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10,あつい

中平(なかひら) 守華(ものか)

:ぶっきらぼうだけど優しいお兄さん。


斜木(ななめぎ) 朔夜(さよ)

:ちょっとだいぶ変わってる? 女子高生。


斜木(ななめぎ) 朝真(あすま)

:町のご飯屋さん、「くじらや」の若店主。

「……おにーさぁーん………。」

「…来たか。」


珍しく、お兄さんが半袖短パンで出迎える。

この人、短いパンツはほとんど履かないのに。


「…入れぇ。」

「…おじゃまーっ……す。」


だらだらと汗を流しながら、部屋に入る。


「あー……すずし…っ……!?」


むわぁっ、と。熱気が襲ってくる。



「おにーさぁん……っ…く、クーラーはぁ……?」

「……この暑さでぶっ壊れたよ。」

「そんなぁ……!」


へなへなと、力なく床に倒れ込む。


「……………おい。」

「んえぇ……?」

「……今日、外食な。」

「んおぉ……?」


今日の俺は、月を連れ出した。






「がいしょくーって、どこいくんすかぁ〜…。」

「……どこいこーかなぁー…。」


2人揃って、ふらふらと夕暮れの道を歩く。


「…なぁんで、バイクじゃないんすかぁ〜?」

「……この暑い中、黒ヘル被りたいかぁ…?」

「………すんませんっしたぁ〜……。」


俺は、黒以外のヘルメットは1個しか持っていない。

2人のりすることなんて、想定していない。

……新しく買うのも、悪くは無いのかもしれない。


「……あちぃ〜…。」


ふらっ、と朔夜が倒れそうになる。


「おい、危ないっ。」

「んひぁっ!」


咄嗟に朔夜の手を取る。


「……あ、暑いのにすまん。」

「…いやぁ〜……暑い、っすねぇ〜?」


ぎゅうっ、と手を握り返される。


「………暑い、よなぁ。」

「……っすよねぇ。」


手は、繋がれたまま。離れない。


「…離さないのか?」

「…………あつい(・・・)、っすよねぇ…。」


一層強く、手を握られる。


「…だな。」

「……っしょ?」


握られた手は、離れない。

ただ、それが嫌じゃない自分がいる。


あつい(・・・)から、仕方ないよなぁ…。」

「ね。」

「……うちの店の前でなにやってんの?」


急に声を掛けられて、少し驚く。


「兄貴!何でここに?」

「なんでもなにも…ここはうちの店の前だよ。」


ふと、視線を上げてみた。

『くじらや』の看板が、堂々と上がっている。


「……あー。いつの間にこんな所に。」

「…で、何?デート?」

「違っ!これは合意でっ!」


朔夜はすぐさま手を振りほどき、

その手を勢いよく、ぶんぶんと顔の前で振る。


「……何言いたいのかさっぱりだけど。」

「あー…。俺ん家のクーラー壊れたんで、

たまには外食でも行こうかなぁ、と。」

「あぁ。丁度いいじゃない。うちで食べなよ。」

「え。いいんすか。」

「いいのいいの。入りな。」


背中を強引に押されて、店内に押し込まれる。


「うわぁ〜…兄貴も力強ぇ〜…。」

「……ま、じゃあたまにはご馳走になります。」

「うん。安くしとくから入んな〜。」


今日の晩飯が、決まった。




「えあっ!?いらっしゃ〜……って。

なぁんだ。朔夜と守華か。びっくりしたわ〜。」

「なんだとはなんだ。」

