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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
十話:とある少女がネットアイドルに嫉妬する件
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ズイーバーはロゼを倒した錬金術師だ。

こうして向かい合うと、灰色のローブのズイーバーは装備が全て優秀だ。

ミョミルハンマー自体最強のハンマーだし、手につけている黒い小手は強化魔法の時間を上げるものだ。

これもレア度が高い。だけど一番レア度が高いのはあの灰色のフードだ。


「ブラウなら、バイスのほうが良かったかな?」

「それはあるかもな」

そう言いながらも、すぐさまズイーバーは僕に向かってきた。


「相手が妖術師だとこれしかないからね、しかもブラウは弱体のスペシャリスト」

「警戒しているか」

僕に魔法を使わせないように、ズイーバーが攻撃を加えてきた。

ハンマーを振り回しながら襲って来る。


「『衝撃攻撃(ショックアタック)』で一気に行く」

「錬金は通常武器があるから、いいよな」

「錬金術師は闘技場だと一番だよ。攻撃も回復も、なにより強化もある」

ズイーバーのハンマーが僕を襲う。


「『衝撃攻撃(ショックアタック)』これで!」

「クソッ、範囲の外に……」

「無駄よっ、逃げられない」

ハンマーの先端が僕の目の前でスパークした。

衝撃が、僕の体を包み風圧で飛ばされた。

地面に叩きつけられた僕のHPは、既に20%まで減っていた。

妖術師は、決してHPの多いキャスパルではないのだ。


「お兄ちゃん!」エリゴスのそばにいるロゼが叫ぶ。

「ミョミル専用技か」

「そう、痛いだろう」ミョミルを肩に担ぎ、自慢げに僕を見下ろした。

だけど、僕は魔法の詠唱をしていた。

ズイーバーに、悟られないようにしながら。


「そろそろ諦めたらどうだ?物理勝負なら勝てない。

魔法を封じたところで、妖術師には火力はない。攻撃手段はその魔法剣ぐらいだろう」

「そうだな。だけど魔法なら妖術師は早い」

「魔法かっ」僕の魔法の詠唱に気づいたズイーバー。急いで間合いを詰めた。

だけど、僕は立ち上がって剣を片手に魔法を使う。


「ああ、コイツだけは詠唱が長くて困るんだよな。魔法封印マジックミュートっ!」

「くっ」ズイーバーの魔法を封じ込めた。

でもズイーバーの突進を、止めることはできない。


「だけど魔法を封じたぐらいじゃ、勝てない」

「そう。でも妖術師は魔法が早いんだ」

すぐさま次の魔法をかけた。鈍足時間スロウだ。


「足が……」ズイーバーの動きが急にゆっくりになった。

それを見て、僕はズイーバーのハンマーを避けた。

すぐさま後ろに急いで下がった。あっという間に、魔法がぎりぎり届く距離まで離れた。


「ブラウっ、くそ!」

「ズイーバー悪いけど、妖術師相手に距離をとったら妖術師が一番強いんだ」

「どういう意味だ?」

「くらえっ、時間停止(ストップタイム)

僕の魔法が成功すると、スローモーションで動くズイーバーの動きが完全に止まった。


「う、動かない」

「次はこれだ火毒(フレアポイズン)っ!」

「しまった!」僕の魔法が成功し、ズイーバーの体が赤くなった。

火毒(フレアポイズン)で、HPを徐々に削っていく。


「くそっ、魔法封印(マジックミュート)時間停止(ストップタイム)が解ければ……」

魔法封印(マジックミュート)解けるまでの時間二分半。

時間停止(ストップタイム)は一分半、精度が高いと持続時間が長い。

知っているか?火毒(フレアポイズン)には他にも五属性の毒があるのを」

「まさか……」

「火、水、土、風、光と闇に猛毒の魔法……妖術師はこれで削る」

僕は次々と魔法を成功させ、六つの毒魔法がズイーバーのHPをどんどん削っていく。


「まさか……負けるのか?」

「ああ、僕はミスをしない」

時間停止(ストップタイム)が解けた瞬間、直ぐにズイーバーが一歩目を動こうとした。

だけど、僕はズイーバーの動きより早く魔法を完成させて、上書きをした。

ズイーバーはそれを受けて、動けない。


「僕は魔法のタイミングをミスしない」

「ブラウまさか……」

「ごめんな、僕も父も悪いやつなんだ」

そう言いながら、ズイーバーのHPを毒が全て奪っていった。



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