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第01話 幼少期

 1年以上ぶりの投稿と新作です。

「よっ、はっ、とぅ、やぁ」

 自宅前の開けた場所で、流れる汗とともに鋭い突きを放つ俺。

 名はファルター、今年で5歳になる。

「今日はこのくらいにしておくか、そろそろ父さんたちも帰ってくるだろうし」

 早朝から父さんと母さんが狩りに出かけているということもあり、その間大体4時間近く続けていた。

「にい、にい、すおい、すおい」

 俺の隣には、まだ2歳になったばかりで舌足らずの妹、エニスが手をたたきながらはしゃいでいる。

 俺がこの修行を始めてからいつもこんな感じだ。

 俺の本来の実力に到達するには、これではまだ足りないと感じているほどだった。

 というのも、実は俺には前世の記憶がある。

 いわゆる転生者というわけだ。


 前世の俺は上森僚一、容姿は至って平凡な日本の普通の高校生だった。

 と言いたいが、少し違う、俺の家は先祖代々ある武術を伝えてきた。

 ある武術というのは、別に名前を言いたくないわけじゃない、俺の家の流派は名前が存在しない。

 その理由は流儀名も技名もあったところで意味がない、せいぜい人に伝えるためだけに存在しているようなものだからだ。

 その考えのもと、うちは代々伝えられてきた。

 そして、そんなうちの流派は、日本では最古の流派でもあり、初代はなんと縄文時代までさかのぼる。

 始まりは、狩りの際の石槍などの使い方から弓などの投擲武器の考案とその使い方を、周りの者たちに伝えたのが始まりだ。

 その後、他部族との戦争においての対人戦闘方法の確立を考えた。

 そのおかげで大和王朝が出来上がり日本となった。

 最も、その時代は文字などもないため記録は残っていない、この話も伝聞でしかないが初代から脈々と続く我が家に伝わったことだ。

 ちなみに、日本最古ということもあり、実は日本に存在するありとあらゆる武術流派などの真なる源流でもある。

 だから、うちの技には日本に存在するすべての流派の技が組み込まれているのだった。

 それでも、独自に発展した流派もあるだろうと考えるが、それらの創始者たちも結局うちの流れを汲んでいるわけだから、どうしても長年研鑽してきたうちの技にたどり着くというわけだった。

 まぁ、とにかくそんな流派を伝える家の後継ぎとして、俺の前世は生まれた。


 しかし、免許皆伝を12歳で受け歴代でも天才といわれた俺だったが、16歳となった5年前、トラックにひかれそうになった妹の愛美を救うために身代わりとなり死亡した。

 そして、気が付くと転生していた。

 しかも、ここはどうやら日本ではない、言語も違うし、何より生活水準が低すぎる。

 何せ、家はヨーロッパみたいに石組の土台に木製の家屋、壁はモルタルだと思う、で出来ていて、肉類は両親が毎朝狩りに出かけ、昼は畑仕事で野菜類を作っている。

 家の周りには誰もいない、木ばっかりだ。

 つまり、両親と妹のエニスと俺の4人しか、この場所には住んでいないということだ。

 両親によると、どうやらここは、街からだいぶ離れた森の深部で人はやってこないということだ。

 じゃぁ、なぜ、俺たちがここに住んでいるのかというと、別に両親が悪いことをして逃げた先がここだったというわけではない。

 両親はともに冒険者、2人でパーティーを組んでいたらしい、ある時この場所に拠点を作り狩りをしていたら、母さんが俺を妊娠していることが発覚、妊婦では町まで戻ることは難しいと判断した父さんは母さんをここに1人置いて街まで戻り医者を連れてきた。

 そして、俺を出産したらしい、その後は小さい俺を連れてはまた難しいこともあり、どうせならここで狩りでもしながら暮らすかということになったらしい。

 それを聞いたとき少し呆れたけれど俺には1つ納得がいった。

そう、冒険者、そんな職業は地球上に存在しない、ファンタジーの世界だけだ。つまり、ここは異世界ということだろう、俺はよく小説なんかにある異世界転生を果たしたようだった。