愛柚(あゆ)さん、ちわーっす!涼しい〜っ!」


クーラーがよく効いた店内には、

茶髪を1本に縛った、気の強そうな女性が居た。


「うちが世界に誇る、天下一品の営業スマイル、

知り合いに使っちゃったわ。もったいない。」

「まぁ、まぁ。お得意さんなんだからさ。」

「…ま、そか。んじゃ、好きな席座りなよ。」

「ん、あ?そゆことなん?」

「………朔夜、どこ座る?」

「…じゃ、ここで!」


朔夜は、窓に1番近いテーブル席に座った。


「ほら、お兄さん!こっちこっち!」


朔夜は自分の隣席を、ぱんぱんと叩いて招いた。


「…隣か。まぁいいか。」


招かれるまま、朔夜の隣に座る。


「……はぁ〜!涼しい〜っす!」

「だな。」

「…お兄さんのクーラー、いつ直るっすかぁ?」

「………明日の昼には修理が来る。」

「やったぁ〜!」


ぐいっと思い切り、気持ちよさそうに背伸びをして、

その反動のままにテーブルに突っ伏す。


「………おい、スマ。ちょっとこっち。」

「…? ゆーちゃん、どったの?」


愛柚に右手を引かれて、朝真さんが厨房に消える。


「…なぁ、あのふたりって付き合ってんの?」

「……さぁ?」


2人の話を聞き流しながら、朔夜を見る。


「…んぁ〜っ…てんごくぅ〜……っ。」

「……フフっ。完全に溶けてんな。」


溶けた背中を、ゆっくり、ゆっくりと撫でる。


「…あぁ〜…このまま、しょうてんできるぅ……。」

「やめてくれ。困るから。」

「んへぇ…。ぼくはしにませんよぉ〜……。」


朔夜は、暑さに弱い。

衝撃にも弱い。水にも弱い。音にも弱い。


そんなところが、尚更…彼女らしい。


「…やっぱ付き合ってんだろ、あれ。」

「……さぁねぇ?」


こうやって、眺めて、撫でているだけで充分。

これ以上の行動を起こしたら、朔夜が血で穢れる。


「……で、何食べるんだ?」

「んぇ〜? しょーがやきてーしょくぅ〜…。」


メニューを見るのさえ、面倒な様子の朔夜が、

ぼやぁっとしながら、虚ろにメニューを唱える。


「おう。そうか。」


朔夜の背中から手を離し、メニューを取る。


「……なでるの、やめちゃうんすかぁ?」

「あぁ、すまん。」


左手で朔夜を撫でつつ、右手でメニューをめくる。


「…ほぉ……季節の魚の西京焼き定食。」

「あぁ〜……お兄さんに撫でられるの…。

疲れた体に、こうかばつぐんっすぅ…。」

「そうか。」


メニューを次、また次とめくる。


「…ありゃ、飼い主と猫だな。」

「だねぇ〜。」

「言っとくけど、全部聞こえてるからな。」

「やばっ。守華君って、やたら耳いいんだった。」

「おい、殺されるぞ!急いで逃げなきゃ!」


特段怒ってもいないのに、焦り出すふたりを傍目に、

メニューをぱらぱらとめくる。


「…寝るなよ?」

「ねたらおこしてぇ…っす。」

「わかった。」


…一通りメニューを見たが、やっぱりこれか。


「……すみません。」

「あ、はぁい〜?」


少し間の抜けた声を上げながら、

奥から朝真さんがメモ帳を持って出てくる。


「…豚肉の生姜焼き定食と、

季節の魚の…そうだな……日替わりフライ定食で。」

「今日のフライは白身とアジだけど、大丈夫?」

「えぇ。あと、ご飯大盛りで。」

「ボクもぉ〜…。」


朔夜か、完全に気の抜けた声を上げる。


「……じゃ、2つとも大盛りで。」

