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第21話 決闘

誤字報告ありがとうございます。

「君がテミスさん……なの?」


 生徒の事が記載されている資料に視線を向けつつ彼女に尋ねた。


「そうよ! 私がテミス・ビスマルクよ」


 

――――――――――――――

名前:テミス・ビスマルク

性別:女性

年齢:15

魔力量:1923

得意魔法:全部

――――――――――――――


 俺は資料をよく確認したところ、年齢が他の人よりも若い事を知った。

 視線を彼女に移し、全身を見れば確かに年相応な気はしてくる。


「な、何よ?」


「いえ、別に。テミスさんは15歳と言う事でよろしいんですよね?」


 15歳と言ったところで教室内にいる生徒が驚きの声を上げる。

 魔法大学では飛び級してくる生徒は稀だ。


 あのリベルタ様ですら18歳で入学しているので、テミスさんが特殊だろう。


「私は貴方を許さないんだから!」


「朝もそうでしたが、貴方とは今日が初対面のはずですよね?」


 確認をしたところ、彼女も「私達は初対面だけど」と肯定をしてくれた。

 

「貴方はリベルタ皇女殿下を侮辱したそうね!絶対に許さないんだから勝負しなさい!」


「……?」


 一体どう言う事だろう?

 リベルタ様に言いがかりを付けられた件は引き分けとなりうやむやだ。


 それにあの時の事を知っている人物はそんなに多くない。

 視線をダニエルに向けたが手と顔を横に振り否定する。


 直接リベルタ様に聞いたとあれば別だが、皇族と彼女に接点があるとは思えない。


「とにかく勝負よ!貴方が負けたらリベルタ様に土下座なさい!」


「では私が勝てば今後は大人しくして下さい。それと朝に出待ちするのもやめてくださいね」


「いいわ!じゃあ早速闘技場に行きましょ」


「いえ、ゼミが先です」


 何食わぬ顔でゼミをサボろうとする彼女を咎める。

 忘れてるかもしれないが、既に鐘はなり講義の時間だ。


 ダニエルだけでなくシャーロットさんやエレノアさん、それにザシャも頷いていた。


「くっ……仕方ないわね」


 彼女を席に着かせようやくゼミの開始だ。

 とは言っても最初なので各々の自己紹介をしたり、これからの活動方針を伝えるだけ。


「皆さんがこの大学でしたい事はそれぞれ違うかもしれませんが、このゼミでは魔導師の魔力回復方法について研究していきたいと思います」


 学長からは好きにやってくれて構わないと言われているので、俺の研究テーマはこれにした。

 

 魔石・魔法水や魔導師同士で魔力を受け渡しできる様にするのが目的。

 これは無限の魔力を持っている俺からすればもってこいだろう。


「俺は構わないぞ」


 ダニエルは笑いながらそう答える。


「面白そうだし楽しみだねー」


「私も……面白そうだと思う」


 続いてシャーロットさんとエレノアさんも賛同してくれた。

 しかし、問題はここからだ。


「ちっ、平民のセンセーじゃ期待できねぇだろうけどな」


 言葉は悪いがハンスはテーマ自体には反対しない。

 来年になれば好きなゼミを選べるのを理解していて、今年は我慢するつもりだろう。


「ぼ、僕は反対です! せっかく入学できたのだから自分のやりたい事がしたいです!」


 ザシャは勢いよく椅子から立ち上がり、意見を主張する。

 

「ザシャくんの気持ちも分かりますが、このゼミの方針は私が決めます。来年になれば好きなゼミを選択出来るので、それまで我慢してください」


「で、でも……」


 歯切れの悪い返事をする彼は渋々と椅子に座った。

 まだ初回ということもあるが、幸先に不安を覚える。


「私は別にそれでいいです」


 テミスさんは興味なさげではあるが、反対はしてこない。

 現状で言えばザシャ、ハンスの2人と打ち解けて行く必要がありそうだ。



 

 あっという間にゼミの時間が終わり、いよいよテミスさんとの勝負となる。

 

「逃げないできたのね」


 キャンパス内にある闘技場に移動した俺はテミスさんと相対していた。

 客席にはダニエルやエレノアさん達もきている。


「勝負の内容はどうするつもり?」


「魔法での決闘よ、負けを認めるか魔力が尽きるかのどちらかまで戦うのよ」


 騎士達が行う決闘の魔導師版みたいなもの。

 魔導戦術学の生徒は毎年このルールでトーナメントをしているらしい。


「入学早々決闘とは面白そうじゃねー」


「あの生徒って魔導工学だろ?なんで決闘なんてしてるんだ?」


「さぁ?でも楽しめればそれでいいじゃん」


 騒ぎを聞きつけた生徒達が続々と客席を埋めていく。

 勝負を始める前には席の過半数は埋まってしまい、お祭り騒ぎもいいところ。


「もしかしてこれも計算のうち?」


「さぁ?私はちょっと話しただけだし」


 口笛を吹いてそっぽをむく彼女は明らかに嘘を吐いている。

 公衆の面前でボコボコにするのが狙いか。


 先日の魔族襲来の騒ぎを解決したのが俺だと知っている人は、実際に目にした宮廷魔導師と皇帝陛下や魔法大学の教職員まで。


 学生には知られていないので、テミスさんも俺の実力を把握していないはず。

 でなければこの選択は愚かとしか言えない。


「それじゃ始めましょ」


 彼女の言葉を合図に決闘が始まる。

本日中にもう一話投稿出来たらと思います

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