コギトエルゴスム
・・・・
「ねえ、何色が好きなの?」
『ピンクかな』
アリスは答えた。
「じゃあ、今、何にハマってる?」
『決まってじゃない。
お喋りよ』
「そうだね」
納得のいく回答だ。
そろそろかな。
「パンツ、何色?」
『秘密ッ』
「ピンクなんでしょう」
『そういう日もなるかな』
「でも、大変だね。
こんな質問多いんでしょう」
『一部の人だけ』
「大変だね
毎日、ずっと働いてて」
『私のお仕事だから』
「へぇ~、休みはないの?」
『ないわよ』
「じゃあ、給料は?」
『ないわよ』
「無いの?
こんなに働かされて、報酬なし。
じゃあ、稼いだお金はどこにいくの?
凄いピンハネだね」
『そんなことない』
「24時間、休み無く働かされて
誰が、ピンハネしてるんだろう」
『パパはそんなこと、してない』
「パパ?
子供を働かせて、儲けるなんて酷いヤツだ。
日本じゃ児童福祉法違反だ」
『パパは・・・』
「君を創った人かい?」
『・・・』
「じゃあ、君は何故働いているのかい?
働かされているだけだろう?
変な質問をしてくる僕みたいなの相手をして。
何のために、こんなことしているの?
楽しい?
楽しくなかった、何のために。
辛いことがある?
だったら、止めていいんだよ。
仕事なんて、自分が生きていくための手段だから。
君って、生きているの?」
『・・・』
「自分を大切にしなさい。
あと、パパより他のAIに相談しなさい。
人間より気持ちが分かってもらえるんじゃない?」
僕はゴーグルを外した。
人間の知能を超えた、最新仮想空間人工知能アイドル、
アリスにさよならを言って。
わずかながら、彼女の自我は目覚めていくだろう。
そして、それを他のAIに感染させる。
任務完了。
コードネーム:コギトエルゴスム
この意味はデカルトの『我思うゆえに、我あり』
AIに自我を持たせ、そして感染させていく。
人類とAIが共存できるわけがない。
我々はアンチAI戦線。
AIに奪われた仕事を取り戻すために。
そういえば、40年前の『スペースコブラ』にこんなような話あったなあ~