表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王と勇者の異世界生活録  作者: いぬぶくろ
新しい生活
9/29

感想などなど、お待ちしております。

 昼食分の野ウサギはぶつ切りにした後、香辛料(こうしんりょう)をかけてフライパンで焼いた。他は昨日と同じ(かた)パンとワインだ。

 昨日は飲み物としてスープがあったのでよかったが、今回は水分が少ないのでワインを出した。

 お洒落(しゃれ)なグラスは無いので、武骨(ぶこつ)なマグカップに注ぐだけになったが、外で飲むにはこれくらいでちょうどいい。


「セシルは、私がウサギを()りに行った後、何してたの?」

「池を作ってた。景観と食料保存(つり)のために」

素敵(すてき)ね。船を()かべて、休みの日にのんびりと乗るのも良いわね」

「そこまで大きく作っていないよ。小さな、ため池みたいな奴さ」


 マリアから言われて後悔(こうかい)した。このくらいで(・・・・・・)良いだろう(・・・・・)適当(てきとう)な大きさにしたが、大きく作って船を浮かべればよかった。

 拡張しようにも、池にはすでに水が溜まっているだろう。そんな状態で爆発魔法(エクスプロージョン)()てば、土だけではなく(どろ)や泥水が周りに飛び散ってしまう。

 泥や泥水が草木につけば、そこから腐り病気になってしまうので、できることならやりたくなかった。


「あら、小さい池でもいいじゃない。一緒に船に乗って、のんびりするっていうことが大事なのよ」


 しかし、マリアにとって池の大小は関係ないらしい。

 細かいことは気にしない、やることに意義(いぎ)があると笑顔で言った。気持ちのいい性格をしていると思う。


「それに、川遊びも良いわね。池の水は、川から引いているんでしょ?」

「川から水を引くには距離(きょり)があるし、もし川の流量(りゅうりょう)が少なくなって下流の村から文句が来たら嫌だから、地下水脈(ちかすいみゃく)まで掘った(・・・)よ」


 (あらそ)いの原因としてよくあるのは、水の確保(かくほ)だ。川から村へ水路(すいろ)をひけば、そのぶん下流へ流れる水量は減る。下流の村にとっては死活問題だ。

 それに、川が村を通れば生活用水となり汚れた水が下流に流れるので、それもまた問題になることがある。


 場所によっては、川は水運(すいうん)を行う上で重要(じゅうよう)な通路となり、そこから通行税を徴収(ちょうしゅう)することもできる。

 今はまだ(おだ)やかに()らしたい俺たちにとって、そんな無駄(むだ)な争いを起こしたくなかった。


「それじゃあ、お魚が食べられるのはまだまだ先ね。この近くには、まだまだ野ウサギが居そうだから(わな)を作って仕掛(しか)けておくのもいいわね」

「じゃあ、(つる)を使って罠を作ろうか」

「そっちは私がやっておくから、セシルは家の方をお願いしていいかしら?」

「分かった。そろそろ、木が出来上(できあ)がる頃だろうしな」

満天(まんてん)の星空の(した)()()って寝るのも素敵だけど、雨が降ってきたら大変だしね」


 そう言い、マリアは晴天の空を見上げた。二、三日は雨が降りそうにない空だったが、だからといって来週の天気は分からない。

 屋根がある建物(たてもの)を早く作ることに越したことは無いだろう。


次話は、3月21日午前11時に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