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第08話 驚異の新人

 セルミナルクまで帰り着いた俺たちはさっそくギルドに報告に向かった。

「依頼の報告に来たんだけど」

「はい、ファルターさんとフィーナさんですね。えっと、オークの討伐依頼ですね……はい、確認しました。依頼達成おめでとうございます」

「ああ、ああっと、そうそう、ギルド長に報告があるんだけど、今、いるか」

「ギルド長ですか、はい、おりますよ。すぐに報告されますか」

「そうだな、なるべく早いほうが良いと思う」

「かしこ参りました。では、お持ちください」

 俺は勇者の洞や魔法の袋などを報告することにした。

 実はギルドではこれをしなければならない規則がある。

「すぐにお会いになるそうです。どうぞ、こちらへ」

 俺たちは受付の案内についてギルドの2階へと移動した。


 2階のギルド長室にたどり着くと、受付がノックをした。

「お連れしました」

「おおう、入れ」

 中からは野太い少し深みのある声が聞こえた。

 話によればここのギルド長は現役時代、ランク20まで上げた百戦錬磨の凄腕冒険者だったらしい。


 中に入ると声に似あったすごみがありそうな40代のおっさんが椅子に座っていた。

「お前たちが例の新人か、噂は聞いてるぜ。俺はここセルミナルク平民冒険者ギルド、ギルド長クジャリだ。お前がファルターだっけ、マルスとキナは元気か」

 ギルド長が今尋ねたマルスは俺のこの世界での父さん、キナは母さんの名前だ。

「あれ、知り合いですか」

「ああ、昔組んだことがある。あいつらもとんでもない奴らだったけどな」

 そういいながら昔を思い出しているようだった。

「へぇ、そうなんですか、まぁ、2人とも元気ですよ。毎日狩りをしながら畑を耕してます」

「そうか、それはよかった。それで、お前たち、俺に報告があるって聞いたがなんだ」

「ああ、実は……」

 俺はオーク討伐の際に発見した勇者の洞のこと俺とフィーナが勇者一行の末裔であるということ、あとは俺たちがそれぞれ受け継いだ魔法の袋とグローブと靴のことを話した。

 ちなみに俺が転生者であることや勇者が俺の子孫であることは報告していない。

「……勇者の洞か、それにお前たちが、まぁ、確かにお前たちの実力を見ると納得はできるか。しかし、面倒になったな」

 この面倒になったということは、間違いなく俺たちが勇者一行の子孫であるということだろう。

 実は、勇者の指名手配はいまだに解けていない。

 それどころか勇者に関する情報には懸賞金がかけられ、子孫である俺たちのことが知られれば逮捕されることにもなるからだ。

 といっても、これは貴族などの金髪碧眼、真っ白い肌の連中に限っての話で、先住民には歓迎される話だった。

 では何が面倒かというと、それは冒険者ギルドのシステムにあった。

 この大陸の冒険者ギルドは最初の侵略地であり最初の国である。ミズール国の首都に設置されている。そこから各国に支部が設置されている。

 この国も例外ではなく首都ブリッグに冒険者ギルド支部がある。

 そして、その支部を国の本部としてさらに各都市に細分化されているのが冒険者ギルドだ。

 ここで厄介なのがこの国の冒険者ギルドはほかの国とは違うという点だろう。

 なにせ、ほかの国では俺たち先住民たちは奴隷として扱われている。この国だけが例外として平民に格上げされている。

 つまり、ほかに国にとって俺たちが冒険者を名乗ろうがただの奴隷だ。

 そのため、この国には2つのギルドが存在している。

 1つが今俺のいる平民冒険者ギルド、もう1つは貴族冒険者が使う貴族冒険者ギルドとなる。

 まぁ、ほかの国にとっては貴族ギルドのほうが正式なギルドで俺たちの平民ギルドは別物という認識だ。

 そこで問題なのは、平民ギルドは貴族ギルドの配下に位置しているということだろう。

 そのため、このギルド内のことはすべて貴族ギルドに報告しなければならない。

 ちなみに逆はないので、俺たちの情報は筒抜けなのに貴族ギルドの情報は一切入ってこないという理不尽な状況だった。

