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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
九話:とある少女が取り合いに参加する件
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あれから、三時間。

僕たちはルームを移動してホーリーワームを転戦していた。

幾度、黄金の岩場を巡っただろうか。

マジック・クロニクルには十のルームがある。


そこでは、当然沸く(ポップ)時間が違う。

ホーリーワームの沸く(ポップ)時間が六十時間以上だ。

ほかのルームでも同じように沸く。


つまり一日に狙えるチャンスは一回だけではない。

それでも沸く(ポップ)時間がわかる業者が有利だ。

時間のわからないところは、人を見て調べるしかない。

最も業者は、次にいつ出るかわかるので有利なのだ。


そんな中、ようやく一つのエリアにたどり着いた。

そこでは、相変わらず競争が激しい。


「一通りルームは見たけど、あとはこのルームだけか。

次のポップは、かなり時間が空きそうだ」

ヴァイオレットが、ルームを管理してこのルームを探し当てた。

ほかのルームには人がいない。もしくはとられた後だ。

いずれにしてもルームで、四連敗中なのでパーティのムードは悪い。


「全く業者はひどいわね」

「敵の独占が奴らの仕事さ」

ロゼの愚痴に、ヴァイオレットが紳士に対応していた。

こうして見ると、ヴァイオレットは大人だ。ロゼの愚痴に、しっかり対応しているな。


僕なんかよりも大人だと思わせた。

そうこうしているうちに再び業者の冒険者が集まってきた。

八人の二組パーティだ。人がさらに増えてにぎやかになった。


そんな中、ロゼが僕のそばに来た。

「ここ取られると、次は多分翌日だ。絶対に失敗できない」

「そうね、ゴモリのクエストはリアル一日」

「そうだな、厳しいな」

「なにか考えがあるんでしょ?」

ロゼが僕の方をじっと見ていた。僕は「そうだな」と頷いた。

そんな僕の後ろで、じっと見ていたのはシュバルツだ。


「業者、さらに増員か」

そんな時、ヴァイオレットの言葉通り業者らしき人間が八人増えた。

「ゲエッ」オランジュも悲鳴を上げた。

「これはやばいね」

「さっきとった人ですぅ」

ロートもゲルプも困った顔になった。


「諦めるか?」

「このままじゃダメだ、」

「では、どうするつもりだ?」

「普通にやったら勝負にならないのなら、エリアを絞る」

「エリアを絞る?」

僕の一言に、オランジュが返した。それをヴァイオレットが見守っていた。


「うん、下をよく見て欲しい。岩場にくぼみがある。

ここで業者と思われるモノたちは張っている。

無意識に集まっているわけではなさそうだ。

だとしたら、くぼみを絞って狙うしかなさそう」

僕はとられた時の分析をずっとしていた。

ホーリーワームは岩場のどこに沸くかわからない。


「くぼみか……できるのか?」

「わからないけど、ワームの頭が完全に出たら負けだと思う」

「そうね、どうせならかけてみましょ。お兄ちゃん」

ロゼは同意した、戦士に変えたロートもオランジュも同意してくれた。


「なんとか取りたいね」

「集中、喋ると負けるよ」

僕もレヴェラッソを戦士に変えてくぼみの前に挑む。

その間にも人がどんどん増えていった。

人が増えすぎて、回線が重くなった。


人は増えたけど、会話がない。そこはモンスターを狙う戦い。

オンラインゲームではよくある光景。

だけど、静寂の中にも一瞬で勝負が決まる。

ワームが頭を表した。


「よしっ」

とったのは僕だった。僕の目の前にあるくぼみから急に頭をのぞかせた巨大な白いワーム。

それを見て、僕はすぐに反応していた。


「さすがリーダー」

「うむ、見事だ」

僕が敵の占有権を確保すると、がっかりしたかのように僕の周りに人の輪ができた。

それと同時にパーティメンバーもまた僕の周りに集まった。

これから僕たちの戦いが始まる。

だが、対モンスターに最強のメンバーが僕らのパーティにはいる。



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