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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
九話:とある少女が取り合いに参加する件
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~~バイエル公国・小黒鷲旅団家~~


僕は家に戻っていた。

リビングでは、さっきパーティに参加していた七人全員がいた。

いや、一人だけいないか。


占有権さえ取れば、みんな強いから負けなかった。

そして、勝利と同時に僕たちは最後のクリアアイテム『ネクタル』を手に入れた。

ネクタルは百パーセント落とすのはありがたい。


ダイヤモンドも落とした、これは素材売りで一人1000万ゴルダの臨時収入。

お手伝いの駄賃として十分すぎる報酬も得た。

僕たちは、ようやく合成に必要なアイテムを手に入れた。


「ではゲルプさん、おねがいします」

「わかりましたぁ。大事な合成なので部屋で合成しますね」

この小黒鷲旅団の合成のスペシャリスト、ゲルプにすべてを渡した。

ゲルプは大事そうに合成品を抱えて、部屋に消えていった。

それを見ていたロゼは、相変わらず驚いていた。


「すごいわね、高レベルの合成をタダで頼めるんだから」

「それがきっと僕らのいいところだよ」

「ありえぬな」

隣にいたヴァイオレットも、険しい顔を見せていた。


「まあ、金だけで俺たちは動いているわけじゃない」とオランジュ。

「オランジュ、まだ落ちなかったのか?」

「ああ、教科書開きながらゲームしているさ」

「すごいな……」

「あれ、オランジュは学生さん?」

意外な反応を示したのは、ヴァイオレットだ。

金ピカのスーツのオランジュは、リビングの椅子に座ったまま髪をかきあげた。


「ああ、学生だよ。しかも受験生だ」

「いいなあ、学生。高校?それとも専門?」

「高校でしょ」

そこに突っ込んだのはロゼだ。ロゼの言葉に、オランジュは驚いた。


「なんで、わかる?」

「ロゼはもしかして知り合いか?」ヴァイオレットとオランジュが、一斉に突っ込む。

ふたりの視線を浴びて、ロゼが困った顔を見せた。


「え、え、違うわよ。ほら、お兄ちゃんが言っていたから」

「なんで僕が……」

「そういえば、最近ロゼさんがお兄ちゃんって言っているけど、どういうこと?」

ここで絡んできたのはシュバルツだ。

シュバルツの目は、ロゼではなくなぜか僕を見てくる。

なんかこの人、僕にやたら絡んでくるけど。


「え、え」

「兄っぽいからよ、ブラウはっ!」

「そう、そうなんだ」

ロゼの変なごまかしに、僕は苦笑いするしかなかった。


「でも、ヴァイオレットもシュバルツと夫婦でしょ」

「ああ、夫婦だ」

「えっ、そうなんですか?」僕が聞くと、シュバルツはじっと僕を見ていた。


「悲しい?」

「いえ、意外だったので。ヴァイオレットはロゼ好きそうだから」

「ロゼたんは大好きだぞ」

ヴァイオレットが堂々と胸を張った。

そんなヴァイオレットをシュバルツが流し目で見ていた。


「ロゼたんは、可愛いからな。全身好きだ。

顔も、目も、長い髪も、体も」

「な、なんかそんなに言われると、照れるじゃない」

ヴァイオレットにジロジロ見られて、ロゼは顔を赤らめていた。


「そうか、そうか。ロゼたんは可愛いからな」

「ヴァイオレット、あたしはおだてても何も出さないわよ」

「うんうん、ボクをお兄ちゃんって呼んでもいいんだぞ」

「それは……できないわ」

顔が赤いロゼの顔色が急に覚めた。

そのままロゼは僕の腕に無理やりしがみついた。


「あたしのお兄ちゃんはブラウだけ」

「ええっ、それは残念」

「ブラウお兄ちゃんも、あたしだけが妹だよね?」

ロゼが言うが、僕は「うん」と苦笑いするしかなかった。

僕の記憶の中には、小学校の時にいた母の連れ子だけだ。

もちろん血が繋がっていないが。


そんな時だった、ドスンっと強い音がした。

家が揺れる音だ、地震のように揺れていた。


「なんだ?」

「隣の部屋の方だ」

僕はすぐに揺れのあった部屋のほうに向かっていた。

それは、ゲルプの部屋の方だった。



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