と切り立った鼻立ちの『美人』だ。


それに対して朔夜は、目力はさほど強くない。

鼻立ちははっきりしているが、切り立ってはない。

……まぁ、不服だが『美少女』だろう。


「背格好も全然違うしな。」

「……30センチくらい、差あるっすね。

……姉貴の方が、その、デカいし。」


朔夜が胸に軽く手を当てる。


「待て。何故自分から修羅の道に突っ込む。」


朔夜は自分の胸に視線を落とした。


「…やっぱり、地面見えるなぁ。無いよなぁ…。」

「落ち着け落ち着け。泣くな泣くな。」

「泣いてないっす……。」


自分で茨の道に入った少女は、涙目になっていた。


「……ま、似てるところも結構あるけどな。」

「え? 例えば?」

「飯を食ってる時の顔。

……ホントにそっくりだぞ、お前ら2人。」

「…へぇ。そんな似てますかね。」


どちらの顔も、すぐに思い浮かべられる。

…というか、あの幸せそうな表情。

忘れる方がよほど難しいだろう。


「………………そ、そろそろ降りましょっか。」

「…だな。」


電気をかちりと消して、後ろ手でドアを閉める。


リビングに進む朔夜の後ろを着いていく。


「……ねぇ。お兄さん。」

「…? 何だ?」


とて、とて、という子気味良い足音が、

階段の途中で急に消滅した。



「………お兄さんと姉貴、付き合ってるんすか?」



少女はこちらの瞳をじっと見て、そう聞いてきた。



「……いや。 ただの喧嘩友達だ。」



瞳孔が一瞬だけ開いたように見えた後、

少女の首の向きは振り出しに戻った。


「……そっすか。」


とて、とて、と足音が戻ってくる。


「………いやー、2人がくっ付いてくれれば、

妹としては安心出来るんすけどねー!」


いつもの明るい声に戻って、少女はそう答えた。


「悪かったな。期待(・・)したような関係じゃなくて。」

「…ま、それならそれで。

……ほんの少しだけ、アレするっすけど。」

「……? アレって?」

「………期待(・・)っす。」


独り言のようにそう呟いた少女の首は、

決してこっちに振り向かなかった。




「……はぁ。 ……にしても、アレだな。アレ。」


俺と朔夜は、並んでテーブルの方を眺める。


「………アレってなんすか?」


ごろんと床に転がった甕に近付いて、そのまま拾い上げる。


「…………片付けやるか。」

「…っすね。」


はぁ、と2人揃ってため息をつく。


「んじゃ、役割分担しましょ!