「はいよ。以上?」

「うす。お願いします。」

「かしこまり。じゃ、すぐ作るから。」


メモ帳をぱたんと閉じて、厨房に消えていく。

その後ろ姿を見送りながら、左手で朔夜を撫でる。


…我ながら、人生を満喫しているな。


「…にしても、なんでお前そんな眠そうなんだ。」

「てすとまえ〜…っす。」

「……俺んとこ遊びに来たりなんかしてて、

テストの評定とか大丈夫なのか、それ。」

「へぇき〜……っすよ。もーまんたい〜。」


親指をで、伏せった朔夜の横顔から、髪をどける。

にやぁ、といつも通り笑った目の下に、

誰が見たって分かるくらいの、クマがある。


「…なんすかぁ〜?ほれたんすかぁ〜?」

「………頑張り過ぎだ。ばーか。」

「……えへ。」


ぷに、と朔夜の頬に指を沈める。

朔夜の口角はつり上がったまま、そこで止まる。


「…………な、やっぱり恋人じゃん?あれ。」

「…かもねぇ。」


何だか、最近朔夜が抵抗してこない。

前ならちょっとくらいは抵抗していたことをやっても、

なすがまま、されるがまま、というか。


頭撫でたり、子ども扱いしたり。

そんなことをしても、何も抵抗してこない。

張り合いがないのは、少しだけ寂しいか。


「ん〜? なぁんすかぁ?」

「…声が眠そうだな、お前。」

「えへへ〜……。」


こうやって余裕ぶっていても、

寝不足になるくらいには、勉強してるんだろうな。


「……まぁ、こんな時くらいゆっくりしとけ。」

「あざ〜す…。」


一言つぶやいた後、すぅ、とすぐ寝息を立て始めた。


「…早。相当疲れてたんだな。」


こんな華奢な体で、努力しているのだろう。

なんと健気で、なんと眩しい。

俺とぶつかったら、対消滅でもしそうなものだが。


「……すぅ…むにゃぁ………。」


頬杖をついて、朔夜の寝顔を眺める。

なんとも贅沢な夕方だ。

いずれ払うことになるのであろう対価が、

心の底から怖いくらいだ。


「………ほっ、としてんのかなぁ…。」

「…くぅ。」


夕日が窓から差し込んで、指先を僅かに照らす。

外に居れば鬱陶しくて仕方ない陽気も、

涼しい室内で感じる分には、まぁ良いものだ。


「…んぁぅ……。」

「ん?」


自由になった左手を、朔夜に奪われる。

奪われた手は、そのまま横顔の下に潜り込む、


「…はっ。枕かよ。」

「……んぅぅ〜…。」


手の甲から、朔夜の頬の熱が優しく伝わってくる。

小指の先から、朔夜の脈がゆっくり伝わってくる。

耳の中には、朔夜の寝息が弱々しく伝わってくる。

ただ、俺の感覚は朔夜に支配される。

他人なら不快だが、お前相手ならそれも悪くない。


ただ、俺の心臓は動き続ける。

リズムも変わらず、ゆっくり、ゆっくりと。

なめらかで、優しい時が流れ続ける。


「お待たせ〜。出来たよ〜。」

「ん? あ、あざす。」


かた、かたと、注文した品物が並んでいく。


「おーい、朔夜起きろー?」

「ふぁえ?」


むに、むにと朔夜のほっぺをつつく。


「おふぁお…ございます。」

「おはよ。」


眠そうな目をゴシゴシこすりながら、

朔夜は机に突っ伏した体を、ゆらゆらと起こす。


「…んおっ!美味しそうな匂い!」

「だな。」


目の前には、広めのお盆の上に乗る、

大盛りのライス、味噌汁、漬物。

キャベツの千切りと、白身とアジ、エビのフライ。


…エビフライ?


