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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私はリリアーヌ

私はリリアーヌ~女神の箱庭

作者: かのん

書き溜めてたリリアーヌ、女神編です


一応もう1作はシリーズとして書く予定ですが

連載の合間になるのでもう少し先かなと


これでストックが何もなくなってしまった―


ほんの少しの思い付きだった









女神達が集まったお茶会で、それぞれが色んな話をしては

「そんな事があったのね」等と微笑みあっていた


女神達は基本的に温和で優しい者ばかりで

中にはまれに、厳しい事を言うものもいたが、それは優しさからでるもので

流石神と言われる高潔な者が多かった



ところが、そんなのどかなお茶会で一人の女神が思いがけない話をしたのだ


曰く、別の高位世界から一つの魂が流れ落ちてきて、一つの体に宿ったのだというのだ

しかも、それだけでも珍しい、いやあってはならない事なのに、その魂が巻き起こした事は

女神の想像を超えた事だったというのだ


初めは、流れてきた魂をどうするべきか悩んだそうだが

落ちてきたものに罪はないかと思い

死産で生まれるはずだった体だった事もあり、そのまま見守る事にしたらしい



その赤子は女の子で、12歳になるまでは普通に暮らしていたらしい


ところが少女が12歳になった頃、実は死んだと聞かされていた父親が男爵で

母に無理矢理手を付けて身籠らせ、それが本妻にバレたら母親を追い出していたのだが

その本妻が事故で亡くなり、子供もいなかった事から昔手を付けて生ませた子供を思い出し

受け入れる事にしたというのだ


世界で見れば、どこにでも転がっているような話でもあるが

酷い話だと今迄の少女なら憤ったはずなのに、突然少女は喜んだのだそうだ


「これ私ヒロインだ」

そう言って、嬉々として母を街に残し自分だけ男爵の下に身を置いたらしい


そこからが女神の想像を超えた事だったらしい


その少女が急に、高位世界の影響を持った力を使い始め

学園という貴族の少年少女が集められ学ぶ場所でハーレムを築き始めたというのだ


本来女神の世界にハーレムという概念は存在しなかったのに

(ハーレム自体は他の女神の世界にあったので女神達は知っていた)


