第22話 準決勝
2回戦を相手の武器破壊という形で何とか勝利した後、1回戦と同じく瞬殺したというフィーナと合流した。
「さすがだな、フィーナ」
「ファルターだって、やるじゃない、相手強かったんでしょ」
「ああ、ほぼ互角だったからな、あのまま続けたら才能の差で俺の負けだった」
「へぇ、すごいわね」
フィーナは素直に感心していた。
ちなみに俺とフィーナが今いるところは会場近くの食堂、応援に来ていた使用人たちは俺たちの試合が終わったということでそれぞれ仕事に戻っている。
そんな風に話をしていると客が2人入ってきた。
俺はふとそっちを見ると男と女、女の方は見覚えがあった。
「お、お前は!」
「あれ」
男の方は俺をにらんできた。
逆に女は好意的な表情で見てきた。
「ファルター知り合い」
「ああ、2回戦の相手だよ」
「へぇ、あの人が」
「食事? それにそっちは、もしかして、彼女?」
「えっと、まぁ、似たようなものだけど、相棒だよ」
「ふーん、ミルバよ」
「フィーナです」
ミルバは男の方は紹介してくれなかったが、さっきからずっとにらまれている。
「さっきは、やられたわ。まさか、魔法使いなのにあんなに強いなんてね」
「そっちこそ、あれはやばかったよ」
「そうね、確かにあのままやっていれば勝っていたのはこっちかもね」
どうやらミルバも気が付いていたようだ。
「ああ、だから、武器破壊をしたんだけどね。ていうかそれしか方法なかったし」
「それこそ、驚いたけどね。私も長いこと剣士やっているけど、剣を破壊されたのは初めてよ。まぁ、そこまでの物じゃなかったけど、そう簡単にできることじゃない」
ミルバは武器を破壊されたのにそれほど気にした風ではなかった。
「まぁ、確かに、でも、俺の場合はこの刀があったからな」
俺はそう言って腰に差した自身の刀を見せた。
「そう、それ、気になったんだけど、それいったい、何? 見たことない形だし、あの技も見たことない、それにあの切れ味、普通じゃないよね」
いきなり食いついてきた。
とことん剣が好きなんだと思える行動で好感が持てる。
「ああ、これは刀って言って、斬ることに特化したものだよ」
「なるほど、だからの切れ味ってわけか。でも、そんな細いものでよく折れないわね」
「確かに見た目は細いけど幾重にも重ねて鍛え上げているんだ、だからかなり丈夫だよ」
「ふーん、なるほどねぇ、ああ、それであの技は?」
俺はほんとに好きなんだなと、輝いた瞳を見ながら思った。
「あれは抜刀術、ほら、この刀って少し湾曲しているだろ」
「ん、ああ、そうだね」
「これによって素早く抜くことができるんだ。だからその際に斬るということを上乗せしたのがあの技だよ」
「なるほどね、確かにあれは早かった。剣筋が見えなかったからね」
その後は少しお互いの話をしてから分かれた。
ちなみにミルバと一緒にいて、俺を終始にらんでいた男はミルバの婚約者だそうだ。
いつまでも俺をにらんでいるからミルバによって頭をはたかれて、文句を言いながらミルバとともに去っていった。
「どこまでも剣が好きな人なんだね」
「だな、婚約者も鍛冶職人らしいし」
「刀の話をした時だけは興味深そうだったわね」
「ああ、それでも俺をにらんでいたけどな」
「婚約者が負けて悔しかったのよ」
「だろうな」
それから俺たちは家路についたのだった。
準決勝当日、今日は全部で2試合しか行われないために午前に1試合目、午後に2試合目となっている。
といっても、俺とフィーナは1試合目となるために今日もまたお互いの応援に行けない。
まぁ、俺はともかくフィーナが負けるとは思えないから使用人たちに任せれば大丈夫だろう。
というわけで俺はさっそく武舞台に上がった。
準決勝の相手はかなりでかい大男、たぶん身長2mは軽く超えている。
俺は見上げながら対峙する羽目となった。
「小僧、つぶされたくなかったら棄権することだぜ」
などと寝言を言ってきた。
「のろまにつぶされるつもりはないぜ」
俺もそう答えてやった。
「ほぉ、言ってくれるじゃねぇか」
こうして俺の準決勝が始まった。
「うぉぉぉぉぉぉ」
雄たけびとともに巨体とは思えない猛スピードで突進してきた。
「へぇ、結構早いじゃないか、でも……」
俺はその突進を軽くよけた。
「俺には遅い」
前世では俺の方がもっと早かったし、何より今もフィーナとか母さんとか、エニスとかこれより格段に速い連中の相手をしたこともあり、強化魔法を最大にしたら、今でもとんでもない速度を出せる俺にとっては眠くなりそうな速度だった。
「ほざけ」
すると通り過ぎたかと思った男が急に方向転換して向かってきた。
「無理やりだな」
そんな動きができるほどにきてあげられた筋肉に驚愕した。
しかし
俺にはそれも通用しなかった。
紙一重でよけると手早く足をかけて相手の勢いを利用して投げた。
「ふんっ」
投げられた男はこれまた無理やり着地を決めてしまった。
「ほんとでたらめだな」
俺はそんな男にあきれていた。
その後もそんなやり取りがいくつかあったが、数度やっているうちにようやく突進が俺に通じないということを学んだようで、ついにやめ普通に攻撃をするようになった。
結構頭は悪そうだ。
まぁ、その攻撃もかなり重い攻撃だった。
下手すれば一発で場外まで吹っ飛びそうな力だった。
といっても俺はまともに受けることはなく全部いなしていたけど……
さてと、いつまでも遊んでもいられないからな、そろそろ終わらせるか。
俺はそう思うと、呼吸を整えながら集中し、構えた。
そして、男の攻撃と同時、相手の腕を手に取り流れに逆らわないようにひねり、その力を利用して空中に投げつつ、その勢いと自身の地らを上乗せした裏拳をさかさまとなった男の胴体に叩き込みさらに飛ばした。
「ぐふぉ」
くぐもった声とともに男は吹き飛んで場外となった。
「ふぅ、やっと終わったか」
「……ファ、ファルター選手の勝利です」
少し間をおいてのち司会が俺の勝利を宣言した。




