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面談

 翌日、部屋の前に気配を感じて目を覚ます。昨日は休まずに魔王城を見て回った後眠りについた。

 ドアがノックされた後、気配の持ち主が部屋に入ってくる。


「失礼します、レイス様。私はカールと申します。名目上は貴方様の教育係でございます」


 カールと名乗った男性は執事服を着ており、髪は白く老執事といった雰囲気だった。魔物としての特徴は今のところ見当たらない。会うのは初めてのはずだが、何処か懐かしさを感じるような気がする。記憶力には自信があるが、思い出せない。


「以前何処かでお会いしたことがありませんか?」

「いえ……私も時折戦場に出ますので、見かけたことがあるのではないでしょうか」


 疑うようで申し訳ないが、話している間表情に違和感は無かった。ということは本当に戦場で見かけただけかも知れない。


「朝早くから仕事の話で申し訳ないのですが、レイス様の主な勤務内容としましては、魔王様の補佐になります」

「私にそんな重要な役を任せてもよろしいのですか?」


 当たり前だが、私は信用の出来ない人間のはず。そんな人物が魔王様の補佐に就くなど、普通はありえない。


「これは魔王様の意思です。面白いから手元に置く、と」

「それは……大変ですね」

「ええ、魔王様にはいつも振り回されていますよ。さて、服の採寸をしますので、立ってください」


 私が立ち上がると、カールさんはサイズを測りを始めた。それから、すぐに一着の服を持ってきた。それは黒を基調としたスーツで、袖を通すと違和感なく綺麗に体に収まった。服を着て分かったが、仕事着として使える上にこのまま戦闘をしても何の問題も無いほど動きやすい。


「では、お勤め頑張ってください」


 私はカールさんに見送られながら部屋を後にした。



 私は魔王様の仕事部屋の前で立ち止まる。その扉は他の部屋とは違い煌びやかな装飾が施されており、周りとの格の違いを見せつけている。それでいて装飾は過剰でなく、仕事部屋の扉として厳かな雰囲気を持っている。

 自身の身なりに問題がないことを確認し扉をノックする。しばらくして部屋から「入れ」と言う魔王様の声が聞こえる。丁寧に扉を開き礼をしてから部屋に入る。

 その部屋は至って普通の仕事部屋だった。書類を保管するための本棚が幾つかと、作業をするための机と椅子。魔王様は椅子に座ってこちらを見ていた。


「この度は私を魔王軍に雇用していただき誠に――」

「堅苦しいのはいい。お主のことを話してもらおうか。長所とか色々話せ」


 魔王様が私の言葉を遮ってそう言う。

 挨拶も大切だと思いますが、一刻も早く情報の把握をした方がいいという判断でしょうか。色々話せと言ったのが少し言葉足らずなのは、私に自分で考えろということでしょう。


「私の長所は圧倒的な記憶力と状況判断能力です。記憶力に関しては、一度見た物は忘れない自信があります。あとは剣と暗器の扱いに長けていることと、声を自由に変化させる事が出来ます」


 普段なら謙遜して言うところだが、これは恐らく面接の様なもの。なら、ある程度は自分に自信を持って堂々とするべきだろう。


「私を魔王軍で雇用した際のメリットとしましては、人間界の情報の提供に、人里へ潜入しての破壊工作活動も可能です。さらに、複数の世界征服のための作戦を提案する事も出来ます。また、現在の魔王軍は法律や制度が確立されていないようですので、それを作ることも可能です。私であれば魔王軍をより良い職場にすることが出来るでしょう」


 今の私に提示出来るメリットはこのぐらいですね。これが魔王様を満足させるのに足るかは分かりませんが。


「そ、そうか。……とんでもないのを勧誘してしまったなぁ」


 魔王様が何かを呟いた様だが、声が小さく聞こえなかった。


「な、何か短所とかないのか?」

「それでしたら、私は魔法が一切使えません。これは私の最大の欠点と言えるでしょう」

「そうかそうか。それは大変だな」


 そう言う魔王様は何故か先程より嬉しそうで、口角も上がっていた。


「あとはこの紙に必要事項を書いて、人事部部長のベルナという奴に渡しておけ。もう用は済んだから出てっていいぞ」


 渡された紙は魔王軍の登録用紙で、名前と配属部署を記入するだけの簡素なものだった。また、名前の記入は任意となっている。これは魔物の大半は名前を持ってないからだ。

 しかし、先程から魔王様の態度が気になりますね。どうも投げやりというか、まるで面倒くさがっているような気がしてなりません。まあ、後で魔王様に直接聞けばいいだけのことですか。今は部署を見て回るとしましょう。

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