井戸端のパーティー
そもそも、ボクが勇者パーティーに入ったのは、村の掲示板を見たのがきっかけでした。
掲示板には、仕事の依頼やバイト情報などが書きこまれることがあり、―――といっても、仕事をしないニートのキモオタには関係のないものだったが。―――仕事を求める者にとってのタ〇ンワーク的な役割を果たしています。
そして、ある日たまたま、その掲示板をみると、
~勇者パーティー募集~
魔王をたおす仕事です。
高時給 950円
☆アットホームな雰囲気で、働きやすい職場です☆
といった書きこみがあるのを見つけました。
950円は高時給なのか? という疑問がちょっと頭をかすめましたが、ニートのキモオタにすぎないボクにとって、これは負け犬人生から返り咲くチャンスかもしれません。
ふむ…。魔王をたおして一発逆転の勝ち組人生も、悪くないですか。
そう思ったボクは、さっそく掲示板に名前とカンタンな自己PR文を書き記します。
キモオタ
職業:無職
いきごみ:マンガ知識と情報収集なら自信あります!
後日、掲示板をみると、村の広場の井戸のところに集合せよとの書きこみを見つけました。
書かれていた日時にそこへいってみると、現在のパーティーである勇者さん、ミレーユ嬢、萌えちゃんがいたのでした……。
井戸端で結成されたパーティーが、
勇者さん:剣士タイプ。祖父がセカイを魔王からすくった伝説の勇者。
その血すじを引く名門の超エリート。つまり、典型的なリア充である。
ミレーユ:魔法つかい。古くからつづく大魔法使いの家柄に育ったスーパー大金持ちのご令嬢。
ルックスもふつうに美女といってよく、まあよーするにリア充ってやつ。
萌えちゃん:薬師。ビンボーな家柄から、王宮の薬師試験に優秀な成績で合格。
なりあがりの雑草魂をもった超エリート。
キモオタ:雑用、荷物はこび 兼 情報収集。
ただのキモオタ。
こんな感じになった。
それ以降、このメンバーで井戸の周りにあつまっては、村周辺のモンスターを狩りにいくという日々を、3ヶ月くらいつづけました。
そして現在。 いまだに「はじめの村」周辺のモンスターをじみちに狩って、生活してます。
さすがに、ボクも毎日おなじことのくり返しで、飽き飽きしてきました。
3ヶ月もの間、序盤の初級モンスターばかりたおしてたら、作業ゲーになるのはとうぜんなのですが、なぜかうちのメンバーは次へいこうとはしませんでした。