「あの、朝真さん。

俺、エビフライは頼んでないんすけど。」

「いーのいーの。おまけおまけ。」


朝真さんはいつも、何かサービスしてくる。

ありがたいが、申し訳なくもある。


「…じゃ、すんません。ありがとうございます。」

「うん。食べて食べて。」

「兄貴ぃ〜、妹にはサービスないのぉ〜?」

「無いよ。」

「えぇ〜…。」


バッサリと切られて、露骨に落ち込む朔夜が、

なんだかすごく哀れというか、可愛いというか。


「ま、ま。エビフライは2本あるから、

1本お前に分けてやるから。機嫌直せ。」


エビフライを1本、朔夜のご飯の上にのせる。


「なおったっす。あざーす!」

「優しいねぇ、守華くんは。」


ぱぁっと輝きを取り戻した、その瞳も悪くない。


「…じゃ、頂くか。」

「っすね!」


姿勢を正し、料理に対して真正面から向き合う。

背筋を伸ばし、両手を合わせる。


「…いただきます。」

「いただきまーっす!」




まずは、何もつけずにアジフライをいただく。

ざくり、といい音が鳴る。


「…美味い。」

「ん〜…っ…。美味っ!」


きめ細やかなアジが、狐色の衣を重ねることで、

自身の持つ魅力を、健気に、精一杯に主張する。

舌の上で、衣とアジの身が絡まる。

強い旨みと、ほのかに感じる上品な身の甘み。

何も付けずに、この破壊力。さすが朝真さんだ。


「…たまには、外食もいいな。」

「………っすかねぇ?」


次に、白身のフライも、何も付けずにかぶりつく。

歯が軋むような、しっかりと、だが軽快な食感。

身は脂の旨みがハッキリと主張してくる。

アジが姫君なら、こちらは花魁か。

堂に入った、歴戦の旨みだ。


ここで、米を掻き込む。

花魁と姫君を、布団の上に並べるようなもので。

情緒的と言うよりは、官能的。

味覚的に言うならば、旨みの後押し。

まぁ、俺や朔夜からすれば、米が主役とも言える。

花魁も姫君もいらないから、白い布団が欲しい。

と、言うと情緒もへったくれもないのだが。


「…よし。」


意を決して、次はエビフライに手を出す。

もちろん、一番最初は何も付けない。そのまま。

衣の中から、ぶりんとした身が飛び出して、

口腔内に弾けるように暴れだす。

美味い。それ以上の感情が浮かばない。

子どもも皆、大好きなエビフライ。

誰でも、懐かしささえ感じてしまう味である。


トドメとばかりに、味噌汁を流し込む。

穏やかな出汁と味噌の香り。

具は豆腐とわかめ、それとネギ。

シンプル・イズ・ベスト。これが素晴らしい。

ほっ、と一息つきたくなるような味。

毎朝飲んで、仕事に行きたいような味。


「……ふぅ。」

「エビフライも美味いっすねぇ〜。」

「あぁ、美味い。」

「美味しそうに食べてくれるよねぇ。」

「だな。」


さて、ここからが問題だ。

それぞれに、何を付けて食べるべきか。


まず、決定事項から埋めていこう。


白身フライは、醤油がいちばん良さそうだろうか。

強い脂の香りに、醤油の塩っけはよく合うだろう。


エビフライは、タルタルソースが丸いか。

甘みと酸っぱさ、まろやかさのバランス。

これで勝るものはないだろう。


…アジフライは、悩むな。

醤油もソースも、タルタルソースも甲乙付け難い。

だが、他二つに使っているものを重ねて使うのは、

なんというか、プライドに反する。

故に、ウスターソースで行こう。


「……行くか。」

「え?」

「なんでもない。こっちの話だ。」


テーブルの、調味料が並べられたトレイから、

醤油、ウスターソース、タルタルソースを取る。


まずは、白身フライに醤油を垂らす。

鮮やかな衣が、藍色に染まっていく。


次は、ウスターソースをアジフライに。

こちらは、自らの衣を黒く染める。


最後、皿の端にタルタルソースを軽く乗せる。


完璧。


改めて。


「いただきます。」

「ほえ、2回目?」

「気にするな。」


醤油がかかった白身フライを頬張る。

醤油をかけたと言うのに、衣はまだサクサク。

先程までの旨みに、醤油の風味と塩味も加わる。


まだ、これで終わるのは許されない。

キャベツの千切りもまとめて箸に取り、もう一口。

揚げ物にキャベツはド定番だが、これがいい。

さっぱりする、と言うより。シンプルに合うのだ。


もちろん米も忘れない。

柔らかい甘みが、激しく主張する花魁を包み込む。

あらゆる旨みを制覇するかのように、

その場に並んだ素晴らしい料理たちに食らいつく。


全てを飲み込んでから、味噌汁を口にする。

この一口で、全てがリセットされる。


「…ふふっ。」

「あ、守華くん笑った。」


次は、エビフライ。

皿の橋に乗せたタルタルソースにくぐらせ、