ボクは食器全部処理するんで、

お兄さんはゴミの処理とかお願いするっす!」

「その方が良いな。乗った。」


手に持った空っぽの甕をテーブルの上に置き直し、

床に置いてある酒瓶を手に取った。


「……ったく。あいつ何本飲んだんだ?」

「…大小問わずで、だいたい3本っすかね。

それにプラスで甕の酒全部空けてるっすね。」

「…………ほんと、大丈夫かよ。」


甕と酒瓶を持って、シンクの方まで移動する。


「健康診断で何も引っかかってない以上、

止めても聞かないんすよねぇ……。」


食器を片付けている朔夜が、嘆くようにそう言った。


「……例え引っかかっても酒辞めなさそうだが。

………ちょっとシンク借りるぞ。」

「うす。どーぞどーぞ。」


蛇口のレバーを下げて水を出し、

酒瓶の中に水を入れ、軽く振って中をすすぐ。

それを3本分繰り返す。


「よし、食器全部下げたぁ! ……あ、お兄さん。

調理器具はちゃんと洗ってくれてるんすね。」

「そりゃな。料理は片付けながらするもんだろ。」


甕に少し水を入れてから、揺らして中をすすぐ。


「にしても、お兄さんって食べ方上品っすよね。」


左隣からそんな声が聞こえた。


「…言う程か?」

「そうっすよ。食べた後のお皿もすごい綺麗だし。」


ゴミ箱がいくつか並んでいる方に、足を進めた。


1番奥のゴミ箱の蓋を開け、酒瓶を全て放り込む。


「あ、お兄さん。瓶は1番奥……って。

説明しなくても良かったみたいっすね。」

「1度2度じゃないからな。片付けやってんの。」


右手に持った甕を眺める。


「…甕って不燃ゴミでいいんだろうか……。」

「……んー、まぁ陶器ですし、

違ってもココはゴミの分別緩いから大丈夫っすよ。」

「そうか。」


手前から2つ目のゴミ箱の中に、甕を入れる。


改めて、テーブルに向き合う。

足元にいくつか落ちたティッシュを拾ってから、

缶の入った袋に突っ込んでおく。


「缶入れる用の袋を準備しとくのも、

育ちの良さが分かるっす。」

「親父の真似事だよ。」


またゴミ箱の方に向かい、缶をど真ん中のゴミ箱に、

ティッシュを1番手前のゴミ箱に捨てる。


「朔夜。台拭き借りるぞ。」


洗い物をする朔夜の後ろから手を伸ばす。


「うーっす…ってうわっ。

改めて見ると、お兄さん背ぇ高いっすね…。

ボクの後ろから、そこまで手ぇ届くんすか。」

「言う程高いか?」


蛇口から水を出して台拭きを濡らした後、テーブルに戻る。


「身長いくつあるんすか?」

「183。」

「うわっ…。ボクとさ……20センチ違うんすか。」


テーブルの奥の方に台拭きを置く。


「見栄張るな。」

「…さっ、30センチ違うんすね……。」


物を退かしながら、手前側にテーブルを拭く。


「……まだサバ読んでるな?」

「…白状するっす。35センチ違うっす。」

「よろしい。」


恐らく陽暮がこぼしたであろう焼き鳥のタレを、

何度も丁寧に拭き取る。


「……よし。」

「っしゃ! 洗いもん終わりっ!」


台拭きをシンクまで持っていって、

水で濯いでから元々あった場所に引っ掛ける。


「……そういえば朔夜。お前、晩メシは?」

「店長が賄い食わせてくれたんで大丈夫っす!」

「…………そか。」


テレビの前に置いた荷物の方を見る。


「…そろそろ帰るわ。」

「うす。」


時計はもう、11時半を示していた。


荷物を右手で取って、出口に向かう。

……何故か、その後ろをとことこ朔夜が着いてくる。


「……なんだお前。後ろから刺す気か?」

「…………なーんでそんな発想になるんすか。

そーじゃなくて、お見送りでもしようかなって。」


部屋を出て右に曲がり、玄関の方に歩く。


「そんな気ぃ使わなくて良いんだがな。」

「いえいえ。礼儀ですんで。」


玄関の段差を降りて、くたびれたスニーカーを履く。


「んじゃ、お兄さん。また会えたら。」

「ハッ。 そのうち会えるだろ。多分。」


ドアノブを掴み、右にひねって扉を開ける。


「またな。」

「ええ。また来てください。」


何故かその声が気になって、後ろを振り返る。


これまでとは、何か違う朔夜が居た。


……菩薩のような優しい眼をして、微笑みながら、

手の横でゆっくりと手を振る。そんな朔夜。


一瞬、固まる。


「……んえ、お兄さんどうしたっすか?」

「………いや、何でもない。 じゃあな。」

「お、おす。じゃあまたいつか!」


外に出て、扉を優しく閉める。


「……。」


………どうしてだ?

…………なんで、だ?


「…ま、いいか。」


なんとなく。空を眺める。

……月は、下弦だった。

ここまで読んでくださった皆様、

本当にありがとうございます。


3話目。朔夜の姉である陽暮が出てきましたが、

皆様どう思われたでしょうか。

お察しの方もいらっしゃるでしょうが、

名前は時間帯から取っております。


実は私、キャラの名前に意味を持たせる行為が、

本ッッッッ当に…大好きでございます。

なので、作中に出てくるキャラクターたちは、

皆、何かしらに掛けた名前を持っています。

良ければ探してみてください。

私に直接聞いてくれましたら答えますしね。


さぁ、改めまして皆様。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

もうね、神。神も神。

これからも、

皆様の素晴らしいストーリーライフを

心からお祈りしております。

じゃねー。

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