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第61話 頼れる最強の仲間たち

「ふふん、こんな時のためにと魔王を討伐して平和になった後もずっと、地道に書き溜めていた究極最高レベルの爆撃符、その十連発だもの。これくらい当然の結果よ。ちなみに1枚書くのに1日8時間として10日はかかる計算なんだからね?」


「1枚80時間、合計800時間の超大作かよ。こりゃあもう、リヨンにはいつか大きなお礼をしないとだな。っていうか俺でお礼しきれるかな」


「別にあなたのお礼なんてこれっぽっちも要らないわよ。それとまだまだあるから安心しなさいな。超越魔竜イビルナークとの戦いまで、クロウの力は徹底的に温存させてあげるんだから」


 などとそっぽを向いて言ってくる、どこまでもブレない毒舌ツンデレなリヨンだった。


 さらに進んでいくと、今度は100体を越えるSランクの魔獣たちが出現した。


「おいおい、なんつー数だよ……」


 さすがにこれは俺も戦わないといけないな――そう思った俺が『破邪の聖剣』に手をかけようとしたところで、ストラスブールがそれを制するようにスッと俺の前に出た。


「ふぉっふぉっふぉ。クロウよ、今度はワシに任せてくれぬかの――開放」


 ストラスブールが一言「開放」と呟くと、突然何の前触れもなく魔獣たちに向かって猛烈な爆風が巻き起こった。


 それはさっきリヨンが起こした大爆発の爆風とほとんど同じくらいの、ものすごい威力の爆風で――100体以上いたSランク魔獣たちを、なんとたったの一撃で全て薙ぎ払ってしまったのだ。


「ちょ、ちょっとストラスブール!」


 それを見たリヨンが、慌てたようにストラスブールの肩を掴んで振り向かせる。


「どうしたのじゃリヨン殿」


「今のって、私がさっき使った符術の余波で起こった爆風でしょ!?」


「ふぉっふぉっふぉ、やはり使うた本人が見ればわかってしまうか。左様じゃ、先ほどの爆風を防御した時に、結界の中にその力を留め置いておいたのじゃよ」


「な――っ!?」


「勝手にリヨン殿の技の一部をつこうてしまって悪かったの、いやすまんすまん。次からは先に一言言っておこう」


「そんなことをイチイチ断らなくてもいいわよ! つまりさっきのは、事象を一時的に停止させて結界の中に閉じ込めておいて、さらにそれを任意で解き放ったってわけなの?」


「まぁ言葉で説明するとおおむねそのような感じかの? でも停止はさせておらんぞ? さすがに時を完全に止めるのは不可能じゃからの。単に結界内の時間の流れを限りなく遅くしただけじゃ」


「あり得ないことをやってるって意味じゃどっちも一緒よ! それでね、どうやってやってるのかちょっと原理を教えて欲しいんだけど」


「うーむ、いかんせん感覚的にやっておることじゃから、原理や理屈をあまり深くは考えたことはないのじゃよ。すまんのぅ」


「くっ、神にも等しいことをやっておいて、さらっと感覚的とか言うところがまたムカつくわねこのタヌキじじい……! 感覚でこんなことができたら誰も苦労(クロウ)はしないじゃない!」


「あ、俺のこと呼んだ?」


「寒いギャグはやめてくれないかしら。私今ちょっと、術士としての才能の差をまざまざと見せつけられて心の底からムカついてるから、クロウのクソくだらないギャグに付き合う心の余裕がないんだけど」


 リヨンがマジ切れ気味のイライラを隠さずに厳しく睨みつけてきたので、


「ご歓談中にクソくだらない寒いギャグで口出しして、誠に申し訳ありませんでした」


 俺はリヨンにごめんなさいをした。


「おにーさんが全然勇者してないよ……」

 そんな俺を見て、アリスベルが小さくつぶやきながら苦笑いをする。


 とまぁ、こうして騎士団と最強の仲間たちに支えられたおかげで、ついに俺は力を完全に温存したままで目的の古代神殿遺跡へとたどり着いたのだった。


 そしてそこには、


 グルルルルルルルルルルルルル――――ッ!


 1体の漆黒の巨竜が――超越魔竜イビルナークが俺たちを待ちうけていた。


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