大口を開けて、しっかりと頬張る。


カリカリとした衣の間を切り裂いて、

弾力のある身をそのまま口にくわえこむ。

タルタルソースに含まれる玉ねぎの、

しゃきっ、しゃきっとした歯応えが新鮮に感じる。


もちろん、追い打ちのようにキャベツも追加する。

さらに米でブーストをかけるのも忘れない。

甘味、塩味、酸味、そして旨味。

全てが全て、驚く程に調和している。


「……いい。」

「お兄さんが嬉しそうで、何よりっす。」

「そうか。」


はてさて。

もう、残りはアジフライだけ。

良い料理は、それだけで時間を加速させてしまう。


ソースのよくかかったアジフライを、

そのまま、キャベツとまとめて頬張る。

ウスターソースの何より素晴らしいところは、

醤油やタルタルソースと比べても、

圧倒的にキャベツとの相性が良いところだろう。


そして、ソースのかかったキャベツというものは、

それだけで米のおかずになるものだ。

口の中が、幸せでいっぱい。

そんな可愛らしい表現も、まぁ悪くない。


全てを飲み込んだ後、漬物を口に放り込む。

さっぱりと漬かった、キュウリの浅漬け。

口の中が、一瞬で爽やかに変化する。


そして、漬物さえ食べ終わった後、

少しだけ残した、ぬるくなった味噌汁を飲む。

全てをほっ、と一息つかせる、最後の1杯。


それを飲み干してから、また俺は姿勢を正し、

両手を真っ直ぐ、ぴったりと合わせた。




「…ご馳走様でした。」

「美味かったぁ〜!兄貴、ごちそうさま!」

「うん、美味しかったなら良かった。」

「ま、コイツの料理が不味い訳無いんだがな。」


愛柚がテキパキと食器を片付けていく。

久しぶりに、良い晩飯だった。


「守華くん、ちょっとゆっくりしていきなよ。」

「え?でも営業の邪魔じゃないです?」

「いやいや。今日営業日じゃないから大丈夫。」

「は?」


記憶を、辿ってみる。


俺たちが入店した時の愛柚の反応。

見回したら、俺たち以外誰もいない店内。

そして、何より。

暖簾を、くぐった覚えがない。


「…今日、もしかして定休すか。」

「うん、そ。だからゆっくりしなよ。」


朝真さんが瓶とグラスを2つずつ持って出てくる。


「ま、飲もよ。」

「…兄貴、酒飲めないじゃんか。」

「うん。だから僕のはノンアル。」


また、こういうパターンか。

何故か、というか必然的にマスターの顔が浮かぶ。


「……おにーさん。」

「ん?」


眠そうな声で、朔夜が話しかけてくる。


「…ひざまくら。」

「……食ってすぐ寝ると、逆流性食道炎になるぞ。」

「しらねぇーっす。」

「…あぐらでもいいなら、好きに使え。」

「あざぁす。」


その声と同時に、俺の左太腿に朔夜の頭が乗る。


「…かえるとき、おこしてほしっす。」

「おう。」


朔夜の頭の重さが、ダイレクトに伝わる。

重い、辛い、とは感じない。

むしろ、何故か心地よい。


「…おやすみ。」


朔夜の額を、優しく撫でる。

壊れないように、砕けないように。そっと。


くぅ、とすぐに寝息を立て始める朔夜が、愛しい。

夢見はほどほどにすべきだとは、理解しているが。


「…じゃ、僕らも呑もか?」

「うす。」


いつの間にか、グラスにはビールが注がれている。


「…んじゃ、かんぱい。」

「乾杯。」


夜は、まだ長い。

 最近、やっと暑さが和らいできましたね、とか言いたいんですが、別に変わらず暑いですよね。9月の入り程度で、すぐに気温が下がられても困るんですけどね。


 ここまで読んでくださった皆様、重ね重ね感謝を申し上げます。ほんとありがとうございます。だいちゅき♡。


 とまぁ、冗談は置いておきまして。久しぶりに、朔夜のお兄ちゃんが再登場です。4話に出たっきりでしたね。

 個人的には諸事情あって好きな人物ですので、魅力に感じていただければ幸いだったりします。


 大人って、お酒呑むと人によって、ホントに様子が違うのが面白いですよね。泣き上戸、笑い上戸、怒り上戸。陽気になったと思えば、急に真面目な話し始めたり。

 自分はまだお酒飲めない歳なんですが、だからこそ、自分が何上戸なのかは、ちょっと気になりますね。


 次回のお話は、結構重めになる予定です。酒をサシで呑むと、大人は真面目な話をしがちな気がしますね。まぁ、今回はサシじゃなくて、愛柚さんと、(一応)朔夜も居ますけどね。


 さて、改めまして、ここまで読んでくださった皆様、重ね重ね感謝を伝えたいと思います。だいちゅき♡♡

 これからも、貴方様の素晴らしいストーリーライフをお祈りしております。


いだすけさんでしたよ。

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