しかも、みな婚約者のいる高位貴族の少年ばかりを魅了の力でハーレムに加えていったらしい


だが当然そんな事をしていれば、ハーレムに入れられた少年達の婚約者達も黙ってはいなかったらしい


正式な抗議を行ったのだ

彼女達は真っすぐな、まだ大人になっていない少女達だったのだ


ところがそんな抗議を、ヒロインを自称する少女は曲解させ、自分を蔑み虐めてくるのだと訴えた


魅了にかかっていた少年達は、調べる事もなく自称ヒロインのいうままに動き

婚約者たちを冤罪で陥れていった



中には自死した者もおり、そこで初めて大人が動き始めたらしいのだ



そして、自死した少女が出た事により、女神も動いたのだ



これは高位世界からやってきた災害だと



女神だけでは高位世界の魂に手が出せないため、大神に願い出た




そうして初めて解ったのが、高位世界には「乙女ゲーム」なるものが存在し

たまたま女神の世界がとてもその「乙女ゲーム」に似ていたらしいのだ


その乙女ゲームというものは大まかにいえば

ヒロインが学園で攻略対象という選ばれた少年達と恋愛をするというものらしく

その過程で悪役令嬢に邪魔されてもめげずに愛を貫く的なものらしかった


しかも、どの少年とも恋愛するべく、周回プレイなる事で

何度も同じ時間をやり直し、全ての攻略対象との恋愛を楽しむというものらしいのだ


ただ、自称ヒロインの少女は実際の人生だとしたら一度しかないのだからと

一気に攻略を進めるハーレムルートというものを選択したらしかった



だが、そんな事に巻き込まれた世界は迷惑以外の何物でもない

まさに災害だと言えた



女神はこんな事を起こされた事を嘆き、世界の時間を巻き戻し

大神に願って高位世界の魂を女神の世界から取り除いて貰ったのだという話だった



どの女神も話に聞き入っていた


もし自分の世界でそんな事が起こっていたらと思うと他人事ではなかったのだろう



今後高位世界から、あってはいけない事ではあるが魂が落ちて来た時は

それぞれ注意してみようという事になった


全ての魂がそんな事をするわけでもないだろうが、「乙女ゲーム」なる概念がある以上

同じような事が起こらないとは限らないのだから


今後はそうなりそうだと思った時点で大神に願い出よう

と、そう言ってお茶会は終了したのだ
















だが、自分の世界に戻った女神はワクワクしていた


「乙女ゲーム」なるものの存在に



もし自分でそんなものを作れたならと、少しばかり他の女神より高位世界に憧れ

なおかつもっと自分の力を試してみたかった女神はそんな事を思ったのだ



それからは、色々考えた


自分の世界に高位世界から落ちてきた魂はいない

ならどうしたらいいのか



婚約者がいるのにヒロインに懸想する少年達

そんなものはそうそういない


ならば、そういう魂を集めてその配置に生まれさせればいいのだ


ヒロインもこの世界には魅了の力を持ったものなどいないし

純粋で天真爛漫なだけでは、婚約者の少女達への罪悪感で遠慮してしまうに違いない

ならばそういう事を考えられない、純粋で天真爛漫と言えば聞こえのいいお馬鹿さんを配役に当てればいい


ヒロインの外見も可憐で保護意欲を掻き立てられるもので、悪役令嬢がきつめに見える美人らしいが

少年達に入れる魂が美人の方が好きなタイプならうまくいかないので

悪役令嬢には、少し人から嫌われる加護(呪い)を付けておく


これで、自分が「乙女ゲーム」のエンディングの時期を見計らって周回プレイの為に時間を戻せば完成するはずだ



自分の手で高位世界の模倣が出来る事にワクワクが止まらず、すぐに決行した





だが、思った以上に自分の付けた加護が強すぎたのか、悪役令嬢が思ったように動かない

それ以外は思ったように動いているだけに、イライラした


しかも悪役令嬢の魂までは選別しなかったせいか、大人しい受け身の性格の少女で

悪役令嬢ですらない


こうなったら、高位世界の「乙女ゲーム」というものの話を聞いた時に同時に聞いた

「乙女ゲーム」からの派生、「ざまぁ」になる可能性を入れてもいいのかもしれない


悪役になれないのだから、それぐらいはやってもらわないと作ったものとしては面白くない

「乙女ゲーム」でも「ざまぁ」でもどちらでもよかったのだ


自分の作った高位世界の模倣である作品が完成さえすれば




1周目が終わった悪役令嬢を次の周回に送り出す前に、発破をかけた

彼女にだけは1周目の記憶を残して、今度は失敗しないようにと



だが、結果はやはりうまくいかなかった


確かにヒロインたちはうまくいっているのに、悪役令嬢だけがきちんと役目を果たさないのだ

しかも、1周目よりも悪役令嬢ではなかったし、ざまぁの片鱗も見えなかった


プレッシャーをかけすぎたのかと3周目に移す時は魂に触れる事はしなかった






なのに、3周目はついに悪役令嬢が勝手に舞台を降りたのだ!


完全なる失敗だと思った



せっかく作り上げたものを壊されたと、怒りが沸き上がった時だった

目の前に大神が現れたのだ



そして

「神が神たる行いから外れるのなら、それは神にあらず」

と言われ、いきなり力を剝奪された


言い訳する暇すらなかった



更に、お前の世界もお前のせいで歪んでしまった

だが消滅させるのは、神のせいだとすれば哀れ

一度だけの猶予を与えよう


罰を受け、罪を贖えたなら世界は存続させる

だが罪を贖えなければ、世界は消滅するだろう



お前も一緒に罰するので罪を贖え


お前の、神の生贄になった娘の想いを知れ



そう言われた次の瞬間、暗闇に落とされたと思ったら

















私はリリアーヌになっていた

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