夜のバスに乗って
なろうの動作確認+腕試し的小説
初投稿作品。ずぶの素人なので、稚拙なところが多いと思いますが、まあ、そこは笑ってやってください。
願わくは感想でご教授いただきたいです。
あと、小説の意味とかはたいしてないので、雰囲気を楽しんでもらえれば、と思います。
18.11/2微修正 11/5さらに修正
そのバスには私の他に乗客はいなかった。
明るい無機質な電灯が、暗い窓ガラスに、無言な座席の群れを映し、その空間を広く見せていた。
バスが騒々しく揺れ、エンジンが唸りを上げる。
私はぼんやりと、その空虚な空間の背景として前方から来ては後ろへ流れ去ってゆく、暗く静かに眠っている町の輪郭を、ただ見ていた。
しばらくして、あるバス停の前で止まった。見ると、灰色の服の女が一人、バス停の古いベンチに座っていた。
四十代ほどのその女は、顔を俯け、黒色の小さな物を膝の上で抱えていた。白い冴え冴えとした電灯に照らされ、くたびれた灰色の服装と白髪が混じった頭がを浮き彫りになっていた。
少なくとも幸せそうには見えなかった。
ビーッという音。ドアが開き、能天気なミュージックが、スピーカーから流れ始める。
女は生気ない目でバスを見、またすぐに俯いた。明るいミュージックが、闇の中で流れ続けて、沈黙の時間をうめていた。
やがてビーッという音とともにドアが閉まった。そしてバスはゆっくりと動き始める。その女を残して。
私は窓ガラスを見ながら、バス停にいた女のことを考えた。ライトに浮かぶ、しわと疲れが刻まれた顔を思い返した。あの虚しさを諦めきった、寂しい顔を反芻し、彼女の人生に思いを馳せた。
突然ある疑問が夜の暗がりのような不安とともに、心を薄く覆うの感じた。
(私は一体どこへゆくのだろう?)
暗いガラスはただ無関心に、白く薄い虚像を映していた。
バスは、故のない不安を抱えた私を乗せて、暗い夜の中を走り続けた。