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第15話 無限の魔力

「貴方如きに何が出来ると言うのですか?」


「なら試してみるか?」


 俺は練り上げた魔力をアブソンに叩き込む。

 展開したのは氷・火・風・土だ。


「まさかっ!?貴様も5重展開出来ると言うのか!?」


「おいおい、口調が荒れてんぞ」


 アブソンは気性が荒ぶると口調が悪くなるようだ。

 そんな事を観察するくらいには余裕があった。


「だ、だが私の吸収の前には無意味だ!」


「ならやってみろ!」


 より一層威力を増して叩き込み続ける。

 俺が常に攻撃しているためアブソンは反撃する余裕はなさそうだ。


「無駄に魔力を消費して、愚かな人間だな」


 まだ余裕がありそうなアブソンを見て俺は追加攻撃をした。

 展開したのは雷魔法。


「6重……展開だと!? だがそれでも貴様の魔力が尽きるのが早まるだけだ!」


「残念だけどそれはない」


 アブソンの固有魔法である【吸収】は強い。

 だけど無敵ではない。


 俺が考えつく限り3つの突破方法がある。


 ――1つ目は不意打ち。

 これは全ての魔導師に言えるが不意打ちで即死させられたら、いくら強力な能力を持とうが意味がない。


 ――2つ目は吸収速度を上回る魔法を打つける。

 魔法障壁と同じで瞬間最大火力で、吸収を追いつかせない方法だ。


 ――3つ目は吸収の許容量を超えること。

 魔族に比べ人間の魔力量は少ないらしい。

 100人で同時に攻撃するなどすればいけるかもしれないが、現状はできない。

 

 だけど今回俺が取る方法は3つ目だ。

 何故なら――


「悪いが俺の能力は【無限】だ。いくら使おうと俺の魔力が減る事は一切ない」


「……は?」


 魔力が無限に使える俺は魔力切れは絶対にない。

 そしてアブソンの許容量を超える事も容易いだろう。


「お前の吸収がいつまで耐えれるか見せてもらうよ」


「ふ、ふざけるなっ!!」


 状況を打破しようとしているが、攻撃が多すぎて吸収するので精一杯。

 何も出来ず、ただひたすらに吸収し続けるアブソン。


「くっ……こんなことがあって……たまるかー!!」


 そう言い残したアブソンの体は――


 ボンッ!


 内側から派手に爆発してしまった。

 

「相性が悪かった様だな」


 無限の魔力を持つ俺じゃなければアブソンの能力は相当強い。

 それこそ俺の師匠と――ないな……


 師匠は相性とか関係なさそうだし。

 あの人の能力こそ最強な気がするもんな。


「す、すごい……」


「あれほどの敵を最も容易く倒すなんて……」


「学長や団長なみだ!」


 周囲にいた宮廷魔導師達は各々が褒め称えてくる。

 少し照れるが悪い気はしなかった。


 この後彼らに称賛され続けていたが、復興作業を急ごうと提案し解放してもらう。

 相手の狙いや結末を学長に伝えるため、一度広場へ戻る。


「学長、無事解決いたしました」


「誠かっ!やはりあの人の弟子だけはあるな」


 近くにいた教職員は驚き、ざわめいている。

 その影響は次第に学生に伝播していき、広場がざわざわとしていた。


「皆の者!先ほどの事件は無事解決した!」


 収集がつかなくなる前に学長が声を張り落ち着かせた。

 だが、あくまで事件が解決したとだけ言う。


 敵が魔族で勇者を狙っているとなればパニックになりかねない。

 魔族自体が秘匿されている状況では情報過多もいいとこだ。


 授業開始の来週までは極力出歩かない様伝え、この日はすぐに学生達を帰宅させた。


 広場に残った教職員と皇帝を始めとした国の重鎮達はキャンパス内にある会議室に移動し、魔族の事を共有する。


 ここまで派手に行動してくるのでは教職員にも伝え、勇者を探すのと守るのを協力してもらう必要があるからだ。


「ミダス曰く、この学園に勇者の素質を持つものが入学してくるそうだ。それを君たち教員が探し出し、全力で保護する様に」


 ルドルフ皇帝は俺たち教職員に伝える。

 魔族だの勇者だの事態を飲み込めていない者は動揺が見られた。


「しかし、安心するがいい。学園に新たに赴任した教員であるクラトスが何とかしてくれるであろう!」


「おぉ!」


 先ほど倒したのが俺だと伝えられているので皇帝の言葉で皆が期待の眼差しでこちらを見てくる。


「が、頑張ります!」


 聞いた話では学長も賢者であるため、学園内には常に賢者が2人いる事になる。

 ちょっとやそっとじゃ負ける事はないそうだ。


 因みにルドルフ皇帝と宮廷魔導師団長も賢者で、この帝国には俺を含めて4人の賢者がいる事になる。

 アトラス王国は俺だけだったしレベルが桁違いだ。






 帝都内のとある場所。


 1人の白い髪を短く切り揃えた男性は事の顛末を聞き、手近にあったグラスを地面に叩きつけた。

 ガシャンという音が部屋に木霊し、彼の配下である男が落ち着く様促す。


「落ち着いてください。まだやれる事はありますから」


「うるさい! この短期間で2度も失敗したのだぞっ!?」


 白い髪の男性は次に親指の爪をかじりつつ、次の作戦を考える。


「くそっ!どうすればいいのだ!どうすれば始末出来る!?」


「…………」


 配下の男は黙り通す。

 自ら作戦を立案するのが憚れるからだ。


「今度はもっと強い魔族を呼ぶしかあるまいっ!」


「左様でございますか……」


 リシア魔法大学へ襲撃してきたのはたまたまではなかった。

 この男性が計画を立案し、魔族が乗ったに過ぎない。


「ヘルムート!手配を急げ!今度こそリベルタを事故に見せかけて殺してやる」


「……畏まりましたフリードリヒ殿下」


 リシア帝国の第一皇子フリードリヒは妹であるリベルタを殺す事に躊躇いはなかった。


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― 新着の感想 ―
[一言] ・・・、うわぁ・・・。これバレたら廃嫡事だよ?というか、バレないと思ってるのかな? あ、やっぱり許容量狙いか。まぁ、賢者が二人(片一方が魔力無限)だもんな・・・。 十賢の魔族を雑魚扱い・…
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