表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/40

第5話 2人の狙いは……

「お兄さん達、今だったら見逃すけどどうする?」


 問答無用で攻撃してもいいが一応勧告しておく。

 これで逃げてくれたらいいんだけど……


「あぁ? 馬鹿にしてんのか?」


「構わねえ、こいつもやっちまえ!」


 もちろん効果はなかった。むしろ火に油を注いだまである。

 男どもが各々魔法を使い攻撃をして来た。


「こいつ何者だ!? 5人で攻撃しているのにびくともしねえ!」


 魔法障壁を展開し彼らの攻撃を全て防ぐ。

 ジリ貧だと感じたのか攻撃の手を緩めて来たのでその隙に今度はこちらから。


「お姉さん達危ないからしゃがんでて」


「「は、はい!」」


 先ほどダニエルが使ったのと同じ風魔法で俺は仕掛けた。

 奴らも馬鹿じゃないのですぐに魔法障壁を展開し防御をしてくるのだが――


「な、なんだこれはっ!?」


「うわあああああ!!」


「落とさないでくれええええ!!」



 障壁ごと彼らの身体を風魔法で宙に浮かせてしまう。

 建物の屋根くらいまで高く持ち上げてしまえばもう何も出来ないはずだ。


「まだやるかい?」


「もうしねえよ! だから下ろしてくれ!」


 彼らが負けを認めたので丁重に下ろしてあげた。

 地面に着くや否や彼らは大慌てで逃げ出してしまい、捕らえる事は出来なかったが、まぁ仕方ない。


「クラトス……あれは当て付けか?」


「別にそんなんじゃないよ。彼女達に怪我をさせない為の最善手なだけ」


 ダニエルと同じ魔法を使って結果を出した事で当て付けに取られてしまったので弁明しておく。

 彼も本気で怒っているわけじゃないからすぐに許してくれたようだ。


「あ、あのありがとうございました!」


 先ほど俺に助けを求めて来た方の水色の髪をした女性が近寄って来てお礼を言う。

 見たところ怪我はしてなさそうだ。


「二人が無事でよかったよ」


「ありがとうございました……私怖くて……」


 もう一人の金色の髪をした小柄な女性は震えながらお礼を言っていた。

 よほど怖かったのかも知れない。


「俺たちが言うのも何だけど、裏路地なんて入らない方がいいよ」


 男性である俺ですら進んで入ろうとしないのに、女性が入っていくなんて命知らずもいいとこだ。


「ごめんなさい! あなた達が入っていくのを見て大丈夫なのかと思っちゃいました!」


 勢いよく謝罪をしてくる水色髪の女の子に事情を聞くことにした。

 いくら俺たちが入っていくのを見ても軽率すぎるし。


「メイン通りは人が多くてなかなか進めないからねー。早く宿まで戻りたくてつい……」


 俺たちは裏路地を進みながら彼女達の事情を聞いていた。

 入ってしまった理由はダニエルと同じ、人混みを避ける為。


「全く裏路地なんて危ないんだから金輪際近づいたらダメだぞ」


「おいダニエル、お前が言うか?」


 自分の事を棚に上げ説教垂れるのをとがめる。

 こいつも自ら裏路地に入って行ったからな。


「二人も魔法大学を受験するの?」


 水色髪の女性、シャーロットさんと言う女性は俺たちに質問をして来た。


「そうだよ、成り行きで何だけどね。もって事は君たちも受験するの?」


「そのためにわざわざ帝都まで来たんだから! ね?エレノア?」


「う、うんそうだね……」


 元気ハツラツなシャーロットさんは友人のエレノアさんに同意を求めた。

 対称的な二人だけど幼少の頃からの付き合いで仲がいいらしい。


「二人は学科はもう決めてるの?」


 ダニエルが彼女達にそう声をかけた。

 魔法大学は学科が存在して、好きなのを専攻できるらしい。


「私は魔導工学かな」


「私も同じです……」


 魔導工学は魔石を用いた魔導具の開発に力を入れているらしい。

 全てここまでくる間にダニエルから聞かされた受け売りだけど。


「まじか! 俺も同じだわ。ライバルじゃん」


 ダニエル曰く、魔導工学は不人気だとされている。

 魔導具の発明は国を豊かにするだろうが、個人の武勇は少ない。


 それに比べて魔導戦術学などの戦争に特化したようなところは人気だ。

 帝国は魔導師を戦争に投入する事で様々な国を制圧し領土を広げて来た歴史があるくらい。


「あの、クラトスさんはどこにするんですか?」


 訪ねて来たのはエレノアさんだった。

 シャーロットさんの影に隠れながらだけど勇気を振り絞って質問をしたようだ。


「まだ決めてないけど魔導工学にしようかな」


 みんな一緒がいい!

 と言う訳ではなく、俺がアトラス王国でやっていた事が魔導工学に近い事だった。


 国が豊かになればいいとの思いで魔導師団長の仕事の合間に色々と考えていたくらいだしな。


「それじゃみんなライバルだね! 私たちだけ受かっても恨まないでよ?」


「それはこっちのセリフだ。俺とクラトスは絶対受かるからな!」


 肩を組みそうアピールしてくるダニエルを微笑ましく思う。

 王国でこんな風に接してくる人はいなかったから。


「送ってくれてありがとうね。次会うときは試験会場? それとも入学式?」


「どっちでもいいさ、お互いベストを尽くそうな!」


 すっかり意気投合したダニエルとシャーロットさんはお互いの拳をぶつけ合っている。


「あの、頑張りましょう」


「そうだね、エレノアさんとも入学式で会いたいし」


 こちらは拳をぶつけるような事はないが握手をした。

 二人が泊まる宿屋の前でお別れをして、俺たちはダニエルの屋敷へ向かう。






「ねぇエリー」


「何ロティー?」


 解散した後、二人は同じ部屋でベッドに腰掛け話をしていた。


「ダニエルくん一緒にいると面白いし明るくなれるね」


「う、うんそうだね……」


 歯切れの悪いエレノアの返事にシャーロットは少し考えた後質問をする。


「もしかしてクラトスさんの方がいい?」


「そ、そんなんじゃない……と思う」


 顔を真っ赤にして否定をするが既に答えを物語っているようなものだった。

 そんなエレノアを見てシャーロットはゲキを入れる。


「少し年上っぽそうけど問題ないわよ! 愛さえあればね!」


「ちょ、ロティー!!」


 二人の会話は夕食の時間まで続くのであった。

 

面白かった・続きが読みたいと思って頂ければブックマークと下の方にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から好きなように評価して頂けると嬉しく思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