 そう、ここまで説明すればわかると思うが俺が今報告した内容はすべて貴族ギルドに報告しなければならないのだ。

 といっても、クジャリが隠せば報告の必要はないわけだが……

「まぁ、お前たちの正体については報告できないが、その装備と魔法の袋については報告せざるをえないだろうな」

「それは構わないけど、無意味だと思いますよ」

「どういうことだ」

 俺は魔法の袋の問題点について話した。

「……超級だと、そんなもの、誰が使えるっていうんだよ」

「一応、俺と父さんは使えますが……」

「まじか、いや、確かにマルスは使えるって言ってやがったな。しかし、お前も超級が使えるのかよ」

「まぁ、とりあえずですが」

「それでも使えるのか、しかし、確かに超級が使えないと作ることができず。作った奴しか使えないか……こいつがあれば助かるやつがかなりいると思うんだがな。まぁ、一応職人に研究させるか」

「ま、それがいいですね」

「それで、こいつは?」

 次にクジャリが示したのはフィーナが受け継いだグローブと靴だった。

「これについての問題は出力ですね。考えてみてください、その子孫であるフィーナを見ればわかると思いますけど、武術の才能が人並み外れてはいますが普通の人です。当然勇者も同じです。そんな人間が魔王を討伐なんてできるわけがない」

「なるほど、つまり、そいつは普通の人間でも魔王を討伐できるぐらいの超人にできる代物だってことか」

「はい、私もこれをつけていろいろやってみましたけど、その威力は怖いくらいでしたから」

「もし、これを悪人が手に入れた場合、魔王より最悪なことになるかと……」

 俺は言っていて少し怖くなった。

 フィーナも同じであり、当然クジャリも同じだった。

「……となるとこいつは報告しないほうが良いかもしれないな」

「でも、そうなるとフィーナが使えなくなる。フィーナにとっては先祖から受け継いだものだし、だから、出力を抑えたものにすればいいんじゃないですか」

「それがいいか。しかし、そいつが知れて誰かに盗まれたらどうする」

 クジャリの心配はもっともだ。もしフィーナが受け継いだこれが悪人が盗むということも十分にあり得るからだ。

「それについては問題ないですよ。これ魔力認証が付いていますから、勇者様の子孫である私しか使えません」

 答えたのはフィーナだった。

 そこらへんは浩平も考えていたようだった。

「そうか、なら安心というわけか、よし、それじゃそういうことで話を進めるぞ」

「はい、お願いします」

 その後少しだけ話をした後俺たちはギルド長室を後にした。


 宿に戻り俺たちは今後の話をすることにした。

「明日からどうする」

 俺はフィーナにそう尋ねた。

「そうね、これに慣れておきたいし、しばらくは少し強い魔物を討伐したいかな」

「だな、俺もそれに合わせて強力な強化魔法を使っておくか」

 こうして俺たちの話し合いはあっという間に終わりその日はそれぞれの部屋に戻った。


 そして、次の日から俺たちはとにかく強い魔物討伐の依頼を受けまくった。

 そのおかげで、あれから3か月たった今では、フィーナは浩平から受け継いだ装備を完璧に使いこなしていた。

 ちなみにそれはついこの間出力を抑えたものが開発され『ブースター』という名で販売されている。

 予想はしていたが結構売れている。

 といっても値段がかなり高いので、買っているのは主に貴族冒険者や平民冒険者でも稼げる上位ランクの者たちだ。

 それから俺とフィーナは強い魔物を討伐しまくっていたということもあり、いつの間にかランクが10となっていた。

 この3か月でランク10というのは実は驚異的なスピードで、普通は4年から5年はかかるといわれている。過去の最速記録でも1年はかかるということだ。

 しかも、このランク10でも俺とフィーナの実力では下ということになり、討伐する魔物も結構簡単に討伐できてしまっている。

 これらのおかげで俺たちは脅威の新人としてギルド内から一目を置く存在として扱われている。

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