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第13話 魔族襲来

「うわああああああ!!」


「きゃあああああ!」


 突然のことに学生達はパニックだ。

 壊れた天井の瓦礫も下で座っていた学生に降り注ごうとしている。


「間に合ええ!」


 咄嗟に風魔法を使い瓦礫を空中で吹き飛ばし、大講堂の壁にぶつけた。

 弁償金とかそんなのは今気にすることじゃない。


「た、助かった……のか?」


 学生達も瓦礫が降ってこないと知り安心をしたが束の間。

 次々と崩れ続ける天井を見て大講堂から逃げ出そうとする。


「クラトス殿、天井の方は任せた」


「承知しました学長!」


 すぐに学長が行動に移る。

 状況についていけてないリベルタ様がいる教壇へ上がり皆に声をかけた。


「学生の諸君落ち着きなさい! 教師の指示に従って速やかに行動してください。教師の方は学生の安全を第一に避難を急がせなさい」


 学長が声をかけたことで教師達もテキパキと行動をする。

 リベルタ様を連れ、皇帝陛下を始めとした要人は学長とその供回が避難させていた。


「君、ご苦労だった、早く避難を急がせてくれ」


 相変わらず瓦礫の除去活動をしていた俺に誰かが話しかけてきた。


「あなたは?」


「我々は宮廷魔導師だ。後のことは我々に任せなさい」


 宮廷魔導師を名乗る男の後ろに同じローブを羽織る者が複数人いる。

 一介の教師である俺は撤去作業ではなく避難を急がせろという事だ。


「後のことはお願いします」


 俺がこのまま出しゃばるのは違うので、俺も学生の避難誘導に専念する。

 しかし、何故天井が突然崩壊したのだろう。


 そう思ってもう一度天井を見た時。


「空に誰かいる!」


 学生の誰かが声をあげた。

 空が丸見えになった天井から1人の人間が宙を浮いている。


 きっとあいつが襲撃した犯人で間違いない。

 宮廷魔導師達も気がつくと、瓦礫を除去しつつ浮遊魔法で空を飛びその男に近づく。


 俺は空の状況を気にしつつ避難を急ぐ。

 あっという間に大講堂から人がいなくなった。


 学生達は全員外に避難し、教師によって近くの広場へ移動していく。

 俺も教師であるからこの避難についていくしかないが、どうしても嫌な予感がした。


 振り返ると先ほど空に上がって行った宮廷魔導師と例の男が戦闘をしていた。

 音で学生達も気付いていたが、怯える人は少ない。


 それ程まで宮廷魔導師は信頼されているらしい。

 彼らが負けるはずがないということだ。


「これで避難は完了か」


 広場まで来ればあとは大丈夫だ。

 瓦礫などが落ちてくる心配はない。


 周りを見ればダニエルだけでなくシャーロットさんとエレノアさんも無事。

 学長が避難させたリベルタ様や皇帝陛下もいた。


「でもやっぱり気になるな……」


 帝都の中心に近いリシア魔法大学を襲撃するなど普通じゃない。

 それも皇帝陛下や皇女殿下がいるところをだ。


 敵国の仕業だとして1人というのもおかしい。

 俺は一度学長の元へ向かう。


「学長、ご無事ですか?」


「クラトス先生か、こちらは平気だ」


 学長にどこまで把握しているかを尋ねたところ、彼も分からないらしい。

 例の男は宮廷魔導師がなんとかしてくれるから大丈夫だと言う。


 そんな時、空から勢いよく1人の男性が広場に飛ばされきた。

 幸いにも誰にもぶつかることなく地面に落ちたようだ。


 魔法障壁をギリギリのところで展開し命は助かっているが重症には違いない。

 俺や学長達はその男のもとへ駆け寄る。


「学長殿ですか……力をお貸しください、あいつは強すぎます……」


「何があった!?」


「あいつは魔族と名乗っています……我々では手に負えません……」


「「魔族!?」」


 相手が何者かである事を理解した俺と学長に緊張が走る。

 ミダス師匠が復活を阻止している魔王の配下。


 それが魔族で、その1人がここを襲撃した。

 つまり勇者を狙っている可能性が高い。


「学長、私にやらせてもらえませんか?」


「いや、ここは私がいく!」


 学長が自ら戦闘に参加すると宣言した。

 歳と言っても彼は相当な実力者らしい。


「いくらミダス様の弟子とはいえ任せられぬ。ここは私が――」


「いかせてやれ」


 俺たちの会話に割り込んでくる人物がいた。

 横に視線を向けると、そこにいたのはルドルフ陛下。


「どうしてですか陛下?この場で行くべきは」


「この者はミダスの弟子であろう?それに勇者の保護を頼まれたのだ。ここで実力を把握しておかねばなるまい。ダメだと言うならその時戦ってくれ」


「畏まりました……」


 俺は師匠から勇者を見守る任務を任されている。

 この事件もその範疇だ。

 

 これで結果をだせなければ師匠の顔に泥を塗るのと同意。

 

「学長、任せてください。圧勝してまいりますよ」


「頼んだぞクラトス先生」


 俺は杖を握りしめ、浮遊魔法を使い大講堂の方へ向かった。

 今も尚、宮廷魔導師と魔族の戦闘は継続している。


 しかし、宮廷魔導師達はボロボロなのに対して魔族を名乗る男性は傷一つない。

 ぱっと見では人間と遜色ないが、魔族と一眼で分かる特徴があった。


 それは頭から生えている二本の角だ。

 

「学長の命により助太刀いたします」


「助かる……と言いたいがお前では無理だ。学長か陛下の力を借りるしかない」


 1人の宮廷魔導師はそう答えた。

 どうしてかと聞き返すと魔族が律儀に答える。


「初めまして魔導師さん。魔王様が配下、十賢の1人アブソンですよ」


 相手は幹部級の実力者だった。

 

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