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魔王と勇者の異世界生活録  作者: いぬぶくろ
新しい生活
7/29

感想などなど、お待ちしております。

「セーシルッ♪」


 切り倒した木に、一本、一本、丁寧(ていねい)に水分を抜く魔法をかけていくと、マリアから楽し気な声で呼ばれた。


「どうかしたか?」

「あれ見てよ、あれ!」


 マリアが指さす方を見ると、そこには二羽の野ウサギが赤色の木の実を食べていた。


「可愛いね~」

「そうだな。それに、あんな低い所に木の実があったのか」


 周りの木に比べてだいぶ低い木。そのさらに下面には、赤色の実が成っていた。

 低すぎるその枝になっていたので、野ウサギが食べているのを見て初めて気づいた。


「あっ、行っちゃう、行っちゃう」


 俺たちの視線を感じ取ったのか、野ウサギは俊敏(しゅんびん)な動きで木々の間を(くぐり)り抜け、草むらの向こうへ走って行ってしまった。


「待って、待って~!」

「あまり遠くに行くなよ!」


 子供のように野ウサギを追いかけて行ってしまうマリア。

 あの野ウサギは俺たちにだけ(おび)えていただけだったようなので、周囲には巨大な猛獣(もうじゅう)は居ないんだろうと予想できる。


 まぁ、猛獣が(おそ)ってきたところでマリアの敵ではないが。

 しかし、注意は必要だと思い声をかけたのだが、マリアは「分かった~」とこちらを振り向きもせず奥へと()けて行ってしまった。



 魔法をかけ終わると、手持ち無沙汰(てもちぶさた)になってしまった。魔法をかけたからといって、一瞬で木の水分が抜けるわけではないからだ。

 なので、その隙間(すきま)時間で何ができるだろう、と少し考えて思い(いた)る。


 家の近くに池を作るのはどうだろうか?


 飲み水は井戸から確保すればいいので、池は俺たちの(いこ)いの場として利用するだけとなるが。

 しかし、それだけではもったいないので魚を放流(ほうりゅう)して()りができるようにする。

 昨日、空を飛んだ時に近くに川があるのを視認(しにん)している。そこで釣った魚を池に放流して、魚が食べたくなった時は、そこから再び釣り上げる。


 その場合、ただのため池では水質(すいしつ)が悪くなるので、地下水脈(ちかすいみゃく)の流れを少し変えて池の底から()き出るようにすることで、常に水が循環(じゅんかん)した状態となるので魚が臭くない状態にできるだろう。

 そうと決まれば、池作りだ。



 先ほどと同じように、池を作る場所を確保(かくほ)するために周辺の木を伐採(ばっさい)して、土地を確保していく。

 ここで切った木はすぐに使わないので、枝葉を打ち払い丸太にした状態で、適当にその辺に

 池用の土地が出来たら、池の大きさを考えて目印をつけ、そこへ目がけて爆発魔法(エクスプロージョン)を撃ち放つ!


 ドォォォォォォオオオオ!!!! という、大地を揺さぶる震動と、鼓膜(こまく)一時機能停止(いちじきのうていし)させるほどの爆発音(ばくはつおん)(ひびく)く。

 視界をふさいでいた土埃(つちぼこり)が晴れると、爆発によって地面は大きくえぐれ、(はじ)け飛んだ土は天高(てんたか)く舞い上がっていた。


 それから一瞬遅(いっしゅんおくれ)れて、時間が止まったように静かだった森の木々から小鳥たちが一斉(いっせい)に飛び上がった。


「ふむ……。なかなか綺麗(きれい)に掘れたな」


 爆発魔法(エクスプロージョン)によって掘り返された池は、やや人工的(じんこうてき)な見た目が(いな)めないが、それでも周囲の景観(けいかん)を損ねない程度(ていど)には上手くできたと思う。

 あとは、ここに水を()めるだけだ。


 しかし、このまま水を溜めては掘りたての柔らかい土が()けて流れてしまうので、硬質化(こうしつか)の魔法をかけて土が水に溶けださないようにした。

 最後は、地下水脈(ちかすいみゃく)の流れを少し(いじ)って、底から常に()き出すようにして池の完成となった。


 このままでは殺風景(さっぷうけい)水たまり(・・・・)になってしまうので、土が安定してきたら近くの川から水草なりなんなり持ってきて移植(いしょく)しようと思う。

 これで、池は一時完成として良いだろう。


次話は、本日午後5時に投稿します。

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