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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
九話:とある少女が取り合いに参加する件
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~~キュベリオン・ゴールデンロック~~


金色の岩がそびえ立つそこは、究極の戦場だった。

夕暮れから夜に変わるゲーム時間のゴールデンロックは、多くの人が集まっては、静かに立っていた。

金色の岩が中央にある以外は、普通の山岳だ。

だけど、それ以上にここはネット掲示板で有名だ。


そんなここは、高レベルの冒険者で有名な場所だ。

だからこそ、ロゼはヴァイオレット、それからシュバルツ。

僕ら小黒鷲旅団のメンバーの七人、八人揃わなかったのは心残りだ。


ここはバトルエリアだ。敵が当然出てくる。

だけど、もともとこのエリアには敵が強いわけではない。


「やはり取り合いの聖地ね」

「ああ、業者までいる。廃人はこういうところにはいかない。

効率が悪い。占有権の取り合いをするより、パーティでウルトラモンスターやったほうがうまい。

まあこっちもアイテムの当たり外れはあるが」

ヴァイオレットが周囲を見回して、ロゼが呆れていた。

周りには人だらけで、殆どパーティを組んでいた。


「『ミラクルダイヤモンド』、『ブラックダイヤモンド』高額素材がたくさんですね。

ホーリーワームは、魅力的な的ですから当然競争は激しいです」シュバルツが見回す。

「業者って何?」

そんな時、素朴にロートが聞いてきた。


「業者っていうのはゴルドを手に入れて、リアルマネーで販売する連中だよ。

一般的には、犯罪だけどね」

「そんなのあるんだ」

「そういうのは、弱い人がやるのよ」

ロゼは否定的に言う。

彼女の性格上、曲がったことは嫌いなようだ。


「敵は『ホーリーワーム』時間は前回の討伐時間から六十時間。

時間の誤差は……」僕はネットで調べていた。

「現在時刻から十分前後。そろそろ集中だな」

ヴァイオレットも調べているのだろう。さすがは廃人のリーダーだ。


「ヴァイオレットさんは経験があるのか?」

「昔な、今はしていない。非効率的だし、金よりで買えないレアアイテムも増えたからな。

さて、おしゃべりはこれぐらいにしよう。勝負は一瞬、急に岩の下から出てくるから」

「まあ、相手は気にしないでやろう」

ヴァイオレットは落ち着いていたが、僕は少しドキドキしていた。


「占有権が取れるといいけど」

「初めてだしね、ロゼたんのために頑張るよ」

「お兄ちゃん、緊張している?」

ロゼがなぜか僕に声をかけてきた。


「ロゼ、大丈夫だ」

「ならよかった」

「むうっ、ロゼたんが……ロゼたんの占有権が取られた」

なぜか悔しがるヴァイオレット。

「情けない声を出さない」

すかさずシュバルツが突っ込んだ。なかなかのお似合いコンビだ。


「占有権は前衛の仕事、ヴァイオレットが取れば見返せます。

そのために戦士にしたのでしょう」

「そうだったな、シュバルツ」

「ええ、私も神官に飽きたので戦士にしました」

シュバルツは言葉の後、巨大な斧を構えた。

いつもメイン神官のシュバルツが戦士だと、新鮮だ。


「斧をブルブル震わせるの、楽しいわ。

あっ、ヴァイオレットのことを殺さないように気を付けないとね」

「まじか、すごいな。バーサーカーアクスだろ」

「ええ、取るのに苦労したわ」

「そろそろ集中……て」

「やられた」

僕は敵を見つけて魔法を唱え始めた瞬間に、別の人間に敵の占有権を取られた。

そう、僕たちは目の前でワームをほかのパーティに横取りされたのだ。



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