第30話 ベスト4
3回戦はかなり危なかったがこれまた何とか勝ち進むことが出きた。
これで、ベスト4進出というわけだ。
「おめでとう、ファルター」
「ああ、かなり危なかったけどな」
「確かに、そういえば相手の人大丈夫だったの」
「ああ、回復魔法をかけたからな、すぐに目覚めるだろ」
「そうですか、それにしてもあの回復魔法は素晴らしかったです」
「うん、うん、あんなの見たことないかも」
そんな感じでサーラとクルムは尊敬の目で俺を見てきた。
「うん、神様から聞いていたけど、ほんとにすごい魔法だね」
ポルティも感心する魔法だったようだ。
「この後はフィーナの番だな」
「うん、午後だからね、とりあえずお昼にしよ」
「だな」
それから俺たちは昼飯を食べてから、午後のフィーナの試合まで軽く話をしながら時間をつぶしていた。
そして、フィーナの試合。
さすがに本選3回戦、フィーナも瞬殺できなくなってきていた。
それでも俺みたいに危なげもなく勝ち進んでいた。
「ほんと、すごいよね」
「うん、フィーナ様強すぎ」
「ほんとにね」
「だよな」
「うん、うん」
それが俺たちのそれぞれの感想だ。
こうして、フィーナも無事ベスト4に進出することができた。
俺たちがベスト4進出を決めた次の日は5位から8位を決めるトーナメントが行われ、その次の日、ついに第4回戦が始まる。
朝、ベスト4進出を決めた4人が武舞台に集まっていた。
「皆さま、ついに本大会ベスト4が決まりました。では、ご紹介をいたしましょう。まずは、魔法使いでありながら見事な戦いを見せた、ファルター選手。彼の武術の才能は一体どこから来たのでしょう。なぜ、魔法使いでありながらこれほどまでの戦いをすることができるのか、謎が絶えません。そして、その隣は、そのファルター選手の冒険の相棒であるフィーナ選手、4人の中で唯一の女性であり、彼女の強さは言うまでもなく、その鮮やかな技は素晴らしいの一言です。そして、次は前回13歳という年齢で参加ながら第3位という輝かしい成績を残していた。エルモ選手、今回は順位を上げることができるのか注目です。最後は、前大会優勝を果たした、ブルデウス選手、ここまでの戦いでもまさに前回優勝の力を示しているかのような戦いを見せてくれました。続いて、こちらの4人には抽選を行っていただきます」
ベスト4に進出するとここで新たに抽選を行い、組み合わせを変えるというきまりがある。
だから、この抽選で今日の対戦相手が決まるというわけだ。俺としてはエルムに当たりたい、なぜなら、フィーナにはどうあっても勝てないし、たぶんだが、ブルデウスにも勝てないからだった。
そして、抽選の結果、俺の相手はフィーナだった。
「組み合わせが決まりました、なんと、ここでコンビ対決となりました」
会場は盛り上がったけど、俺としてはああ、これで終わりかという感じだ。
そして、まず俺とフィーナの戦いが始まろうとしていた。
「お2人頑張ってください」
「フィーナさん、手加減しないでいいですからね。お兄ちゃん、負けても大丈夫だよ」
愛美は俺が負けると思っているようだ。まぁ、あってはいるんだけど……
そんなこんなで武舞台で俺たちは対峙した。
「こうして、向かい合うのって初めてだよね」
「ああ、普段は、訓練だからな」
「手加減しなくていいんだよね」
「ああ、いいぜ、俺も本気で行くからな」
「それじゃ」
「行くか」
「始めてください」
それから俺とフィーナの戦いが始まった。
その戦いはこれまでの大会が遊びのように見るようなものだった。
なにせ、俺もフィーナも持てる技をすべてぶつけている。
それでも俺の技は辛うじてフィーナには届かなかった。
といっても全部ではなく多少は当たる。それでも、フィーナの攻撃はよく当たる。
後は、俺の技がどこまで当たるかと、俺の耐久力がいつまでもつかという感じだった。
「な、なんと、す、すごいです、この技の応酬、これが2人の本当の実力なのでしょうか」
司会もそういって驚いているほどの戦いだった。
しかし、やはり、才能とそれにより基礎能力の差だろう、俺はあと一歩のところで負けてしまった。
「私の勝ちだね」
「ああ、そうだな、俺の負けだ」
「ああっと、ついに決着がつきました、フィーナ選手の勝利です」
その瞬間会場から割れんばかりの歓声が上がった。
「お兄ちゃん残念だったね」
「お2人も素晴らしい戦いでした」
「うんうん、すごいよ、お兄さんもフィーナ様も」
「ほんと、ほんと、すごいよ」
試合を見ていたサーラとクルム、ポルティの3人はなんだか興奮していた。
「これで、フィーナはあと決勝だな」
「うん、でもその前にファルターは3位決定戦でしょ」
「ああ、たぶん相手はエルモだろうな」
「うん、私もそう思う」
「そうなんですか」
「ああ、エルモも結構な使い手だけど、ブルデウスは強い。間違いなく俺だったら負けるだろうな」
「フィーナ様ではどうなのですか」
「私でもやってみないとわからないわね。でも、たぶん、マナミちゃんなら勝てるんじゃないかな」
「えっ、それってどういうことですか」
「マナミって、お兄さんに負けましたよね。それなのに??」
サーラとクルムは頭の上に疑問符を浮かべていた。
「簡単だよ、つまり、フィーナと愛美では愛美の方がわずかに強いんだ。その理由は、技にあるんだけどな」
「技?」
「うん、私はこれでも上森の女型継承者で、フィーナさんは男型継承一歩手前の浩平さんの子孫だということ」
「いや、ますますわからないんだけど」
「俺たち上森にはもともと女型と男型があるんだけど、それは文字通り男と女では体のつくりが違うから扱える技も違うということで分けてあるんだ。だから、元来女であるフィーナは女型を学ばなければならない、でも先祖の浩平が男型しか知らなくてしかも継承の一歩手前のところでこっちの世界に転移してしまった。だから、上森では未熟だったんだよ」
「えっ、勇者様が未熟!」
2人にとっては衝撃的な事実だったのだろう。
「だから、技の差で、フィーナより愛美の方が強いってわけだよ」
「なんだか、マナミがすごく見えてきた」
「うん、確かに」
「なにそれ、これまでたいしたことないって思ってたの」
愛美も少しむくれたようにしているところを見て、仲のいい3人だと思った。
さてと、そんなことを話しているうちにどうやらエルモとブルデウスの戦いも終わったらしい。つまり、俺の対戦相手が決まった。
まぁ、その相手は予想通りエルモだった。