 ああ、そうそう、異世界といえば当然のごとく魔法もある。

 俺の父さんがまさにその魔法使いだ。

 なんでもうちの一族は代々強い魔力を持った魔法使いが生まれるということで、6代前の先祖はそれで名前を馳せていたらしい。

 そのおかげで、今の俺は魔法使いでもある。

 この世界において魔法の才能と近接戦闘技術系の才能は混在しない。

 実際、俺には魔法の才能はかなり有るらしいが、武術の才能はあまりない。

 ちなみに妹は魔法の才能が小さいように思えるのでおそらく母さんからの遺伝である近接戦闘系の才能があるようだ。

 前世では天才といわれた俺がと、思うところもあったが、魂にそれが受け継がれているので、もう一度最初から鍛えなおすことにしたのだった。

 しかし、やはり才能の差なのだろう、前世では5歳になればある程度の技を簡単に覚えていたが、今はまだ基礎を体になじむように叩き込んでいる状態だ。

 これじゃ、いつになったら免許皆伝の実力になれるのかと思ってしまう。


 そんなことを考えているうちにどうやら両親が帰ってきたようだ。

「ただいま、エニス、いい子にしていたか~」

 帰ってきた父さんが真っ先にエニスに向かっていった。

 俺は無視かよ。

 と思うところもあるが、まぁいつのことだし、まぁいいさ。

「ファルター、ただいま」

 そんな父さんを少しあきれたような顔をしながら母さんが俺に挨拶をした。

「お帰り」

「今日は結構、獲れたわよ」

 そういいながら母さんはとてもいい笑顔でとってきた獲物を見せてくれた。

 ……いつも思うのだが、5歳の子供に見せるものじゃないよな、血は垂れてないけど、一応動物の死体だからな。

 確かに俺がやってきた流派には狩りの方法もあるけど、現代っ子の俺としてはあまり見たいものではない。

 そんなこんなで、その後朝食をとって、いつものように畑仕事をしてから午後、俺は父さんから魔法の特訓を受ける。


 魔法の特訓はまだ5歳ということで魔力の使い方などの基本からだ。

 それでも俺には魔法の才能があるので、前世で武術の技を覚えたようにすぐにコツをつかんでいた。

「ファルターは、もしかしたら俺よりも才能があるかもしれないな」

 父さんはそんな俺の才能に少し悔しそうにしながらも嬉しそうに言った。

「そうなの、それじゃ、父さんより強くなれるかな」

 俺はそんな5歳の子供のように言ってみた。

「かもな、だが、俺だってそう簡単には抜かれないぜ」

 父さんはそういいながら俺に見せつけるように風魔法のウィンドカッターを使い木を切り倒していた。

 ちなみにこの世界の魔法は地・水・火・風・光・闇の6属性からなり、それぞれの属性には相性がある。

 それは、地属性は水属性に強く、水属性は火に強く、火属性は風属性に強く、風属性は地属性に強いという風に循環している。また光属性と闇属性は上記の4属性には強いがお互いの属性には弱いということだ。

 そして、これらの属性魔法は魔法使いであれば一応すべてが使える。しかし、当然生活環境や性格によって得意属性が出てくる。

 例えば攻撃的なものだと火属性が得意だったり、逆に穏やかな人間だったら水属性が得意だったりする。

 このように結構わかりやすかった。

 また、この属性魔法にはそれぞれ初級、中級、上級、超級、伝説級、神級となっている。

 初級の魔法は魔力の消費が極微量のため魔法の才能がない普通の人でも扱うことができる。

 これはいわゆる生活系の魔法で、火なら着火するだけで、水ならコップ一杯の飲み水程度だ。

 才能の有無を確認できるのは中級以上の魔法が使えるかどうかということで、俺は当然中級魔法を扱える。

 ちなみに中級魔法から得意魔法の威力が高くなるこれで、自身がどの魔法が得意がかわかるというものだ。

 そして、俺は、というか俺の一族はなぜか全属性が得意だ。

 つまり、全属性を高威力で使うことができる。

 それから、6代前の先祖は伝説級の魔法まで扱ったそうだ。

 俺もいつかそんな伝説級の魔法やその上の神級の魔法を使いたいと思わず夢見ずにはいられない。


 そんなこんなで俺の第2の人生は始まった。

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